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十亀 剣(西武)投手のルーキー回顧へ



 十亀 剣(24歳・JR東日本)投手 183/82 右/右 (日大出身)
 




               「低めで伸びる球は一級品!」





5月までの関東選抜リーグで、今年3回ぐらい見ました。その時には、すでに指名確実だと評価し、一度寸評を作成した選手です。今回は、都市対抗という最高の舞台で、どんなピッチングをするのか楽しみでした。そのことも踏まえて、今回は最終寸評を作成したいと思います。

(投球内容)

右サイドハンドから、常時145~MAX150キロを大阪ドームでも記録しました。大学4年時のレポートを読み直すと、故障などもあり140キロソコソコ。そう考えると社会人では見事立て直し、更に資質を伸ばしてきた点は素晴らしいです。

ストレート 常時145キロ前後~MAX150キロ

打者の低めで、グ~ンと伸びてくるボールの勢いは社会人髄一。それも恵まれた体格から繰り出され、サイドハンドとくれば、打者には相当速く感じられるはず。コース一杯に決まった時は、思わず手が出ない爽快感があります。ただストライクゾーンの枠の中にはボールが集められますが、制球は結構アバウトです。

変化球 スライダー・シンカー・カーブ・ツーシームなど

一番多く使うのは、スライダー。カウントを稼いだり、ストライクゾーン~ボールゾーンに切れ込み空振りを誘ったりしています。やや曲がり速くボール球を見極められてしまうケースもありますが、もう少し精度が磨かればもっと生かせるように思えます。

春先は、左打者にもっとシンカーを多投していた印象があります。しかし左打者の外角にもスライダーを使ったりしてカウントを稼ぎます。特に緩いカーブをアクセントに使い、投球が一辺倒にならない意識が持てています。また140キロぐらいに球速を殺したツーシームなども織りまぜ、右打者の内角を厳しく突いたりもします。

ただ現状は、まだ変化球の精度が低く、勝負どころで甘くなるケースが目立ちます。これだけのストレートを持ってしても、都市対抗予選の17イニングで13奪三振は、1イニングあたり0.76個。けして、三振を多く奪うタイプではないことがわかります。勝負どころでの変化球の精度が、課題としてあげられます。

その他

クィックは、1.0~1.1秒以下でおさめられ、非常に素早く投げ込んできます。牽制も鋭く、サイドハンドでもランナーの進塁を容易には許しません。ボールが速くなったことで、自分に自信が持てるようになりました。そういった中で実績を重ねるにつれ、堂々としたマウンド捌きを身につけつつあります。

元々試合をまとめるセンスや投球を作るれるタイプではなかったのですが、だいぶそういった部分も改善されつつあります。球種を増やすことで攻めのバリエーションも増え、ピンチになっても精神的な余裕が生まれてきました。プロで先発かと言われるとまだ疑問なレベルですが、リリーフならばボールの勢いが確かなので即戦力に成り得る素材だと思います。ただ決め手にかけるので、クローザーというよりはセットアッパー的な役割を担うのではないのでしょうか。

(投球フォーム)

<広がる可能性>

どうしてもサイドハンドなので、お尻を一塁には落とせません。そのため見分けの難しいカーブや縦に鋭く落ちるフォークの習得は難しいです。それでもカーブを多投しており、それほど見破られるほどの緩みは感じないので、適度に混ぜて行くことは可能ではないかと思います。ただ着地までの粘りも並なので、やはり球速豊かな変化球と曲がりの小さな変化球で勝負するピッチングスタイルは、これからも変わらないと思います。

<ボールの支配>

グラブは最後まで内に抱えられているので、両サイドの投げ分けは悪くありません。ただ足の甲の押しつけは、少し浅くボールが上吊りやすいフォームです。それでも低めに決まる球もあるので、それほど気にすることはなさそすです。ただ球持ちも悪くはないのですが、指先の感覚はあまりよくないように思えます。これからも制球よりも、ボールの勢いで押すピッチングスタイルではないのでしょうか。

<故障のリスク>

お尻が落とせないフォームの割に、カーブやツーシームなどを結構使うので、肘への負担は少なくありません。ただ腕の角度にもは無理がないので、肩への負担は少なそうです。リリーフなど負担も大きくなることが予想されるので、日頃から体のケアには充分注意してもらいたいですね。

<実戦的な術>

「着地」までの粘りが平均的で、体の「開き」も少し早いように思えます。そのためボールの出所は、少し見やすいのが気になります。また腕の絡みもそれほどではないので、球種などの見極めも難しくはないかもしれません。そういった意味では、あのカーブがプロで通用するか少し心配です。ただ体重移動は悪くないので、ボールにしっかり体重を乗せることができ、手元まで非常に勢いのある球が投げられています。

(投球フォームのまとめ)

「着地」の粘りや「開き」がそれほどでもないので、打者としてはけして苦になるほどのフォームではありません。そのため淡白にならないように、ピンチの時には意識的に「間」を取ったり、緩急を使う配球に気をつけたいですね。

「球持ち」も並で指先の感覚もイマイチのようで、将来的にも細かい制球がつくかは微妙です。ただ「体重移動」はしっかりできているので、プロ入り後もストレートで押して行くことも期待できます。ストレートに関しては、プロでも充分力で押せる代物です。

(最後に)

ストレートの勢いの素晴らしさの反面、細かい制球力や変化球レベルが高くないのは、増渕 竜義(ヤクルト)の鷲宮高校時代の投球を彷彿とさせます。彼は、高校生だったことを考えると、大卒2年目の十亀は、年齢の割に投球が粗いなあと言う印象は否めません。

ただ日大時代に比べると、格段に良くなってきた点。課題を見つけ、それを改善しようとしている点などを考慮すると、プロ入り後も伸びて行ける可能性も感じさせます。24歳にして発展途上の投手ではありますが、一軍でも即通用しそうなストレートもあります。注目と責任がかかる都市対抗の舞台でも、その重責を担い結果を残したことは、素直に評価したい部分。そういった意味では、春よりもワンランク評価を高めても好いかなと思いました。結構まだプロではポカもしでかしそうですが、それを糧に更に伸びて行くことを期待させてくれる選手。1年目からリリーフとして、50試合 防御率 3点前後の活躍は期待したいですね。


蔵の評価:☆☆☆(上位指名級)


(2011年・都市対抗)






 十亀 剣(24歳・JR東日本)投手 183/82 右/右 (日大出身)
 




                「指名は確実だね。」





今年の社会人球界の中でも、この選手は指名が確実だろうと言える選手は数少ない。そんな数少ない有力選手の中でも、今後のアピール次第では上位指名も狙えるのが、この 十亀 剣 。彼の良さは、強い上体の振りを活かし、ストレートと変化球の見分けが困難な腕の振りにある。


(投球内容)

日大時代よりも、かなり体付きが立派になってきた。球威・球速も格段にUPし、投手としてのスケールが見違えるように変わってきた。

ストレート 140~MAX92マイル(147.2キロ)

その球速は、コンスタントに145キロ前後をたたき出せるまでに成長。今は自分のストレートに自信を深めており、マウンドでも実に堂々と投げ込んで来る。球威・球速・質共に兼ね備えるプロのストレートであり、その点ではプロ入りには不安がない。

変化球 スライダー・シンカー・カーブ・ツーシームなど

投球の幅を広げようと、スライダーやシンカー以外にも、100キロ台の緩いカーブで緩急を利かしたり、ツーシームで右打者膝下に投げて踏み込みを封じたりと工夫が見られる。外角一杯に集まる130キロ近いスライダーも、腕の振りからストレートとの見分けは困難。空振りを誘うような曲りの大きなシロモノではないが、打者としては厄介なはず。左打者にはシンカーを多く使って来るが、空振りを誘うような落差の大きな球ではない。プロを想定すると絶対的な決め球がないので、追い込んでからの投球に一つ工夫が求められそうだ。

その他

以前は結構荒れ球の印象が強かったが、今は適度に両コーナーに投げ分けるコントロールを身につけた。制球に不安がなくなり、実に堂々と打てるものなら打ってみろと言う自信がマウンドからも伝わってくる。本質的には、気持ちで抑えに行くリリーフタイプだが、投球の幅を広げることで先発でもある程度試合を作れるようになってきている。そういった適度のまとまりを身につけたことが、この選手の成長した証。

何より大学時代は、ただ速い球を投げ込んで来る投手との印象だったが、現在はカウントが悪くなっても、自信を持って投げ込んできており、ピンチに動じない強い精神力を身につけつつある。何より変わったのは、球の威力を増したことにより、大きな自信を身につけたことだろう。



[高画質で再生]

十亀 剣(24歳・JR東日本)投手 [] 


(技術的には)

そんなに細かい制球力や、抜群のマウンドセンスがあるわけではありません。しかしサイドハンドの割には、ボール長く隠せており、体の「開き」が早くないのは良いところ。「着地」までの粘りがあるとか「球持ち」が凄く良いとか言う粘っこさやイヤラシさはないのですが、抑えるポイントは抑えていて、力強く腕を振れています。この腕の振りこそが、この投手の最大の持ち味です。

(これからのチェックポイント)

日大時代も、素晴らしいボールを放っていた時期もありましたが、それを持続するだけの心身共にスタミナがなかったように思えます。しかし今は、それを支えるだけの体力も気力も充実してきたのではないかと評価します。

私が観戦した5月よりも、現在更に球威・球速を増していると言う話もございます。そういった意味では、都市対抗予選~本戦に向けて充分アピールできれば、3位以下級ぐらいだった評価を、上位24人以内(2位指名以内)での指名も期待できるかもしれません。その辺の投球を、ぜひ確認して最終的な評価を下して行ければと思っております。今回は、私が観た5月の時点での評価ですが、その内容次第では更にぐらいは、増えるかもしれませんね。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2011年 関東選抜リーグ)










十亀 剣(日本大)投手 181/76 右/右 (愛工大名電出身)

 
(どんな選手?)

 大型のサイドハンドで、全身を使って投げ込む力投派投手として、愛工大名電時代から目立っていた投手でした。日大に進んでからもその才能を磨いてきたのですが、故障などもあったのか、一時の勢いが薄れているのが残念です。しかしながら、今年の日大では、最もマークすべき投手と言えそうです。


動画:十亀 剣(日大)投手 


(投球スタイル)

 基本的には、両サイドに球を散らすピッチングが持ち味で、球速は常時135~MAX88マイル(140.8キロ)を記録しておりました。ただけして繊細なピッチングをしてくるタイプと言うよりは、力で押すのが持ち味の投手だけに、その割には現在の球の勢い・球速は、もう一つ物足りない印象は否めません。

 変化球は、スライダー・シンカーなど。高校時代には、あまりシンカーが目立たなかっただけに、その辺は投球の幅が広がってきたのかもしれません。久々に注意して観てみたのですが、如何せんリリーフで少し観ただけに、あまり細かい部分まではわかりませんでした。

(最後に)

 サイドハンドの場合、腕がしなって出てくるような投手の場合は、多少球威・球速がなくてもタイミングが取りにくく通用するのですが、彼のように腕が突っ張って投げるタイプのサイドハンドの場合、かなり球威・球速など球の勢いが必要になります。また投球に、それほど繊細さがないのも相まって、現状の球威・球速では、大卒プロと言うのは厳しいかなという印象は否めませんでした。秋には、もうワンランク上の速球を投げ込むことで、ドラフト候補を意識出来るのではないかと思います。

(2009年・春季リーグ)



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十亀 剣(愛知・愛工大名電)投手 181/75 右/右

 全身を使って投げ込む力投派サイドスロー投手。躍動感溢れるフォームから常時135~MAX142キロの速球には、キレがあり勢いを感じさせる。横手独特の球筋と荒れ球で、相手打者としては、狙いを絞り難く厄介だろう。球種はカーブ・スライダーと横の変化中心、その制球力もかなりアバウトだ。

 体格にも恵まれ、気持ちも全面に押し出すタイプだけに、今後の成長ぶりが大いに楽しみな存在だ。ただもう一つシンカー系の球種を修得するなど投球の幅を広げ、速球以外に三振を狙える球を磨きたいところだろう。数年後は、斉賀以上の評価を得る存在に成り得るかもしれない。