26kp-22
| 西田 櫂吏(京都国際3年)投手 178/76 左/左 | |
昨秋見た時の印象と、最後の夏に見た時でストレートの質や印象が変わらなかった 西田 櫂吏。高校生から一気にプロの舞台を目指す上では、その成長曲線の停滞がどうしても気になるところである。 (投球内容) 3年夏の大会では、3試合で20回を投げ、被安打8、四死球16、奪三振14、防御率1.35 という成績を残し、チームは準々決勝で敗退となった。 ストレート 135〜140キロぐらい ☆☆★(2.5) 最後の大会では最速144キロを記録したとのことだが、実際の試合で見る限りは135キロ〜140キロ前後に映り、ストレート自体の球威や勢いには物足りなさが残る。それ以上に気がかりなのが、ストレートのコマンド(制球力)の粗さである。そのため、投球の軸は自然と変化球中心の組み立てにならざるを得なくなっている。 横変化 スライダー ☆☆☆(3.0) 鋭く曲がりながら沈むスライダーが大きな武器であり、この球種とのコンビネーションで試合を作っていく。このスライダーの精度が高いおかげで、ストレートにバラツキがあっても試合を壊さずにまとめ上げることができている。それでも、20イニングで16四死球という数字からも、全体的に四死球の多さが課題として浮き彫りになる。 縦変化 チェンジアップ ☆☆☆(3.0) 低めのボールゾーンへと沈む球の多くはチェンジアップ系と考えられる。スライダーではそれほど空振りを奪えない分、この低めに沈む球で打者にバットを振らせ、空振りを誘う配球が光る。 緩急 カーブ ☆☆☆(3.0) スライダーと似た軌道を描くため、球種の見極めが難しい。さらに、この緩い球をコンビネーションの中に上手く落とし込んで緩急をつけている。 投球以外の技術 ☆☆☆★(3.5) クイックタイムは1.0秒〜1.1秒前後とまずまずの水準である。走者をしっかりと見据えて適度に牽制も入れるため、走者としてはスタートが極めて切りにくいはずだ。さらにボールを長く持って投げ込むなど、随所に優れた投球センスが感じられる。 (投球のまとめ) 速球で圧倒するというよりも、速球もコンビネーションを彩る一つの球種という位置づけの配球になっている。ただ、ストレートへの警戒感が薄いせいか、低めに沈むチェンジアップに打者がなかなか吊られ難い点は気になるところだ。投手としての高いセンスは感じさせるものの、投球の軸となるストレートの精度と球威には物足りなさが拭えない。 (投球フォーム) セットポジションから足を引き上げる際の勢いや高さは並程度である。軸足一本で立った時に、膝から上がピンと伸び気味になり、やや力みが感じられる。そのため、身体が「トの字」の形になりがちであり、バランスを無理に取ろうとして制球を乱したり、前へ突っ込みやすくなったりする傾向がある。 <広がる可能性> ☆☆☆★(3.5) 引き上げた足を地面に向けているため、お尻を三塁側(左投手の場合)へ落とすタメがやや甘くなりがちである。こうなると、カーブやフォークといった縦変化を全く投げられないわけではないものの、その変化の鋭さが鈍くなりやすい。 「着地」までの地面の捉え方はそれなりにできており、図抜けて武器になるような球の習得までは微妙でも、キレのある変化球全般を身につけていくことは十分に期待できそうだ。 <ボールの支配> ☆☆☆(3.0) グラブは最後まで体の近くに収まっており、外へ逃げようとする遠心力を体内に留めることができている。ただ、足の甲で地面を捉えている時間が浅いのと、「球持ち」が短くてボールを十分に押し込みきれていないため、ストレートを中心にボールが上吊りやすくなっている。 <故障のリスク> ☆☆★(2.5) お尻の落としに甘さは残るものの、カーブやフォークといった球種の割合がそこまで多くないため、腕の振りが極端に窮屈になって肘などへ過度な負担がかかることは少なそうである。 懸念されるのは、ボールを持つ側の肩が上がり、グラブ側の肩が下がりがちなフォーム形状であり、肩関節への負担がそれなりにかかっている点だ。また、ストレートを投げる際に力む癖があるため、疲労が蓄積しやすい点には注意したい。 <実戦的な術> ☆☆☆★(3.5) 「着地」までの地面の捉え方は適度に粘れており、ボールの出どころも上手く隠せている。腕も一定の強さで振れているため、打者はその勢いに惑わされやすい。ストライクゾーンからボールゾーンへ逃げていく変化球をさらに巧みに使えれば、もっと三振が取れて不思議ではない投手である。ただ、投げ終わったあとに三塁側へ身体が流れるなどして、生み出したエネルギーをリリースへ十分に伝えきれていないもったいなさがある。 (フォームのまとめ) 投球フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」のうち、「球持ち」と「体重移動」の面にはまだ多くの改善の余地が残されている。高低の制球精度に課題があり、肩への負担が大きめな点も気掛かりな材料だ。絶対的な決め球の習得までは未知数だが、変化球全般の質を高められる好素材になり得る。あとは、いかにストレート自体の質と精度に磨きをかけられるかに尽きると言える。 (最後に) プロからの指名となると、育成枠での模索になる公算が高そうだ。ただ、好選手をコンスタントにプロへ送り込んできた学校の左腕だけに、何処かの球団がその将来性を見込んでリストアップしてくる可能性は十分に考えられる。仮に今回のドラフトで指名漏れしたとしても、今後の成長を長く追いかけてみたいと思わせてくれる、確かな可能性を秘めた投手であった。 (2026年夏 京都大会) |
| 西田 櫂吏(京都国際2年)投手 178/83 左/左 | |
昨夏の甲子園では登板機会がなかったものの、秋の新チーム発足とともに急浮上してきたのが、この 西田 櫂吏 だ。関西地区を代表する左腕として、今春の近畿大会や選抜では多くのスカウトが熱視線を送ることになるだろう。 (投球内容) 一言で言えば「正統派のサウスポー」だ。荒削りな素材型というよりは、丁寧にコースを突きながら試合を作る「実戦派」の色彩が強い。 ストレート(135キロ〜140キロ強ぐらい):☆☆☆(3.0) 現状、ドラフト候補の左腕としては標準的な球速帯。適度な勢いは感じるものの、意図したコースへ完璧に投げ分けるまでには至らず、ややバラつく傾向がある。ただ、多少荒れていても「甘いゾーン」には入ってこない点が、彼の非凡なセンスを感じさせるところだ。 横変化球(スライダー):☆☆☆★(3.5) 西田の最大の武器は、斜めに鋭く沈むスライダーにある。左打者の外角低めに集めるだけでなく、右打者の内角へ食い込ませることもできる。低めに決まる確率が非常に高いため、痛打を浴びにくく、最も信頼の置ける球となっている。 縦変化(チェンジアップ:☆☆☆(3.0) スライダーほどのキレや精度はないものの、右打者へのチェンジアップを有効に使ってくる。 緩急(カーブ:☆☆☆ 3.0) 適度に織り交ぜて緩急をつける。カウントを整えるアクセントとして機能しており、投球の幅を広げている。 牽制・クイックなど:☆☆☆★(3.5) クイックタイムは1.05〜1.15秒と基準以上。走者への目配せも怠らず、牽制を適度に挟むため、相手走者はスタートが切りにくいだろう。ピンチでも投げ急ぐことがなく、状況次第では「際どいコースを突いて、打ってこないなら歩かせてもいい」という割り切った投球を見せる。このあたりの落ち着きは、高校生離れしている。 (投球のまとめ) しっかり思考しながらピッチングができる選手であり、その点は昨夏の優勝投手である先輩・西村一毅 から多くを学んでいるようだ。素材の良さで圧倒するよりも、総合力の高さで勝負するタイプ。それでもポテンシャルとしては、西村以上の投手へ化けても不思議ではない。 (投球フォーム) セットポジションから、平均的な高さまで足を引き上げる。軸足一本で立った際の膝の力みはなく、全体のバランスは良好だ。 <広がる可能性> ☆☆★(2.5) 引き上げた足を地面へ向かって直線的に伸ばすため、重心(お尻)がバッテリーライン上に落ちやすい。そのため、体を縦に捻り出すスペースを確保しにくく、現時点では縦に割れるカーブやフォークの習得にはあまり適さない構造に見える。スライダーやチェンジアップ、あるいは球速差の少ない小さな変化を中心に組み立てるスタイルが合っていそうだ。 <ボールの支配> ☆☆☆☆(4.0) グラブを最後まで内側に抱え込み、遠心力による開きを抑え込んでいる。軸がブレにくいため、両サイドへの制球力は高い。足の甲でしっかり地面を捉え、ボールが浮き上がるのを防いでいる。球持ちは標準的だが、ボールを低めに集める能力に長けている。 <故障のリスク> ☆☆★(2.5) 重心の落とし方がやや窮屈なため、無理に縦の変化球(フォーク等)を多投しようとすると、肘への負担が増す懸念がある。現状は横の変化が主体なので過度な心配はいらないが、気になるのは投球時に「投げる側の肩が上がり、グラブ側の肩が下がる」点。力投派ではないため疲労蓄積は緩やかだろうが、肩関節のケアには注視したい。 <実戦的な術> ☆☆☆★(3.5) 着地までの粘りは平均的だが、ボールの出どころが隠れており打者はタイミングを取りにくい。腕の振りも体にしっかり絡んでくるため、打者は思わず手を出してしまう要素がある。ただ、まだリリース時に体重が完全に乗り切っていない点や、投球後に左側へ体が流れてエネルギーをロスしている点は、今後の改善ポイントだろう。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作(着地、球持ち、開き、体重移動)で見ると、「着地」と「体重移動」に改善の余地ある。制球力に優れる一方で、やや窮屈な使い方が故障のリスクを孕むのが懸念材料だ。今後、体をさらに大きくし、負担の少ないメカニズムで強力な変化球を身につけられるかが鍵となる。 (最後に) 一冬越えて順調に体がスケールアップすれば、春の選抜大会では「関西屈指の左腕」として全国的な注目を浴びるはずだ。高校卒業後に直接プロを狙うのか、大学を経由するのか。いずれにせよ、ドラフト候補として名前が挙がってくる存在であることは間違いない。その成長を追いかけるのが、今から楽しみな投手だ。 (2025年秋) |