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椎葉 剛(21歳・徳島ID)投手 182/85 右/右 (島原中央-ミキハウス) | |
最速159キロを記録するなど、今年の候補でも屈指の球速を誇る 椎葉 剛 。その一方で、彼が残してきた成績は、そこまで圧倒的ではない。一体彼を、ドラフト的にどう位置づければ好いのか考えてみた。 (投球内容) 150キロ台中盤の真っ直ぐを、けして力まなくても叩き出せる能力は素晴らしい選手です。チームでは、1イニング限定のリリーフとして登板してきます。また、クローザーなどの重責を担っているわけではなく、中継ぎの一人として存在します。 ストレート 150キロ~MAX159キロ ☆☆☆☆★ 4.5 NPBの一軍クラスでも、なかなか観られない球速の持ち主です。実際ビシッとハマるボールの質も好いですし、ソフトバンク3軍レベルの打者で振り遅れますし、少々ボール球でも吊られてしまう勢いもあります。課題は、やはりコントロール。ゾーン内での細かい投げ分けはできず、高めに抜ける球も少なくありません。枠の中に安定して決まりさえすれば、容易には捉えられないのですが ・・・ 。 変化球 スライダー・カーブ・フォークなど ☆☆☆★ 3.5 元々スライダーを武器にしていた投手だけに、スライダーのキレには好いものがあります。フォークもきれいに抜けた時に、しっかり落差のある球が投げられています。特に後半戦に入って、この球を使う頻度が増えてきました。また余裕があると、時々緩いカーブもあります。ただ真っ直ぐが速いだけでなく、変化球の曲がりも鋭く、その精度も想像以上でした。 (投球のまとめ) とりあえずボールに聞いてみろ! 的に細かいコントロールや巧みな投球術などはありません。ボールの力で圧倒するタイプですが、その割に無理に速い球を投げようといったフォームではないのと、変化球も悪くないところは面白い素材だとは感じました。 (成績から考える) 社会人から独立リーグに籍を移した今年の成績は、22試合 3勝0敗1S 39回 19安 25四死 51三 防 2.31 といった成績でした。 1,被安打は投球回数の80%以下 ◎ 被安打率は、48.7% であり、ゾーン内に決まれば容易には打たれないことがわかります。そういった、ボールの威力には目を見張るものがあります。 2,四死球は、投球回数の1/3(33.3%)以下 ✕ 四死球率は 64.1% であり、約基準の倍近い数字です。この制球力の無さが、圧倒的なボールの威力を持ちながら、チームでの起用において、そこまで重要な場所を任されていない要因だと考えられます。 3,奪三振は、1イニングあたり0..9個以上 ◎ 1イニングあたりの奪三振は、1.31個 。投球回数を遥かに凌ぐ、圧倒的な奪三振率を誇ります。それも、真っ直ぐの勢いだけでなく、変化球でも三振が奪えるのは強味だと言えるでしょう。 4,防御率は1点台以内 △ 防御率は 2.31 ということで、基準である1点台には到達していません。恐らく四死球が絡んで出したランナーが、失点に絡むケースがあるのではないのでしょうか。 (成績からわかること) 被安打率・奪三振率の高さからも、ボールの威力が圧倒的なのが伺えます。その反面、四死球の粗さが、防御率の平凡さに関わっていると言えます。それだけに、ボールは破格でも、そこまで総合力・成績ではないことが伺えます。 (最後に) 確かにボールの勢いは破格で、NPBの打者相手でも力で押せるだけのものはありそうです。ただし、明らかなボール球にまで手を出してくれている独立リーグの打者達に比べると、振ってくれなかったり、粘られたりして、苦しむ危険性があります。そういった意味では、この球速に惑わされないように注意したい部分はあります。恐らく指名としては、育成枠というよりも、本会議の終わりの方での指名になるのではないかと考えています。そういったところであれば、指名して見ようかなと思わせてくれる魅力がある選手でした。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2023年 独立リーグチャンピオンシップ) |