26ky-30
| 田中 皐晴(日南学園3年)投手&右翼手 183/87 右/左 | |
対応力が高いと言っても、ボールに当てるのが上手いだとか、さばき方が上手いとか、単純にそういったことを言いたいわけではない。甲子園での横浜戦。小林鉄三郎の内角攻めに、最初は空振りを繰り返していた。しかし、三振り目には内角の球をファウルにし、徐々にタイミングを修正していく。ついに最後には、内角低めの球をライトへヒットに放って魅せたのだ。彼の対応力の高さとは、まさにそういった打席での修正力を評価したい。 走塁面:☆☆★ 2.5 左打席からの一塁到達タイムは4.2秒前後。このタイムは、ドラフト指名される左打者としては 中の下 ぐらいのタイムだ。実際、1年からの公式戦19試合では盗塁は僅かに1個。極端に遅いわけではないが、足を売りにするプレースタイルではなさそうだ。 守備面:☆☆☆ 3.0 ライトの動きを見ていると、無難に反応し処理している印象がある。先の走力からもそれほど守備範囲は広くなさそうだが、上のレベルでも無難な守備力をこなすライトとして収まる可能性はあるように思える。ライトからの返球も水準以上で、投手として130キロ台の球速を連発できるだけあり、地肩も 中の上 ぐらいはありそうな外野手だった。 (打撃内容) この夏の甲子園では 6打数4安打。明徳義塾や横浜という全国有数の強豪校相手に、この数字は見事だ。公式戦の通算打率も.448と、高い対応力を魅せている。ホームランは19試合で1本なので、本質的には中距離・ポイントゲッターといった感じの成績となっている。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 左打席から軽く前の足を引き、グリップは少し下げ気味に添えている。腰の据わり具合や両目で前を見据える姿勢も良く、全体にバランスの取れた構えとなっている。特に、打席でリラックスできているところが良い点だ。 <仕掛け> 平均~遅すぎ 普段は投手の重心が下がりきった時に動き出す「平均的な仕掛け」を採用しているが、タイミングが合わないと判断すると、一度ベース側に足を着いてリリース直前に再度ステップする「遅すぎる仕掛け」に切り替える。こうやって動き出すタイミングを変えることで、それまでタイミングの合わなかった球に対応を加えていたのは興味深い。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて、まっすぐ踏み出していく。「平均的な仕掛け」の時は始動から着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応する。「遅すぎる仕掛け」の時は、狙い球を絞ってその球を逃さず叩くことに特化している。 まっすぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く対応したいタイプなのだろう。踏み込んだ前の足は、インパクトの際には動かず我慢できている。そのため、逃げていく球や低めの球にも食らいつくことができる。ただし、内角の球をさばく際にも足元が動かず解放されていないため、腰の回転が促されず窮屈に感じる部分は残る。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込むことができている。一方で、打ちにいく時にグリップを引き上げるヒッチの動きが見られるため、バットを引くのが遅れないように注意したいところだ。今のスイングだと、本当に速い球への対応に立ち遅れる心配はある。 バットの振り出し自体は、インサイドアウトに上から振り下ろしてくるスイング軌道。これはボールを最短距離で捉えるのには優れているため、内角や引っ張りの時には適したスイングだ。ただし彼の場合、外角の球をさばく時にも同様であるため、木製バットでプロの強い球を叩く際には、しなりを生かしたスイングになりにくく、打ち返すのに苦労するかもしれない。スイングの弧自体もコンパクトで、引っ張った時に長打は生み出せるが、中距離打者でもアベレージヒッター寄りの打者ではないかと感じた。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 目線の上下動はそれなりといった感じ。体の開きは我慢できており、軸足にも粘りが感じられる。もう少し内ももの筋肉に強さが出てくると、打球の強さや飛距離が変わってくるかもしれない。 (打撃のまとめ) ボールを捉える能力には優れた打者だと思うが、思ったほど長打が出にくいタイプなのかなと感じる。その一方で、足元が解放されずに腰の回転を充分に促せない内角さばきや、インサイドアウトのスイングゆえの外角の強い球への対応に不安が残る。そういった意味では、当て勘自体は素晴らしいと思うが、現状さばけるコースは意外に狭いのではないかと判断する。 (最後に) 守備・走力を売りにするタイプでもなく、打者としても長打で魅了するタイプではなさそうな左打者。そう考えると対応力の素晴らしさは認めつつも、支配下で指名するほどかと言われると個人的には疑問が残る部分がある。甲子園では「大会No.1の左打者」と評価は高かったが、ドラフト的には下位〜育成あたりの指名が妥当なのではないかと感じる。個人的には上記の理由から、☆(支配下級)の評価までには至らなかった。 (2026年夏 甲子園) |