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吉田 嵩(中日)投手のルーキー回顧へ







 吉田 嵩 (19歳・徳島ID) 投手 185/80 右/右 (長崎海星出身)





                       「良くはなっている」





 昨夏甲子園で145キロの速球を投げ込み注目された 吉田 嵩(長崎海星)。あの時は、よく知らない選手が140キロ台を連発したことで、思わぬ嬉しい誤算となった。しかし投球を詳細に見てみると、まだ高校からのプロ入りには時期尚早。しかしこれだけのボールを投げられる選手ならば、有力大学や社会人チームへの話があっても不思議ではなかった。しかし彼が選んだ進路は、プロに最短1年で行ける、四国アイランドリーグ。そこからは、プロ入りへの並々ならぬ意欲が感じられた。

(投球内容)

セットポジションから、淡々と自分のペースでピッチングを刻んできます。

ストレート 130キロ台後半~MAX89マイル(142.4キロ)

 7月にアイランドリーグ選抜の一員として、関東に遠征。その時の球速は、常時130キロ台後半~MAX89マイル(142.4キロ)。4月のソフトバンクとの交流戦の模様も見たが、だいたい常時140キロ前後ぐらいかなという感じで、球速的には先発だとそのぐらいなのだろう。特に手元で凄く伸びるとか、ピュッと切れる感じはしないが、ボールには角度と球威が感じられる、ドラフト候補らしい球質。

 それでもプロで何年も過ごした、相手の先発・加賀美希昇(DeNA)あたりと比べると、球速は同じぐらいでも球質では見劣って見えた。高校時代からボールがやや高い傾向にはあるが、両サイドへ投げ分けるコマンドは悪くない。

変化球 カーブ・スライダー・フォークなど

 高校時代は、カットボールやツーシーム系など、手元で小さく変化するボールが多かった記憶がある。しかし今は、緩いカーブ・右打者の外角低めに切れ込むスライダー、それに追い込むとフォークのような縦の変化なども魅せる。7月の選抜チームの一員で来た時は、チェンジアップが良かったとレポートしたが、フォークに見えた球とチェンジアップが同じ球なのか?別の球なのかは定かではない。しかし高校時代に見られなかった、縦の変化に磨きがかかったのは間違いない。

 特に速球が突出していたイメージが強かった高校時代に比べると、変化球をうまく織り交ぜて仕留める、コンビネーションで打ち取るピッチングスタイルに変化している。

その他

 牽制はややモーションが大きい傾向にあるが、クィックは1.15秒前後と標準的。しかしフィールディングの動きの良さは健在で、この辺はプロでも上位レベルではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 力で圧倒しようとした高校時代に比べると、だいぶ投手らしくなってきた。特に変化球の精度・切れ・持ち球が増えるなど、コンビネーションで、ピッチングを組み立てられるようになったことは収穫。この一年での、確かな成長を感じる。

 即1年目から、バリバリに活躍できるのかと言われると、まだ疑問。しかしすでにその力は、ファームレベルには達しており、そこから更なる上積みが見込めれば、支配下登録、一軍への登板というところまでは、1年目から望めるかもしれない。

(成績から考える)

ではこの一年、アイランドリーグでどのような成績を残したのか見てみよう。

18試合 5勝4敗0S 96回 73安打 24四死球 60奪三振 防御率 2.16(リーグ8位)

1、被安打は70%以下 △

 96イニングで被安打は73本、被安打率は76.0%。アイランドリーグからNPBで活躍している選手の少なさからすると、一軍を意識するファクターは、被安打率70%以下と厳しめの設定に。そう考えると、76%の被安打率でも、即戦力となると微妙であることがわかる。

2、四死球は、イニングの1/3以下 ◯

 四死球率は25.0%であり、基準である33.3%以下をクリア。昨年見た時は、かなりアバウトな印象だったことを考えると、コントロールが大きく改善。かなり思い通り、自分のピッチングができるようになってきた。

3、奪三振は1イニングあたり0.8個以上 ✕

 1イニングあたりの奪三振率は、0.63個と平均的。かなり変化球に磨きがかかり、縦の変化にも良さが出てきただけに、想像以上に平凡で驚いている。もうワンランク、速球の勢い・変化球の精度に、磨きをかけないと厳しいだろうということか。

4、防御率は、1点台以内 △

 防御率 2.16 が悪いとは思わないが、一軍を意識するのであれば1点台、それも1.50以内ぐらいには抑えたかった。まだまだ投球に、絶対的なものがないことがわかる。

(成績からわかること)

 実際の投球以上に成績を見てみると、まだ一軍を意識するのには物足りない。やはりもうワンランク・ツーランク、投球の総合力を引き上げないと、一軍定着は厳しいということではないのだろうか。現状は、ファームの若手レベルの域を脱していない。

(最後に)

 しかし昨夏の頃に比べれば、見違えるほどコントロール・変化球がよくなってきた。それだけに今が伸び盛りといった感じで、プロ入り後見違えるような伸びを見せても不思議ではない。あえてアイランドリーグという厳しい環境に身を置き、プロ入りを目指した姿勢・意識の高さは評価できるポイント。

 現状確かに、総合力ではドラフト指名レベルかと言われれば微妙で育成枠が妥当ではあると思う。しかし高卒1年目であること、野球への意識の高さ、この一年での成長ということを考えると、もう一年ぐらいファームで鍛えれば一軍戦力になっても不思議ではないという感じがする。あえて旬ではないが、☆ をつけてみたい選手だった。


蔵の評価:
(指名の最後の方なら)


(2015年 プロアマ交流戦) 









吉田 嵩(海星3年)投手 181/85 右/右 
 




                       「時期尚早か?」





 甲子園の大会前は、殆ど注目される存在ではなかった 吉田 嵩 。しかし甲子園の舞台では、真上から叩きつける腕の振りから、素晴らしいボールを連発。僅か4回2/3イニングの登板でしかなかったが、見ている我々に強烈なインパクトを残した。しかし素材として魅力は感じられるものの、今がプロ入りの旬なのかは意見が別れるところではないのだろうか。

(投球内容)

ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。

ストレート 常時140キロ台~MAX145キロ

 ボールは真ん中~高めに集まる傾向は強いが、ボールそのものの威力・勢いには見るべきものがあります。特に球威と勢いを兼ね備えた厚みのある球質は、ドラフト候補のそれだと言えるでしょう。そのストレートを、両サイドに散らしてきます。ボールそのものは素晴らしいのですが、コースを突いた球でも打ち返されてしまうなど、比較的合わされやすい側面があります。

変化球 スライダー・カットボール・ツーシームなど

 変化球は、基本的に横の変化。それも、比較的球速のある変化を得意とします。120キロ台のスライダー・130キロ台のカットボール・135キロ前後のツーシームだかシュートボール。緩急や縦の変化を使うことはなく、リリーフでの出番が多いので、スピード系のボールで押してきます。

 長崎予選ではイニング数と同程度の奪三振を奪えていましたが、甲子園での4回2/3イニングでは2三振と、それほど元来三振を奪えるタイプではないと考えます。

その他

 さすがに普段は外野などを守っており、フィールディングの動きの良さが目立ちます。甲子園での二松学舎戦でも、送りバントの際に二塁で二度連続で刺しました。クィックは、1.15~1.20秒と平均的。牽制は、ややモーションが大きいのが気になります。特にランナーへの注意力が弱い部分があり、あっさりフォームを盗まれて盗塁を許していたのは気になりました。

(投球のまとめ)

 甲子園では制球のアバウトさは感じたものの、四死球で自滅するような不安定さはありませんでした。しかし長崎予選では、13回1/3イニングで10四死球と不安定さを覗かせます。

 ストレートの勢いは素晴らしいものの、それほど苦になく合わせられるフォーム。更に現状は、これは!というほどの変化球もないなど気になる材料。素材としては魅力を感じますが、まだ素材型の域を脱していないのではないか、そんな気がしてなりません。

(投球フォーム)

 実際の投球を見る限り、まだまだ不安な感じは否めません。そのためフォーム分析を行い、今後の可能性を考えてみたいと思います。

<広がる可能性> 
☆☆

 引き上げた足を地面に向けてピンと伸ばすので、お尻は一塁側には落ちません。すなわち身体を捻り出すスペースが確保できないので、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球には適しません。現状のピッチングスタイルが、それを物語っているようにも思えます。

 また「着地」までの粘りが充分ではないので、身体を捻り出す時間も充分ではないはず。そういった意味では、カーブやフォーク以外の球種でも、キレや曲がりの幅という意味でも武器になるほどのものを身につけられるかは、将来的に不安が残ります。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブは最後まで内に抱えられているので、両サイドの投げ分けは安定。しかし足の甲の地面への押し付けが遅く、ボールは高めに集まりやすくなっています。「球持ち」自体は平均的で、可も不可もなしといった感じでしょうか。もっとボールを押し込まれるようになったり指先の感覚を磨く一方で、足の甲の押し付けが早い段階で出来ると、低めへの球も増えるのではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻は落とせませんが、カーブやフォークといった捻り出す球種を投げないので、肘への負担は少ないはず。

 腕の角度は真上から降り下ろしていますが、送り出しを見る感じでは無理は感じません。しかしかなりの力投派でもあり、消耗は激しいのではないのでしょうか。それだけに、故障には充分注意して欲しいと思います。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 体の「開き」はそれほどでもないのですが、「着地」までの粘りの無さが打者にとっては苦にならないフォームになっています。また高めに浮く球筋のために、打者には余計に対応しやすくなっています。

 腕を強く叩くことができるので、速球と変化球の見極めは困難。フォークはフォームの構造上厳しいですが、軽く握ったスピリットあたりならば生かせるかもしれません。ボールへの体重の乗せが遅いのは気になりますが、それでもあれだけのボールの勢い・厚みのあるボールを投げられるので、これがグッと乗せられるように凄いことになるのではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」において、「着地」に一番の課題があり、その他の部分も改善の余地が残されています。

 コントロールを司る動作もボールを高めに集まりやすく、故障へのリスクも、けして低いわけではありません。そういった意味では、フォームの観点でも発展途上であり、今後どう転ぶかは掴み難いといえるでしょう。


(最後に)

 実際の投球、フォーム分析をしてみても、かなりの素材型でリスキーであることがわかってきました。確かに近い将来150キロ級を連発してもおかしくない資質を持っており、素材としてはプロ級でしょう。しかしそこから使えるだけの技術を本当に身につけられるのか? そういった意味では不安でなりません。

 個人的には、高校からプロへゆくよりも、社会人あたりでワンクッション置いた方が良いのではないかと考えます。しかし恐らくドラフトでは下位指名~育成あたりで指名されるのではないのでしょうか。結局プロ入りしても、同期が大学を卒業する頃にクビになっていは意味がありません。もう少し、着実なステップを歩んだ方がと思うのですが・・・。


(2014年夏 甲子園)