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清水 貴之(ソフトバンク)投手のルーキー回顧へ



清水 貴之(27歳・BC群馬)投手 177/75 左/左 (世田谷学園-日大国際関係学部) 
 




                      「観ておくものだな。」





 春先に、BCリーグ群馬VS巨人 との交流戦で観戦した投手です。ジャイアンツ球場のガンでは、左腕から140キロ台を連発しました。荒削りですが、左スリークオーター独特の球筋と長い手足に特徴があります。


(経歴)

 世田谷学園時代は、甲子園に縁がありませんでした。また大学では、静岡の日大国際関係学部の4年時に、大学選手権を経験。阪南大戦にリリーフで登場し、サヨナラ負けを経験。卒業後は、全足利クラブに進み、全日本クラブ選手権に2年連続ベスト4など主力として活躍。一昨年から、BCリーグに進みました。今年は、

29試合 0勝1敗15S 防御率 1.80 

とクローザーとして活躍しました。もう少し成績を詳しく見ると、30イニングを投げて、被安打は25。被安打率は、83.3%とやや多い気が致します。一つ基準となる、70%以下ぐらいに抑えたいところです。四死球は、14個。四死球率は46.7%で、目安であるイニングの1/3以下に比べると、やや多い気が致します。ただ奪三振29と、ほぼイニングと同数。このことからも、制球や配球に課題があるものの、球の威力はBCリーグでも上位だったことがわかります。また防御率 1.80 も基準レベル。数字から判断すると、実績的には微妙ですが、素材としての面白味は感じられます。





(投球内容)

 今年から、腕を少し下げたスリークオーターにして、左打者の背中越しから来るような独特の球筋を得ました。それほど上背はないのですが、手足が長くタイミングも合わせにくい特徴があります。

ストレート 135キロ前後

 ジャイアンツ球場のガンでは、140キロ台を連発。しかし私のガンでは常時135キロ前後で、MAXで85マイル(136キロ)止まりでした。ただ実際観た感じでは、135~後半ぐらいのボールの勢いが感じられ、球速表示よりは速く感じれました。

変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップ

 左打者にとっては、背中に来るような感覚の球を、外角に集めてきます。主にスライダーとのコンビネーションで、打者にとっては相当遠くに感じられるはず。こういった左対左の強味が、この投手にはあります。ただ右打者に対しては、カーブ・スライダー・チェンジアップなどを織り交ぜますが、制球は非常にアバウトです。

その他

 牽制に関しては、左腕らしく上手いです。クィックも0.9~1.1秒ぐらいでまとめられるなど素早く、走者は容易に次の塁を狙えません。

 ただ細かいコントロールはなく、投球術に長けたタイプでもありません。ボールの勢いにかまけている時はいいのですが、逆にじっくり見られると苦しくなりそうです。

(投球のまとめ)

 独特の球筋とボールの勢いがあるのは良いのですが、27歳にしては制球力・投球術などが粗く、総合力で物足りません。特に馴れられて、ボール球を振ってこられなくなった時に、自分の投球に徹しられるのかは疑問です。


(最後に)

 左腕らしい特徴はあるのと、長い手足の身体などの打ち難さも兼ね備えます。過去独立リーグからNPB入りして行った選手たちと比べ、それほど図抜けたものがあるわけではないのですが、育成枠ならひょっとしてと言う可能性は感じなくはありません。

 ただ27歳の年齢にしては、制球力・投球術などに欠け総合力が物足りないことを考えると、2年以内に結果を残さないと苦しいでしょうから、正直厳しいかな思います。プロ入り後、何か新たに見出して行けるのか、そこにかかっているのではないのでしょうか。思わぬ掘り出しものとなるのか、今後の成り行きに注目したいと思います。


(2011年 春)