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前田 敬太(中部商3年)投手 183/76 右/右 
 




                    「良い時を見ておきたかった」





 昨秋の投球を動画で観て、ぜひ一度生で観てみたいと思っていた 前田 敬太 。最終学年に入ってからは、故障で順調さを欠いていたとか、まだフォームが固まっていないなど、昨秋ほどの内容を取り戻せないまま、最後の夏を終えてしまったという。


(投球内容)

 フォームが固まっていないと訊いていたが、コントロールや投球術はしっかりしていて、そういった印象は特に受けなかった。

ストレート 常時135キロ前後~MAX139キロ

 セルラースタジアムのガンでは、MAX139キロを記録。しかし私のガンでは、MAX85マイル(136キロ)止まりだった球速。しかしその球速以上に、指先でしっかりボールを切ることができ、ビシッと見栄えのある球は投げていた。秋はコンスタントに140キロ台を越えていたというから、この球質で140キロ台を越えていたら、相当なボールに見えていたことだろう。ボール全体がやや高いのは気になったものの、両サイドへのコマンドは高く、球筋が安定していた。

変化球 スライダー・フォークなど

 変化球は、スライダーとのコンビネーション。フォークにも自信を持っているとのことでしたが、この試合ではそれほど多くは投げていません。故障などもありフォークのような負担の大きな球は、投げるのを少なめにしていたのかもしれません。

その他

 クィックを使わないこともあるのですが、使えば1.05~1.15秒ぐらいとまずまず。マウンド捌き・コントロールなども良く、投手センスに優れた投手らしい投手との印象。

(投球のまとめ)

 イメージ的には、かなり省エネピッチングをしていた 3年夏の 涌井 秀章(横浜高-西武-ロッテ)の投球を思い出します。ただ涌井の場合は、本気で投げれば当時から140キロ台中盤を連発できる能力はありました。しかし今の前田は、他の試合を見た沖縄方によれば、この日とさほど変わらなかったといいます。そうなると持っているものは素晴らしいものの、高校からプロかと言われると判断に悩みます。





(投球フォーム)

判断に悩むので、フォーム分析をして将来像を模索してみましょう。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側には落とせません。したがって身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークといった球種を投げるのには無理があります。

 この選手の素晴らしいのは、足をグッと前に逃がすことができ、着地までの時間を稼ぐことができること。身体を捻り出す時間を確保できるので、曲がりが大きい・キレのある変化球を生み出しやすいわけです。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブを最後まで内に抱えているので、両サイドの投げ分けは安定。足の甲での地面への押し付けが浅いので、ボールが上吊りやすいのは気になるところ。それでも「球持ち」が良いので、微妙なコントロールをつけやすい部分は買えます。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻が落とせないのにフォークなどを投げているとなると、肘への負担が心配されます。その辺が、故障の原因になった可能性も。

 振り下ろす腕の送り出しには無理が感じられないので、肩への負担は少ないのでは? それほど力投派ではないので、消耗が激しいようには見えないのですが。

<実戦的な術> ☆☆☆☆

 「着地」までの粘りがあるので、打者は合わせ難いのでは。体の「開き」も我慢できているので、コースを間違えなければ痛打を浴び難いはず。

 振り下ろした腕は身体に絡み、速球と変化球の見極めは困難。ボールにも適度に体重が乗せられ、球速以上に打者の手元まで来る感じがします。


(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、悪い部分がなく実戦的なフォームであることがわかります。足の甲で地面を抑えられないので、ボールが上吊りやすいこと。お尻が落とせない割にフォークを投げることでの肘への負担というマイナスポイントはありますが、総じて良いフォームだと言えるでしょう。


(最後に)

 この投球の土台に、このフォームで140キロ台を連発していたのならば、中位~上位指名を狙えた素材だと言えるでしょう。しかし現状は130キロ台中盤がほとんどなので、かなり指名するのにはリスクが大きいかと。

 そのためメディカルチェック含めて、指名には入念なチェックがいると言えます。その問題がクリアできれば、指名してみても面白い選手だとは言えます。しかしそういった不安が残る選手なので、あえて高卒プロにこだわる必要もないのかな?という気もします。果たして最終的に、志望届けを提出するのか気になります。

 あくまでも回復すれば相当面白いという期待は抱けますが、実際に私自身そういった球を見たことがないので、あえてその可能性は認めつつも、今回は指名リストから名前を外したいと考えました。しかし復調すれば、1年目から相当やっても全然不思議ではないでしょう。



(2015年夏 沖縄大会)