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祖父江 大輔(25歳・トヨタ自動車)投手 174/71 右/左 (愛知大出身) 
 




 「課題を克服しつつある」





 祖父江と言えば、150キロ近い速球を投げられても、球速ほどボールが来なかったり、変化球も高めに入るなど欠点が多かった。そのため、再び解禁となった社会人2年目には指名されず。ある意味プロ入りには、ラストチャンスの年だと言っても過言ではなかった。しかし彼は、この一年の間に、大きく課題を克服してきたことに驚かされる。


(投球内容)

ストレート 常時142~146キロぐらい

 他球場に比べ3~5キロ程度厳しめの東京ドームであることを考えると、コンスタントに145キロ前後~150キロ近い球速は出ていた計算になる。そう考えると、スピード能力自体は以前とそれほど変わっていない。球質自体も、ストレートで空振りを誘う場面は少なく、それほど手元で伸びているとか、切れているといったほどの印象は受けない。それでは何が変わったのか?というと、ボールをコースや低めに安定して投げられるようになってきた。特に低めへの意識が強くなり、丁寧に投げている印象を受ける。またストレートはあくまでも見せ球であり、これで押そうという意識が薄れたことが、余計な力みを生まない要因になったのではないのだろうか。時々高めに甘く入ることはあるが、全体的には低めやコースに集まっている。

変化球 縦横のスライダー・チェンジアップ

 元々ストレートとスライダーの単調なコンビネーション投手との印象が強かった。しかし今は、縦に沈むスライダーを多投することで、相手に迷いが生まれさせている。横滑りするスライダーも、右打者の外角低めに切れ込み、打者の空振りを誘える。更に左打者にも、外から入って来る外スラを活かし痛手を食い難い。

 更にフォークだかチェンジアップのような縦の変化もあり、左右・高低を活かし、更に球速・曲がりの変化で多彩なコンビネーションを作り出している。以前のような単調な配球でもなければ、変化球が甘く入るケースも格段に減っている。そういったピッチングを、長いイニングに渡って継続できる精神力も養った。

その他

 牽制に関しては平均的で、あまり積極的に刺しに行くことはない。フィールディングも、他に取る選手がいれば任せるように、自分自身はあまり自信がないようだ。クィックは1.0秒前後で高速になり、昨年よりも更に素早く投げ込めるようになってきた。

(投球のまとめ)

 元々淡々と投げ込んで来るタイプで、配球も単調だった。しかし今は、かなり意識を集中させ、コースや低めに丹念に投げ込んで来る。「間」を上手く扱うタイプではないが、その分多彩なコンビネーションで相手を翻弄。単調で抑揚にかけるピッチングだったのを、上手く配膳できている。

 高めに甘く入る失投も減り、投球も安定。ただ相手にとって苦になるフォームではないので、高めに甘く入った球は痛打を浴びることも少なくない。また好投した次の試合ではあっさり序盤でK.Oされるなど、日によっての調子の波もあるようで、まだまだ絶対的な安定感を身につけているとは言えないようだ。


(投球フォーム)

<広がる可能性>

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻を一塁側に落とせるフォームではありません。そのためカーブで緩急をつけたり、縦に鋭く落ちるフォークのような球種には向いていません。しかし縦のスライダーやチェンジアップで、鋭い落差はありませんが、相手に狙いを絞らせません。

 ただ「着地」までの粘りはもう一つで、あまり好い変化球を身につけられるタイプでは元来ない。その割には、上手く変化球を活かすピッチングができるようになった。

<ボールの支配>

 グラブを最後まで内に抱えられているので、両サイドの制球は安定。「球持ち」も悪くないので、指先の感覚でもある程度ボールをコントロールできている。ただ足の甲の押しつけは、変化球の時は比較的長く地面を捉えられているが、ストレートの時は浅くその時間も短い。そのため意識が集中している時は低めに集められるが、疲れから指先の感覚が鈍ってきたり、集中力がとぎれると高めに浮きやすい。どうしてもストレートに凄い球威があるとか、伸びがあるわけではないので、ポカを喰らうケースが多くなる。

<故障のリスク>

 お尻を落とせるフォームではないが、カーブやフォーク・シュート系の球を無理に投げないので肘への負担は少なそうだ。ただ腕の角度に少し無理があるので、肩への負担は少なくなさそう。特にリリーフなどで連投が続くような時は、アフターケアに注意したい。

<球の行方>

 「着地」までの粘りがイマイチで、打者としてはタイミングが合わせやすい。また身体の「開き」も早いので、球筋はいち早く読まれる欠点がある。コースを突いた球でも、高めに浮けば踏み込まれて痛打を浴びてしまう。

 振り下ろした腕は身体に絡み、速球と変化球との見極めは難しい。ただボールにあまり体重が乗せられておらず、打者の手元まで球威のある球や生きた球が行き難い。球速はあるが、棒球になりやすいので注意したい。

(投球フォームのまとめ)

 投球フォームとしては「着地」「開き」「体重移動」と課題を抱えており、打者としては苦にならないフォーム。そのため多彩なコンビネーションで相手を翻弄することで、投球を成り立たせている(これまでは、それが出来なかった)。ただ冷静に対処出来るときは良いが、それができないと一気に打ち込まれる危険性は、未だにはらんでいる。


(最後に)

 この一年で大幅に欠点を改善し、それでいて球速を落とすようなことは無く進歩できた点は高く評価する。低めに140キロ台中盤を集められるのだから、やはり評価をしないわけには行かないだろう。

 ただ時々高めに甘く浮いたり、日によっての波もまだあるようで、全幅の信頼はおけない。そのため上位指名候補と言うほどの内容ではなく、中位~下位でならといった位置づけだろう。

 ただ一年間でここまで改善できた意識の高さとセンスは評価して、指名リストに名前は残したいところ。今年はプロ入りの、最大のチャンスではないのだろうか。


蔵の評価:
☆☆


(2012年 都市対抗)






祖父江 大輔(24歳・トヨタ自動車)投手 174/71 右/左 (愛知大出身)





                「スピード能力は一級品だが・・・」




 先発しても、立ち上がりから140キロ台中盤を連発し、最速93マイル(148.8キロ)を記録するなど、その球速だけなら社会人でもトップクラス。再び今年解禁を迎える注目のドラフト候補について、この春のスポニチ大会で確認してきた。果たして、そんな注目選手の現状について考えてみたい。


[高画質で再生]

祖父江 大輔(トヨタ自動車)投手 []


(投球内容)

ストレート 常時145キロ前後~MAX93マイル(148.8キロ)

 下記の寸評は、彼が大学4年の秋の時のもの。それと比べると平均的な球速は、社会人に入ってかなり伸びていることがわかる。ただ実際に生でみてみると、その球速表示ほどは、手元でキレるわけでもなく打者からもタイミングの合わせやすく苦にならない。またそのボールも高めに甘く浮いたり、指にかかって地面にワンバウンドするようなバラつきも多く、精度が高いものとも言い切れない。

変化球 スライダー・チェンジアップなど

 球種に関しては、スライダー・チェンジアップを織り交ぜるところ変わらず。特にスライダーが高めに入ることが多く、チェンジアップもそれほど絶対的な精度はない。スライダーが低めに決まった時に、この球で三振を奪うケースが目立つが、常に低めにコントロールされるわけではない。変化球のキレ・精度は、大学時代から大きくは変わっていなかった。

その他

 牽制に関しては、平均レベル。フィールディングも、自分からボールを積極的にとりにゆくタイプではないので、あまり自信はないのだろう。クィックは、1.1秒台と基準レベルにはある。四死球で自滅するタイプではないが、細かいコースを突くと言うほどのコントロールはなく、高めに甘く入った球を狙い打たれる。

 またそのマウンド捌きも、淡々と自分のリズムで投げ込むタイプで、ある意味単調で抑揚に欠けるピッチングスタイル。そのため打たれだすと止まらない一辺倒なところは、未だに改善されていない。そういったところからも、ピッチンセンスを感じさせる選手ではない。





(最後に)

 下記にある大学時代最後の寸評には、意外に実戦的なフォームもしており、課題は残すもののプロに混ぜても面白いかなと思い
も付けた。しかし名門・トヨタに在籍したものの、現状は球速こそ上がっているが、投球の本質的な欠点を改善しきれないままでいる。

 こう考えると、今プロに混ぜても即戦力としては考えづらく、ましてや2歳を歳を重ねたことを考えると、指名リストからは外さざるえない。よほど都市対抗までに、課題の改善がされない限りは、指名リストに名前を載せることはなさそうな内容だった。解禁組期待の投手ではあるが、個人的にな評価は辛口にならざるえない。





(2011年 スポニチ大会)





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祖父江 大輔(愛知大)投手 174/71 右/左 (愛知高出身)





                            「あれから一年」





 
愛知リーグの2部に、速い球を投げる投手がいると聞いて、初めて祖父江を昨年の秋に見た。その時のレポートは、下記に記してある通り。あれから一年、私の観戦した前の週には、MAX151キロに到達したと云われる 祖父江 大輔 を、再びこの秋観戦する機会に恵まれた。果たして、この一年もの間に、何処まで課題を克服したのか注目してみたい。





 
中背で、さほど肉付きの好い体格ではない。またやや開きの早いフォームのため、打者に与える威圧感や、タイミングが比較的取りやすそうなフォームではある。私は、あえて大学選手権にも出場した全国レベルの中京大相手に、どんなピッチングをするのか注目してみた。

ストレート 130キロ台後半~MAX91マイル(145.6キロ)

 ボールには多少の勢いは感じられるものの、手元で伸びるとかキレるといった空振りを誘える球質ではない。またウエートもない選手なので、それほど球威に優れるといった代物でもない。現状球速は出るが、まだまだプロの球とは言えず、球質の改善が求められる。

スライダー 130キロ前後

 かなり高速のスライダーを投げ込んで来る。この球も空振りを誘うと云う意味よりも、速球との変化を付けつつ、カウントを稼ぐといった類の変化球。ただし、速球以外でカウントを稼げるの変化球があるのは大きい。

 昨秋も指摘した通り、高めに抜け気味に行く傾向も強かったが、この日は両サイドにコントロールされており、この球を痛打されることは少なかった。

チェンジアップ 120キロ台後半

 左打者の外角低めのボールゾーンに決まるが、やや曲がりが速いのか?打者には見極めてられていたのは残念。

その他

 牽制はさほど鋭くないが、フィールディングはまずまず上手い。クィックも、1.0~1.1秒ぐらいにまとめるなど中々鋭い。ただ試合をまとめるセンスや、器用さには欠け、現状、球の勢いで押せるリリーフの方に、適正を感じさせる投手だ。

<右打者に対して> 
☆☆

 基本は、両サイドに球を投げ別けて来るタイプ。速球と球速の近い変化球とのコンビネーションため、何処か投球が一辺倒と云うか緩急が効かないのが残念。

 アバウトながら両サイドに散らすことは出来る選手だが、高めのボールゾーンに球が抜けることもあり、細かいコントロールがあるタイプではない。ただ真ん中近辺の甘いゾーンに行くことはなく、適度に球が散っているところは好いだろう。また追い込んでから空振りを誘えるような、縦の変化も将来的には欲しい。

<左打者に対して> 
☆☆

 左打者に対しても、右打者同様に両サイドに球を散らせる配球。ただ左打者から球が見やすいのか、けしてコースは悪くないのだが高めに浮いた速球を痛打される場面が目立った。

 右打者同様に、緩急・縦の変化が修得出来るのかが、この選手の今後の大きなポイントになりそうだ。もう少し外角低めに落ちるチェンジアップを、上手く使えるようになるとピッチングの幅が広がるだろう。

(投球のまとめ)

 現状、一辺倒な投球、高めに浮く球を痛打される傾向、武器になる縦の変化などに欠けるところがあり、全国レベルの打者相手には苦しいかなと云う印象。ただリリーフをすれば、150キロ級の球速は見込めるようなので、そうなると球の勢いで、ある程度押せる可能性を感じさせる。これから上のレベルで通用するならば、恐らく短いイニングでの投球になるだろう。


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(投球フォーム)

 上記の動画、この秋の祖父江投手の投球フォームである。この動画を参考に、彼の投球フォームについて考えてみたい。


<踏みだし> 
☆☆☆☆

 あらかじめ足をしっかり引いて構える選手で、バランスよりも勢いを重視、すなわち制球よりも球速を重視したスタイルとなっている。

 足を引き上げる勢いや高さもあり、フォーム序盤からエネルギーを捻出する、リリーフタイプの投手との印象を受ける。

<軸足への乗せとバランス> 
☆☆☆

 軸足一本で立ったときに、軸足の膝から上がピンと真上に伸び気味で余裕がない。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じる。しかし彼の場合、引き上げた足を上手く二塁方向に送り、全体のバランスは上手く取れている。

<お尻の落としと着地> 
☆☆☆☆

 引き上げた足を二塁側に送りつつも、お尻の一塁側への落としは悪くない。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながるからだ。

 ステップが広すぎず、狭すぎず。すなわち重心が立ち投げにならない程度で、それでいて深く沈みすぎない箇所と言うのが必ず存在する。そのため日本古来の指導だと、膝小僧に土が着く程の重心の沈み込みが良いとされたが、それに関しては私は沈み込み過ぎだと考える。どうしてもステップが広過ぎると、踏み込んだ足と軸足の間にお尻が沈んでしまい、前に体重が乗って行かないからだ。その辺は、フィニッシュの動作を見ていると、何処が適正だか見えて来る。ただ間違っても重心の沈み込み過ぎを回避するために、お尻を一塁側に落とさないで良いと言う、浅はかな指導だけは避けてもらいたい。お尻の一塁側への落としとは、その深さではなく、むしろ横のポジションニングを指しているからだ。

 また着地までのタイミングも悪くなく、上手く時間を稼いで着地出来ている。着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。

 通常フォームと言うのは、上半身の回転と下半身の回転が一致し、最大限のエネルギーが発揮出来る箇所がある(ボクシングのストーレートを打つとイメージしやすい)。野球の場合、その回転の一致を見つけることが、最も理想的なフォームであるように思える。

<グラブの抱えと軸足の粘り> 
☆☆☆☆

 グラブを最後まで、内にしっかり抱えることが出来ている。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。

 足の甲の押しつけの深さ・長さも悪くない。足の甲で地面を押しつける意味としては、

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがある。

<球の行方> 
☆☆☆☆

 グラブを斜め前に突きだし、前の肩と後ろの肩が結ぶラインが斜めになり、ボールを長く隠すことが出来ている。また着地の時点でも、ボールを持った腕は打者から見えておらず、身体の開きが早いと云うことはない。この点では、もっと開きの早い投手なのかなと思っていたが、けしてそんなことはなかった。

 ボールに角度を付けようと云う意識が強いのか、リリース時にボールを持っている右肩が上がり、グラブを持っている左肩が下がっており、身体への負担が大きなフォームになっているのが気になる。

 ただ球持ちに関しても、思ったより好くボールをそれなりに長く持っていられている。ボールを長く持つ意味としては

1,打者からタイミングが計りにくい

2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる

3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい

などがあげられる。

<フィニッシュ> 
☆☆☆

 振り下ろした腕が、もっと身体に強く絡んできて欲しい。ただ地面の蹴り上げも悪くないし、投げ終わった後に、大きくバランスを崩すようなことはない。


(投球フォームのまとめ)

 投球フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点でも、いずれもの技術がしっかりしており、この点ではむしろ意外とも云うべき完成度を誇っていた。昨年のフォームは分析をしていないのでよくわからないが、この一年で、かなり課題を改善させてきたのかもしれない。





(最後に)

 投球自体には、昨秋と殆ど変わったようには思えず、課題の多い投手かなと云う印象を受けた。しかし実際にフォーム分析をすると、かなり実戦的な技術の高さが伺われる。

 同じ愛知リーグの逸材である浅尾拓也(日本福祉大-中日)のように、華奢な身体なのに、こんな速い球を投げて、プロで鍛えたらどんな球を投げ込むだろうと云う素材的な期待感があった。そんな浅尾と比べると、やや素材としての面白みは劣るものの、実戦的なフォーム・試合をまとめる能力などは、この祖父江の方が上だったように思える。

 現状プロで1年目から活躍するような投球とは思えないが、フォーム技術もしっかりしており、将来的には緩急や縦の変化球も修得出来るフォームをしているだけに、まだまだ変化球を磨いて行ける可能性を感じさせる。

 ファームで1年ぐらい漬け込むと、見違えるような投球も期待出来るかもしれない。そういった意味では高い評価は出来ないが、指名リストに名前を連ねてみても面白い投手ではないのだろうか。


蔵の評価:



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(2009年・秋)




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打ち込めば見つかる捜し物!



 事前に140キロ台中盤を投げると聞いていたので、愛知大の試合がある日を選んで遠征を決めました。小柄~中背ぐらいの投手なので、球速はあるのですが、球威に欠ける印象があります。オーソドックスな右投手で、常時140キロ以上を記録する確かな球速が自慢です。

 常時140~MAX143キロぐらい、やや球威に欠けるのと、フォームがあまり苦にならなく、球速ほど速く見えませんし、イヤらしさは感じない投手でした。変化球もカーブ・スライダーぐらいで、勝負どころの決め手に欠ける印象です。あくまでも現時点では、地方リーグに、常時140キロ台を投げ込める投手がいると云う意味で注目出来る選手だと思います。

 ただ山内壮馬(名城大-中日入団)なんかは、先発では140キロ弱ぐらいでしたし、球威・威圧感もなどもなかったことを考えると、この一冬の取り組み次第では、大きく化けるかもしれません。特に浅尾(日本福祉大-中日)のような例もありますから、もう一度来年チェックを入れてみる価値はあるのではないのでしょうか。

 課題としては、苦にならないフォーム・球威不足・スライダーが全体に高いなど、かなり課題は多い印象です。この辺を改善して行かないと、社会人あたりでも苦しいと思いますが、逆に志しを高く持てば、一冬で変わって来るかもしれません。クィックは、1.15秒~1.2秒ぐらいとまずまずなのですが、牽制などの動作も大きく、課題は多いです。すべては今後の成長次第でしょうが、ドラフト候補の一人として来年マークしてみたい一人ではありました。

(2008年・秋)