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古田島 成龍(24歳・日本通運)投手 175/82 右/右 (取手松陽-中央学院大出身) 





 「リリーフなら即戦力」





 球威のある力強いボールを投げ込んでくる 古田島 成龍 。プロでいきなり先発となると厳しいかもしれないが、リリーフならば即戦力を期待できる投手ではないのだろうか。


(投球内容)

 少々突っ張ったフォームながら、今年に入っての公式戦9試合の成績は、
50回2/3 37安 10四死 51三 防 1.42 と、安定している。今年は、先発で起用されていることが多い。

ストレート 145~150キロ強 
☆☆☆★ 3.5

 先発しても、コンスタントに球威のある140キロ台後半を記録してくる。2500回転前後の回転数を誇るが、
空振りを誘うというよりも球威で詰まらせるタイプ。ややボールが高めに抜けバラつくものの、50回2/3イニングで四死球は10個(四死球率は19.7%)であり、被安打率も37本で(被安打率は73%)少なめ。

変化球 スライダー・チェンジアップ?・カーブなど 
☆☆☆★ 3.5

 横滑りするスライダーでカウントを整えられるだけでなく、チェンジアップだかスプリットのような球速があって小さく沈む球を多く使ってくる。また余裕が生まれると、時々緩いカーブなども交えてくる。速球派のイメージが強いが、
変化球のレベルもけして低くない。そのため奪三振も、投球回数を上回っている。

その他

 クィックは、1.15~1.25秒 ぐらいと、それほど素早くはない。ランナーを背負うと、ピッチロックの時間ギリギリまで使い、じっくりと投げ込んでくるタイプ。ガンガン投げ込んでくるイメージがあるが、
実は自分の「間」を大事にしていることが伺われる。

(投球のまとめ)

 速球の球威・球速は、プロでも一軍クラス。各変化球のキレも悪くなく、社会人で残している成績も上位クラスだ。こと短いイニングでキャパ全開で投げれば、コンスタントに150キロ前後力強い真っ直ぐと変化球のコンビネーションが冴えそうだ。




(投球フォーム)

 では今度は、技術的な観点から考えてみたい。セットポジションから足をスッと引き上げるが、それほど高い位置まで上げては来ない。軸足一本で立った時には、膝が少しピンと伸び気味で、フォーム全体にも突っ張った感じがするので、何処か力みが感じられるフォームではある。まぁこの辺は、本人の個性として気にするほどではないとは思うのだが。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしているので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。したがって、体を捻り出して投げるフォークやカーブといった球種はあまり適さない。実際多投している縦の変化が、チェンジアップであるならばそこまで気にする必要は無いだろう。

 前に大きめにステップをとることで、「着地」までの時間は稼げている。したがって体を捻り出す時間は確保でき、カーブやフォークといった球種以外ならば、曲がりの大きな変化球の習得も期待できそう。実際見ている限り、変化球のキレ・曲がりは悪くない。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする力は抑えられている。そのため軸ははブレ難く、両サイドのコントロールは安定しやすい。問題は、
足の甲での地面の捉えが浅く、浮き上がろうとする力を抑え込めていない。そのため、ボールは高めに集まったり抜けたりすることも少なくない。「球持ち」も平均的で、そこまで指先の感覚に優れている感じはしない。ただし、実際の四死球は多くのないので、そこまで悲観することは無さそうだ。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としが甘いので、縦の変化球がスプリットやフォーク系だと多少肘への負担が心配にはなる。それでも腕の送り出しには無理は感じられないので、肩への負担という意味では問題ないのでは? 結構力投派のフォームにも見えるが、そこまで負担がかかっているというほどでも無さそうだ。あとは、
少し引っかかるようなフォームなので、そのへんが影響しないかが懸念材料ではある。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは作れているので、合わされやすいというほどではないだろう。それでも
「開き」は早く、ボールの出どころは見やすい。したがってコースを突いたような球でも、簡単に打ち返される恐れはある。

 腕は強く振れて勢いがあるのだが、ボールが見やすいことで、その効果は限定的。ボールへの体重の乗せは、広くステップを取れていることで
体重を乗せられ、打者の手元まで強い球が投げられていた。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
「開き」に課題を感じる。四死球で自滅するほどではないが、ボールが高めに集まったり抜けることが多い傾向にある。それを、ボールの勢いと球威で補っている形。故障のリスクは平均的で、今後さらにピッチングの幅を広げて行けるかと言われると、すでにかなり引き出しを使っているのでどうだろうか? 長所も短所も混在する癖の強いフォームではあるが、どっちの面がプロで目立って来るのかの判断は難しい。


(最後に)

 すでに、
プロの一軍で通用しそうなボールの威力と変化球のキレを兼ね備えている。ただし、プロ入り後さらに良くなって行けるのかと言われると微妙ではあるだけに、やはり入団2年目以内には結果を残して欲しいタイプではある。ある程度そういった割り切りで、どうしても即使えそうな投手を比較的下の順位で獲得したいという球団向きの選手ではないかと考えられる。指名されるとしたら、5位前後ぐらいの評価になるのではないのだろうか。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2023年 都市対抗)