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高井 俊(巨人)投手のルーキー回顧へ







高井 俊(21歳・BC新潟)投手 180/78 右/右 (東北高出身) 
 




                       「トルネード」





 ワインドアップの時に胸を大きく張り、身体を捻って来るトルネード投法は、まさに 野茂 英雄 そっくりだった 高井 俊。しかしシーズン後半になると、そのトルネードの捻りもかなり小さくなっていた。


(ここに注目!)

 8人の育成選手を指名した巨人の中で、最初に指名したのがこの投手。これからの伸び代に期待して、指名したのだという。

(投球内容)

ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 
☆☆★ 2.5

 だいたいどの試合も140キロ前後の投球をしており、リリーフでも球速的にはその辺だとわかる。ボールには適度な勢いと球威は感じられるものの、非常にコントロールはアバウト。細かいコースの投げ分ける能力はなく、力のある球をストライクゾーンの枠の中に投げ込んで来るといった投球。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど 
☆☆ 2.0

 投球は速球中心に組み立てられているが、時々スライダーなどを織り交ぜてくる。また更に緩いカーブやフォークのような沈む球もあるものの、変化球の精度・キレ・投球におけるウエートなどは低く、ストレートへの依存は大きい。もう少し変化球に頼れるものがあれば良いのだが、力のあるストレートを投げている方が打たれないということなのではないのだろうか。

その他

 クィックは、1.05~1.15秒前後と平均的。フィールディングも、けして機敏とか上手いというほどではなく少し危なっかしくも見える。細かい駆け引きなどを意識する余裕はなく、まだまだ思いっきり投げているだけという印象が強い。


(投球のまとめ)

 年齢的には、高卒3年目の若い投手。まだまだ荒削りで未熟な部分が目立つが、プロの指導で何処まで投手としての総合力を高められるかだろう。まだお世辞にもBCレベルでも実戦的とは言えず、相当な育成力が球団には求められることになるだろう。実際のところ、素材としての伸び代もどれほど残っているのには疑問な部分が残る。





(成績から考える)

 何試合かの試合の模様は見たものの、リリーフなのでわからないことも多い。そこでBCで今年残した成績を観て考えてみたい。

34試合 0勝3敗6S 37回 38安 19四死 37振 防 5.11

1、被安打はイニングの70%以下 ☓

 独立リーグで即戦力を期待するのならば、被安打率はイニングの70%以下に抑えたい。しかし実際には、イニングを上回る数の安打を食らっており、ボールの威力かコントロール、コンビネーションなど、何かしら打たれやすい要因があったと考えられる。

2、四死球は、イニングの1/3以下 ☓

 四死球率は、55.9%。基準が33.3%以下であるから、かなりコントロールに課題があることはわかる。このレベルになると、カウントを整えるのにも四苦八苦するような制球力なのだろう。

3、奪三振は、1イニングあたり0.9個以上 ◯

 奪三振は、イニングと同数の37三振。そのためボールの威力、決め手という意味では、充分合格点だと言えよう。

4、防御率は1点台以内 ☓

 防御率は5点台ということもあり、論外であるのは間違いない。

(データからわかること)

 三振の多さからも、ボールの威力がリーグでも上位だったのは伺えます。しかしそれ以外のファクターが全然であり、データの上からはかなり厳しいプロ生活が待っていることが予想されます。プロの指導で、大幅な成長が期待されます。


(最後に)

 育成枠での指名なので、何かが物足りないのは当然でしょう。しかし彼の場合、あまりに足らない部分が多くて厳しいことが予想されます。巨人が何処に、そこまでの魅力が感じたのかもわかりません。

 高卒3年目の若さと馬力のある投球に、魅力を感じたのではないのでしょうか。プロの指導でどのように改善して行けるのか、今後も注意深く観てゆきたいものです。育成枠でいの一番で獲得した片鱗を、プロでもぜひ魅せて頂きたい。


(2016年 シーズン)