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與那原 大剛(巨人)投手のルーキー回顧へ







与那原 大剛(沖縄・普天間)投手 187/81 右/右 





                  「単なる素材型ではない」





 恵まれた体格をダイナミックに使う投球を見ていると、素材型の選手に見えて来る。確かにまだまだ技術的には粗い部分が目立つが、けして素材型では片付けられないものがこの選手には秘められている。その秘められている力とは何なのか? 今回は考えてみた。


(投球内容)

 大きな体をゆったりと足を大きく引き上げて、引き上げた足をかなり二塁側にまで送って投げ込んできます。けして綺麗なフォームの本格派といった感じではなく、まだまだ洗練されていない粗さがフォームから感じられます。

ストレート 常時135キロ~MAX90マイル(144キロ)

 序盤戦は、コンスタントに140キロ台を記録し、北谷のスピードガンでも145キロをマーク。ボールの勢い・球速はそれなりも、手元でグ~ンと伸びるとか、ピュッとキレるような空振りを誘える球ではありません。地元沖縄の方も、球速の割に簡単に合わせられることを気にしていました。

 それほど細かく投げ分けるコントロールはないのですが、ストライクゾーンにはコンスタントに集めることができます。したがって四死球で自滅する、そういった荒っぽさはありません。

変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップなど

 序盤戦はストレート中心に、緩いカーブを織り交ぜてきました。更に中盤になるとスライダーを使い出し、後半にはチェンジアップ系の沈む球を織り交ぜ、相手の的を絞らせません。何か絶対的なボールがあるわけではないのですが、イニングが増すにつれピッチングを引き出しを増やすことができ、終盤になっても相手が捉えきることができません。

その他

 また0.8秒台という超高速クィックを使いこなすなど、そういった器用さはあります。けしてピッチングセンス・細かい出し入れができるような器用なタイプには見えませんが、その見た目以上にいろいろ考えて投げています。

(投球のまとめ)

 力で押していた序盤戦に、これではダメだとピッチングスタイルを切り替えます。ストレートも空振りが取れない分、内角を厳しく突いて詰まらせようとしたりと、ピッチングに工夫が。意外に考えて投球を組み立てていることに、と関心させられます。

 ピンチでもパッとマウンドを外すセンスもありますし、追い込まれても踏ん張れる精神力もあります。想像以上の頭のの良さと内面の強さを感じずにはいられません。レベルの高い野球に対しても、貪欲に吸収して行ける素材ではないかと評価します。





(投球フォーム)

 粗っぽいフォームなので、まだまだ欠点は少なくありません。どの辺が優れ、問題があるのか考えてみましょう。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせません。そのためカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる変化球には適しません。

 「着地」までの粘りも平均的で、体を捻り出す時間は並。そのため変化球の曲がり・キレという意味では、特別なものはありません。しかしそんな変化球でも、上手く活かすセンスがあるのが、この選手の良いところ。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆

 グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。足の甲を地面に押し付けることは出来ており、ボールはそれほど上吊りません。「球持ち」はそれほどでもないのと、指先の感覚は並なので、おおよそ集められるという感じでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻は落とせない割りに、カーブはそれなりに投げ込んできます。そういった意味では、肘への負担は多少感じます。

 振り下ろす腕の角度はありますが、送り出しに無理はなさそうなので、悲観することはないでしょう。無理が重なると心配ですが、現状はそれほど負担の大きなフォームだとは言えません。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りはイマイチなので、打者としては合わせやすいはず。しかし体の「開き」は抑えられているので、甘く入らなければ痛手は喰らい難いはず。

 振り下ろした腕は身体に絡み、速球と変化球の見極めは困難。しかしボールには上手く体重が乗せられておらず、打者の手元まで生きた球が行きません。この辺が、打者の空振りを誘えない要因だと考えられます。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」は良いものの、「球持ち」は並。「着地」と「体重移動」など下半身の使い方に課題があります。

 肘への多少の不安はあるものの悲観するほどでもなく、コントロールを司る動作は悪くありません。下半身の使い方を覚え、ストレートの質がグッと変わって来ると面白いと思います。


(最後に)


 
今年は、下位指名~育成レベルの候補という選手を沢山みました。そんな中でもこの選手は、その位置づけにいる選手たちの中では、まさにオススメと言える存在。特に投手としてのセンス・精神面の部分で推せるタイプの素材型だからです。プロの指導次第では、見違えるほど大化けするかもしれません。これからも期待して、見守って行きたい一人です。個人的には、本会議の後ろの方で、指名してみたいと思わせる選手でした。


蔵の評価:



(2015年夏 沖縄大会)