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中谷 将大(阪神)捕手のルーキー回顧へ



中谷 将大(福岡・福岡工大城東)捕手 184/80 右/右





            「こんなスナップの強い選手を見るのは初めて!」





 毎年、強肩と呼ばれる捕手を見続けてきたが、ここまで手首のスナップの強さを感じた選手は過去に記憶がない。そう思わせてくれるのが、この 中谷 狩大 。

 彼を初めてみたのは、昨春の春季九州大会。あれから一年の間に、攻守が大きくスケールアップ。今や、高校球界で1,2を争うまでに成長した。そこで今回は、2010年度屈指の強肩捕手について、とりあげてみたい。





(プレースタイル)

 元々ディフェンス面よりも、旧チームから4番を務める打力が秀でたタイプの選手。それに加え、圧倒的なスローイングを兼ね備えるといった感じで、捕手としてのセンス・技量が目立っていた選手ではありません。しかしその打力だけでなく、ディフェンス力も大きく向上してきた点が、大きくドラフト候補としてクローズアップされてきた理由だと思います。


[高画質で再生]

中谷 狩大(福岡工大城東)捕手 スローイング編 [動画] 


(ディフェンス面)

 中谷の最大の魅力は、圧倒的なスローイングにあります。特に地肩が滅法強いと言うよりは、手首のスナップを活かしたスローイングで魅了するタイプ。そのスローイングの球筋・ボールの伸びは、かつて見たことがないほどの強さを感じます。ただその反面、全身を活かしてのスローイングではないため、制球に不安定な部分があり、その絶対能力を充分生かせなかったり、安定したタイムを刻めなかったりとムラがあるのも確かです。ただピタッとはまった時は、1.8秒台のスローイングは、軽く叩き出します。

 180センチ台中盤の体格を活かし、どっしりとした存在感が魅力です。そのため、けして素早く打球に反応するとか、フットワークを活かした機敏さが売りではありません。

 ミットをしっかり投手に示し、グラブを下げません。そのため、投手は的を絞りやすいですし、ワンバウンド処理などにも立ち後れないと思います。キャッチングに関しては、ボールを押し込むような力強さは感じませんが、大きな破綻はありません。またベースカバーなど、基礎的な動作を怠るようなことはなく、自分の仕事をしっかりこなします。

 ただもの凄くリーダーシップを感じさせ、叱咤激励して投手をグイグイ引っ張るようなタイプではありません。またそうかと言って、投手に配慮する繊細さがあると言ったタイプでもありません。自分の役割はしっかり果たす一方で、その存在感やプレーで、チームの流れを変えるようなタイプではないと思います。そういった意味では、東のNO.1と言われる 山下 斐紹 とは対照的なタイプだと言えそうです。


[高画質で再生]

中谷 狩大(福岡工大城東)捕手 打撃編 [ドメイン] 


(打撃内容)

 恵まれた体格を活かし、打席でも大物感を漂わせます。フォロースルーを活かし、ボールを遠くに運べるのが最大の魅力。その一方で対応力に課題があり、脆さがあるタイプでしたが、この一年間でだいぶ解消しつつあります。

 前足のカカトを浮かし、グリップを高い位置まで引き上げて構える強打者スタイル。打席でも如何にも強打者と言う臭いをプンプンと漂わします。

 昨夏からの一番の変化は、足をほとんど浮かすことなく打っていたのを、大きく足を引き上げることで、しっかり下半身を活かしたスイングができるようになったこと。

 それと「早めの仕掛け」を採用し、打つまでに時間的余裕が生まれたことで、打てるポイントが広がったことではないのでしょうか。この二つの大きな技術的な進化によって、だいぶ脆さが改善されてきました。

 スイング軌道にも大きな破綻はありませんし、ボールを捉えてからのフォロースルーがしっかり取れるので、ボールを遠くに運ぶことができます。

 元々持っているボールを捉えるセンスは図抜けていませんし、ヘッドスピードも際だって速いわけではありません。それでも身体の強さがあったので、ボールを遠くに、力強く飛ばせる資質がありました。更に技術的な進歩により、確実性が増してきた選手だと言えるでしょう。仮に捕手でなくても、ドラフト候補としてマークできるだけの打力を身につけつつあります。まして捕手としてならば、これ以上の望むのはナンセンスといった感じで、打力でも九州屈指の強打者の一人だと言えます。


(プレースタイル)

 上記の動画を見てもわかるように、もの凄く集中力が高いとか意識が高いと言ったほどのものは感じません。ただそれでも、前の打者の対戦には注意を傾けて見ておりますし、合間には素振りを混ぜて、次の自分の打席への準備・心構えはそれなりにできていると思います。

 打席に入る時にも、ラインを踏まないような配慮が一応ありますので、それなりに捕手に必要な気配り・繊細さがないわけではなさそうです。また打席に入った時の足場の馴らし方を見ていても、それなりに自分なりのこだわりはあるのかなと思われます。そういった意味では、高校生としてはそれなりの気構え、意識は備えているようで、高校から野球で飯を食って行こうと言う気構え・野球への意識は、けして低選手ではないように思います。





(最後に)

 昨夏までは、ただ投げるだけ、打つだけが凄いと言う、肉体的資質が秀でたタイプだった気が致します。しかしこの一年間の間に、かなり野球への意識・技術的な向上にも目覚め、漠然とプレーをする選手とは一線を画すようになりました。

 そこで心技体の三つの観点から見ても、第一の「心」の部分では、試合への入り方・所作がだいぶ意識が変わってきており、高校からプロでプレーしたいと言う気構えが伝わってこられるようになったと思います。

 「技術」に関しても、捕手としてはまだまだスローイングの精度を始め、細かい部分では課題も多いのですが、だいぶ捕手らしくなってきました。まして打撃の成長には、目を見張るものがあります。高校からプロに混ぜても良いレベルまで、引き上げられてきた気が致します。

 最後の「体」の部分では、圧倒的なスローイング・超高校級の打力も加味されており、充分に高校からプロに入るべきポテンシャルがあると判断致します。

 攻守に粗い部分もあり、捕手と言うポジション柄、5年ぐらいは時間がかかると思いますが、ぜひ高校からプロに入って頂きたい数少ない野手です。上手く育てられれば、チームを背負って立つ捕手になることでしょう。捕手としては、2010年度組で、NO.1のスケールだと言えると思います。ドラフト当日、どのような評価でプロ入りするのか、個人的には大変気になる選手です。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


この記事が参考になったという方は、ぜひ!


(2010年・夏)




楽天



(どんな選手?)

 春季九州大会では、背番号7を付けて捕手として出場。夏の大会では、4番・左翼手として出場しておりました。新チームでは、強打の捕手として注目されているようです。

(ディフェンス面)

 捕手としても、どっしり感があって、地肩も結構強いものがありました。細かい部分ではよく覚えておりませんが、2010年度の九州を代表する強打者だと思います。ただあまり、動作が機敏だとか、足が速いとか動けるタイプの選手ではないように思えます。





(打撃内容)

 スクエアスタンスで、カカトをあげて構えます。グリップを高めに添えて、あらかじめ捕手側に持って行き、構えた時から力みは感じられるのが気になります。ただ打席では、その巨体を活かして、中々存在感のある選手です。

 ただ足を一度地面を踏んで、そこからカカトの踏み込みだけで打つ選手なので、極めて打てるポイントは限られていると思います。実際にその打撃を見ても、当たれば強烈な打球が飛びますが、脆い印象は否めません。

 肘が下がってもヘッドを下げないで振り抜くので、ロスは少ないのコンパクトなスイング軌道なのですが、横切りなので縦の変化には脆そうです。フォロースルーまでしっかり振り抜きますが、打球を遠くに運ぶと言うよりは、強烈な打球で野手の間を抜けて行くタイプかと思います。


(今後は)

 捕手としての、センス・インテリジェンスはあまり感じないのが気になります。ただどっしり感・地肩の強さは悪くありません。現状捕手としてよりも、そのパワフルな打撃の方が注目だと思います。

 ただメカニズム的に、かなり脆い・粗い印象は否めず、将来的にもその傾向を改善するのは、かなり難しい作業になると思います。そのため捕手としてならば許されますが、それ以外のポジションは厳しいのではないかと思います。

 そのため、まず捕手としての総合力を引き上げて欲しいですね。打てる捕手と言うことで、アピールして行けば、来年度はかなり注目される存在まで成長出来るかもしれません。あとは、もっとプレー全体にキレみたいな「鋭さ」を強く意識して、取り組んで欲しいかなと思います。2010年度の九州を代表する強打者の一人だと思います。


(2009年・夏)





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 背番号7を付けながら、捕手として出場。同校には九州でも注目の強肩捕手・梅野隆太郎がいるが、彼に代わってスタメン起用されていた。恐らく秋の新チームからは、この選手が中心になってマスクを被るのではないのだろうか。

 打ってもチームの4番打者を担い、恵まれた体格を生かしてパワフルな打撃が目立つ。ただ打球は強いのだが、ヘッドスピードのキレに欠ける部分があり、切り返し、動作に「鋭さ」を身につけることが求められるだろう。

 捕手としても、どっしりと存在感があり、地肩にも中々強いものがある。来年に向けて、福岡を代表する選手に育って欲しい一人だった。

(2009年・春季九州大会)