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石橋 淳輝(大商大堺3年) 三塁 187/100 右/右





 「貴重な右の強打者」





 全てのカテゴリーを含めても、今年のドラフト市場は飛距離を売りにする強打者が総じて少ない。そんな中、貴重な右打ちの強打者候補として名前があがるのが、この 石橋 淳輝 である。


走塁面:
☆☆(2.0)

 1月に膝を痛めた影響もあったのか、一塁までの到達タイムは右打席から4.8秒前後。これを左打者に換算しても4.55秒前後に相当し、プロの基準から見れば
相当遅い。実際に計測した打球でも、一塁ベース付近で守備側と交錯しそうになって最後は速度を緩めていたため、実質的にはもう少し速いタイムが出るのかもしれない。ただし、プレーを見る限り、足はかなり遅いと見て良さそうだ。

守備面:
☆☆☆(3.0)

 夏の大会では背番号5を背負い、2試合ともに三塁手として出場した。球際でのバウンドの合わせ方や守備範囲などを見ても、
高校生の三塁手としては決して下手の部類ではない。さらに肩も水準以上ありそうであり、打球に対する貪欲さも感じさせる選手である。足力に不安があるだけに、こうして一軍や上のレベルでも三塁を死守できるようであれば非常に大きい。なお、春先は膝の故障の影響で一塁を守ることも多かった。





(打撃内容)

こ の夏は2試合で、
6打数2安打・1本塁打・3打点・2四死球・2三振、打率.333 という成績を残している。敗退した堺西戦では、レフトスタンド上段へ豪快に突き刺す本塁打を放っている。

<構え>
☆☆☆☆(4.0)

 右打席から前の足を軽く引き、グリップを高めに添えた典型的な強打者スタイル。背筋をしっかりと伸ばしつつ、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスも綺麗に取れている。

<始動>
遅すぎ

 投手の重心が沈みきったあたりで開いていた足を一度戻してカカトを浮かせ、本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用している。彼のようなパワーヒッターであっても、高校生の段階でここまで遅いタイミングで始動してしまうと、プロのスピードや変化球のキレに対応するのは厳しくなりそうだ。

<足の運び>
☆☆☆(3.0)

 小さくステップして真っ直ぐに踏み出していく。始動から着地までの「間」がほとんどないため、狙い球を絞り、その球を逃さず仕留める「鋭さ」が求められるスタイルである。真っ直ぐ踏み出す分、内角でも外角でも同じようにさばきたい意図が窺える。

 踏み出した足元は、インパクトの際に
ブレずしっかりと止まっている。そのため、逃げていく球や低めの球にも食らいつくことができる。ただ、彼のように打球の多くが引っ張り方向になる選手は、真ん中から内角寄りの球をさばく際、足元を少し動かして解放してあげた方が腰の回転をスムーズに促すことができる。前の足でガッチリと止めてさばくのは、外角の球をセンターから右方向へ強い打球で打ち返す際には有効と言えるのだが。

<リストワーク>
☆☆☆(3.0)

 打撃の準備である「トップ」の形を自然体で作れており、力みなくボールを呼び込めている点は素晴らしい。しかし、始動が遅い割に
バットを引く動作が遅れ気味になる点には注意したい。

 バットの入射角を見ると、上から強く引っ叩きに行く意識が強く、インサイドアウトの軌道で出てくることが多い。これはボールを引っ張る意識の表れであり、真ん中から内角寄りの球に対しては非常に有効である。ただし、外角寄りの球に対して無理にそのスイングを適用すると、どうしても引っかけてゴロになることが多くなり、外角の強い球を力強く打ち返す上では苦労しそうである。

 ボールを捉える角度などを見ていると、現状ではまだ遠く飛ばすスイングにはなっておらず、長打はあくまで上手く巻き込めた打球に限定されている印象を受ける。

<軸>
☆☆☆★(3.5)

 足の上げ下げが小さいため、目線の上下動は少なめに抑えられている。体の開きもしっかりと我慢できており、軸足の
内腿の筋肉がよく発達している。それが強烈な打球を生み出す原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 現状はあくまで上手く引っ張り込める球に対して強さを発揮する一方で、逃げていく球や外角への強い球に対しては苦労しそうな印象を受ける。ただ、足元がしっかり止まった形で振れているため、意識次第では外角への対応や右方向への打撃も十分に対応可能だと見る。上手く巻き込めた際には見事な長打力を発揮するものの、外角中心に攻め込まれた際に期待通りの長打が打てるかというと、現在のスイング形状を見る限りでは不安だと言わざるを得ない。


(最後に)

 「強打の三塁手」という得難い魅力はあるものの、現状は打撃の幅がやや狭く、打球角度を大きく上げるようなスイングになっていない点をどう評価すべきか。そうした意味でも、今後はさまざまな試行錯誤を重ねながら、打撃スタイルをブラッシュアップしていく必要がありそうだ。

 ドラフト指名となると育成枠での勝負になりそうであり、試行錯誤を繰り返しているうちに、あっという間に数年が過ぎ去ってしまうリスクもある。それだけに、大学などで自分の打撃をしっかりと固めてからプロの扉を叩くのも決して遅くはないように思える。とはいえ、これだけの右の強打者候補を、球界がそのままスルーし切れるかという気もまたする。果たしてどのような進路・評価を下されるのか、密かに注視していきたい。


(2026年夏 大阪大会)