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| 藤井 悠貴(新宮3年) 投手 197/105 右/右 | |
昨年はまだ恵まれた大型の身体を持て余している印象の強かった 藤井 悠貴。しかし、最終学年を迎えて見違えるほど身体を自在に使いこなせるようになり、その投球内容が一変していたことには強い驚きを覚えた。 (投球内容) 3年夏の福岡大会では、2試合に登板して17回を投げ、被安打14、四死球12、奪三振20、防御率2.65 という成績を残した。 ストレート 140キロ前後〜145キロ ☆☆☆(3.0) 恵まれた巨体から投げ下ろしてくる真っ直ぐの勢い・球威は、表示上の球速以上に迫力を感じさせる。球速帯としてはドラフト候補として平均的だが、ボールの重みや強さは水準以上である。大まかに両サイドへ投げ分ける制球力はあるものの、全体的に高めに抜けたり浮いたりする球も少なくない。その課題は17イニングで12四死球という数字にも表れている。それでも意識的に内角を突く強気さがあり、三振の多くもこのストレートで奪っている印象だ。 横変化 スライダー ☆☆★(2.5) 横滑りするスライダーを投げ込んでくるが、しっかりと曲がりきらずに高めへ抜けてしまう場面が少なくない。この球種を意図通りに制御できるかが、この投手の投球における生命線と言えそうだ。 縦変化 チェンジアップ ☆☆☆(3.0) 小さく沈むチェンジアップを積極的につかってくる。ややスプリット気味の軌道を描く球種で、現状では変化球の中で最も制御が利いている印象を受ける。ただし、打者の空振りを豪快に奪うというよりは、打たせて取る用途に近い。 緩急 カーブ ☆☆★(2.5) 時折、緩いカーブを織り交ぜてくる。ただし現状では、勝負どころで使う球種や投球の軸として頻繁に混ぜてくる段階には至っていない。 投球以外の技術 ☆☆☆(3.0) クイックタイムは1.05秒前後と水準以上である。走者への目配せは十分とは言えないが、投球の間合いを長く取るなど盗塁を防ぐ工夫が見られる。フィールディングは平均的だが、飯塚戦では悪送球を喫する場面もあった。昨年はただ淡々と投げている印象が強かったが、今年は落ち着いて配球や状況を考えて投げられるようになっている。 (投球のまとめ) この1年でかなり地に足の着いた投球ができるようになってきた。ボールの威力も着実に増しており、単に恵まれた体格から力任せに投げ込むだけの投手ではない。マウンド上で思考しながら組み立てる力を身につけたことが確認できた点は、今夏最大の収穫であった。 (投球フォーム) セットポジションから足を静かに引き上げ、引き上げる高さもそれほど高くない先発タイプの始動である。軸足一本で立った際に膝から上がピンと伸び切らず、無駄な力みが感じられない点は好印象だ。 <広がる可能性> ☆☆☆(3.0) 引き上げた足を地面に向けてそのまま伸ばしていくため、お尻がバッテリーライン上に残りやすい。そのため、落差の大きいカーブやフォークといった球種を習得するにはやや適さないフォームと言える。 「着地」までのステップは適度に前方へ踏み出せており、体を捻り出す時間は確保できている。フォーク系以外であれば、キレのある変化球を身につけていくことは十分に期待できそうだ。 <ボールの支配> ☆☆☆★(3.5) グラブは最後まで体内に抱えられており、外へ逃げようとする遠心力を抑え込めている。そのため体軸がブレにくく、左右へのコントロールはつけやすい。足の甲での地面の捉え方は映像上やや見極めづらいが、「球持ち」はそれなりに確保できている。ボールが高めに上吊る場面が見られ、高低の制御には課題を残すものの、メカニクス自体は悪くない。リリースポイントが安定し、ボールをしっかり押し込めるようになれば、低めへの制球も整ってくるはずだ。 <故障のリスク> ☆☆★(2.5) お尻を一塁側に落とせないフォームのため、大型投手だからといって無理にフォークなどを多用しない方が賢明と言える。現状のようにスライダーやチェンジアップを中心に組み立て、肩肘に窮屈な負荷がかかるのを防ぎたい。 腕の送り出しを見ると、ややボールを持つ側の肩が上がり、グラブ側の肩が下がり気味になる。ただ極端な癖ではなく、長身からの角度を活かす上ではある程度許容範囲とも言える。現状は力投派タイプではないが、肩肘のケアには十分に注意を払いたいフォームである。 <実戦的な術> ☆☆☆☆(4.0) 「着地」までの粘りが作れており、ボールの出どころも隠せている。長身から繰り出される角度も相まって、打者にとっては芯で捉えづらいアングルになっている。腕も振れているため、ストライクゾーンからボールゾーンへ逃げていく変化球を磨けば、空振りを量産できる可能性を秘めている。体重を乗せてからリリースできており、打者の手元まで強い球がいっている。 (フォームのまとめ) 投球フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」において、目立った重大な欠点は見当たらない。課題としては高低の制球精度と故障リスクが挙げられるが、大型投手でありながら理にかなったメカニクスで投げられており、全体として実戦的である。プロで通用する「絶対的な決め球」を確立できるかが今後の鍵となる。 (最後に) この1年で見せた著しい成長は、土台となるフォームの確かさに裏打ちされたものだ。ただ体格に恵まれただけの投手ではなく、意図を持って思考し、フォームの改良に取り組んできた形跡がはっきりと感じられた。現状は育成枠での獲得が現実的な段階と言えるが、柳川大晟(九州国際大付-日本ハム)のようにプロの環境で大きく化ける可能性を秘めた素材ではないのだろうか。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2026年夏 福岡大会) |