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福井 優也(広島)投手のルーキー回顧へ








福井 優也(早稲田大)投手 177/75 右/右(済美出身)





                 「今年3人の中で一番充実!」





 早稲田ドラ1トリオの中でも、今年一年間を通じて、最も充実していたのが、この 福井 優也 ではないのだろうか。これまで、斎藤 佑樹大石 達也の陰に隠れがちだった第三の男。しかし最終学年では、その存在感を見事に示し、広島カープから1位指名されることになる。福井の、この一年の変化について考えてみたい。





(投球内容)

 彼の魅力は、コンスタントに145キロ~150キロ級の球を投げ込む平均球速の速さ・勢いにある。スライダーは、縦に割れる傾向があり、カウントを稼ぐ時と低めのボールゾーンに決まる球は打者の空振りを誘うフィニッシュボールにも成り得る。この他にフォークもあるのだが、滅多に使って来ることはない。基本的に、速球とスライダーと言う球種の少なさは相変わらず。ただ低めに決まるスライダーなどの活かし方が上手くなり、二種類のスライダーを駆使しながら単調なコンビネーション改善への工夫が見られたことは大きい。

 ストライクゾーンの枠の中に集められるコントロールはあるのだが、時々シュート回転して甘く入って来ることがある。両サイドへのコントロールは大まかに投げ分ける程度で、右打者には内角にも厳しく突くこともあるが、左打者にはあまり厳しい攻めは見られない。

 ただスライダーは低めに集まり、速球も平常時にはコンスタントに真ん中~低めに押し込めるようになってきた。この辺は、最終学年で最も成長した部分ではないのだろうか。

 牽制も鋭く・クィックも1.1秒台でまとめられている。フィールディングの動きも素早いが、やや返球が雑で送球が乱れる場面が見られる。甲子園優勝投手ではあるのだが、基本的に試合をまとめるセンスよりも、力で押すタイプ。先発が将来的にできないとは言わないが、勝負どころでの弱さもあり、リリーフでの方が持ち味が発揮されるタイプではないのだろうか。


(投球の変化)

 下記の成績表を見ても、目に見えて変わったのは、被安打の少なさ。この要因は、以前は真ん中~高めに集まることが多かったストレートが、全体的に低めに集められるようになってきた。そして低めのボールゾーンのスライダーを上手く振らせる術に磨きがかかっていたことがあげられる。

 ただ今でも、結構シュート回転して甘い球がいったり、勝負どころで力が入るとボールが上吊る傾向がみられ、甘く入った球を痛打される場面が多い。その辺が、斎藤や大石のようなドラフト上位候補に比べると、明らかに防御率の点で劣る要因となっている。勝負どころでの踏ん張り、これが、福井の今後の大きな課題だとも言えよう。


(福井の傾向)

 彼の特徴としては、好い意味でも悪い意味でも、コンスタントに体調を維持できている点だろうか。と言うのは、各シーズンでもほとんどが、イニング数を越える奪三振を奪えている。このことは、球の勢いが、どのシーズンでも打者を圧倒していたことを物語っている。そういった野球への意識は、けして低い選手ではない。

 斎藤のような球速ほどの有難味のないストレートとも違えば、大石のように気分の浮き沈みによって、全然デキが違うと言う不安定さもない。常に一定の能力を引き出そうと言う意識は、この三人の中で一番ではないのだろうか。

(ただ・・・)

 そういった準備は怠らないのだろうが、少し雑な一面も垣間見られる。その辺は、フィールディングの返球などをみていると、雑だなと思える部分があり、詰めの甘さを感じずにはいられない。ムラッ気がある性格なのか?この辺も、投球の勝負どころでの甘さにつながっている。





(投球フォーム)

 下記に昨秋のフォーム分析があるので、この秋との変化に注目してみてみたい。

<踏み出し> 
☆☆☆

 ノーワインドアップで投げてくるのは変わらないのだが、足を引いて構えていたのを、あまり引かなくなって立っている。足を引き上げる勢い・高さも押さえ気味になり、勢いよりも制球を強く重視したのかもしれない。その分フォームに躍動感がなくなり、威圧感は薄れている。

<軸足の乗せとバランス> 
☆☆☆

 足を引き上げて、軸足一本で立った時に、軸足の膝から上がピンと伸び気味で、あまり余裕がない。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じる。ただ彼の場合、膝には余裕はないが、全体のバランス・軸足への体重の乗せ具合は悪くない。この部分は、昨秋と変わっていない。

<お尻の落としと着地> ☆☆☆☆

 引き上げた足が、高い位置でピンと伸びており、お尻の一塁側への落としは悪くない。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながるからだ。彼の場合、将来的にもう少し緩急や縦の変化などの、攻めのバリエーションを増やして行くことは、可能ではないのだろうか。

 また着地までのタイミング・それまでの粘りも悪くない。着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。

 また着地のタイミングとしても、並みぐらいの粘りは感じられる。

<グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆☆

 グラブも、最後まで内に抱えられている。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。

 足の甲の押し付け、粘りもまずまず。ちなみに、足の甲で地面を押しつける意味としては、

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがある。この部分は、昨年と変わっていない。

<球の行方> ☆☆☆

 最大の課題は、体の開きが早く、球の出所が見やすいこと。そのため、150キロ近い球速を連発しても、その効果は薄い。グラブを斜め前に差し出すようにして、テイクバックした時に、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に真っ直ぐにならないように角度を付ける意識が欲しい。また「着地」した瞬間にも、ボールを持っている腕が、打者から見えないように意識すべきだろう。

 昨年からの一番の変化は、腕の角度がかなり上がり、ボールに角度と低めに押し込める球筋を得たこと。その腕の振り方にも無理がないのは良い。球持ちも悪い投手ではないので、「開き」をいかに改善して行けるのかが、今後の大きなポイントだ。

<フィニッシュ> ☆☆☆

 腕を鋭く・強く振れているので、振り下ろした腕も体に絡んでいる。前への体重移動も平均的で、けして悪くない。ただ昨年よりも制球重視になり、フォームに躍動感が薄れた点は否めなかった。


(投球フォームのまとめ)

 最大の変化は、腕の角度をあげることで、低めへの制球を得たこと。その反面、制球を重視した分、躍動感・威圧感は薄れたことは否めない。また投球フォームの最大の課題である「開き」の早さが未だに改善に至らず、球速の割に打者を圧倒できない要因を作り出している。


楽天


(最後に)

 投球にもスライダーの活かしたに工夫がみられ、投球フォームにも腕の角度を上げることで、低めへの制球を手に入れた。そういった努力・改善して行こうと言う意識が感じられたことは大きい。斎藤の伸び悩み・大石の欲の無さに比べると、この一年でグッと二人とも距離を縮めてきた印象がある。

 ただその反面、勝負どころでの甘さ・雑な一面が残り、「開き」の早い投球フォームは、未だに改善できていない。こういった部分を観ていると、一年目から大活躍と言う、即戦力の期待は薄いのかなと思えてくる。その球の速さからも、チームの中で存在感を示すことはできても、いざ戦力としてどの程度の数字が期待できるのかは微妙だろう。むしろ野球への姿勢は悪くないので、2年目・3年目と進化を重ねることを期待したい。ただ一つ言えることは、巨人の指名を拒否し、更に一浪してまで早稲田に入ったこの5年間は、けして無駄ではなかったと言うこと。それを自らの力と取り組みで証明したことは、人として彼をひとまわり大きくしたのは間違いない!


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


この記事が参考になったという方は、ぜひ!


(2010年・神宮大会)





福井 優也(早稲田大)投手 178/78 右/右(済美出身)



 

                     「いばらの道」



 済美高校時代は、甲子園で準優勝を経験。その年の秋には、巨人から指名されるも、進学の道を選んだ。そして一浪の末、名門・早稲田野球部に。常に同期になった 斎藤佑樹の陰に隠れながら、着実に力をつけてきた。ハンカチ王子が、この秋の不調を引きずるようだと、いっきにエースの座まで登りつめるところまできた 福井 優也。プロ入りも、間近に見えてきている。

(確かな成長)

 高校時代よりも、格段に球威・球速を増した福井 優也。好調時には、常時145キロ前後を投げ、最速で150キロをも記録するまでに力強さを増している。しかしその一方で、単調な投球スタイルのため、球速はあっても結果が残せなかった下級生時代。しかし3年生になり、マウンドでも実に冷静に、自分の投球ができるようになってきた。この精神的な成長こそ、彼の一番の変化なのだ。  この秋は、25イニングを投げて、四死球は僅かに5つ。実に、イニングに対して1/3以下が基準となる四死球率において、1/5と極めて制球が安定してきたことが、その数字からも伺われる。春が、28イニングで、四死球が11個だったことからみても、格段に制球が安定してきたことがわかる。

(課題)  

 春よりも格段に制球力を増したにも関わらず、春の防御率2.89に対し、秋は3.60と悪化している。恐らくこれは、荒れ球だった彼の球が揃うようになり、打者にとって的を絞りやすくなったからではないのだろうか。春・秋のリーグ戦共に、奪三振はイニング数を超えており、球の威力の低下による痛打ではないことがわかる。  福井の投球とは、ビシッとしたストレートを実に、縦・横二種類のスライダーを織り交ぜると言う、極めてシンプルなものだ。基本的に、速球と横に曲がるスライダーをアウトコースに集め、追い込むと縦のスライダーを使って来ると言うパターンが多い。ただ現状は、この縦のスライダーに絶対的な威力はなく、またカウントを整える速球や横のスライダーは、真ん中~高めの高さに集まる傾向が強い。そのため外角に山を張った打者が、踏み込んで打ちやすい高さに、ボールがやって来ることになる。この単調なパターンを変えて行かないと、なかなか一皮むけないだろう。

 もう一つは、これだけの球を持ちながら、打者があまり苦にしている感じがしない点である。その最大の理由は、フォームにおける「開き」の早さにある。球の出所が見やすいので、例え150近い速球を投げ込んでも、その効果は極めて薄い。彼のように攻めのバリエーションが不足していたり、武器になる変化球がなかったりする投手にとっては、この開きの早さが大きなマイナスとなる。この点を改善して行かないと、いくらストレートを磨いても、その努力に結果となって現れる可能性は低い。

(最終学年でのチェックポイント)

 球の威力・その素材としての可能性からも、よほどひどい一年間でなければ、再びドラフトで指名されることになるだろう。  先にも書いたように、単調なバリエーションの解消・「開き」の早いフォームへの改善など、精神的に大きく成長した今は、プロで即戦力になるための術に、その興味の対象は集中する。  

 別の言い方をすれば、この部分を解消し、文句なしの一年間を終えることができれば、上位12名の中に入り、最高評価でプロ入りする可能性も充分に秘めている素材だと言えよう。巨人の指名を断り、更に一浪して早稲田に進み、自らを高めるために、いばらの道を選んだ、その選択が正しかったことを、ぜひ最終学年で示して欲しい!


(2009年・秋)







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福井 優也(早稲田大)投手の成績を考える!

 甲子園優勝投手を経験、更に巨人からのドラフト指名を断り、一浪の末に早稲田へ。華々しい経歴とは裏腹に、苦渋を舐めた経験もしてきた男、それが 福井 優也 。今回は、その福井の、これまでの成績を元に、考察してみたい。


 (成績から考える)

リーグ 試合数 勝ち 負け イニング 被安打 四死球 奪三振 防御率
1年春 7回2/3 10 10 3.52
1年秋                
2年春 2回 0.00
2年秋 10回 10 10 1.80
3年春 28回 26 11 30 2.89
3年秋 25回 22 27 3.60
4年春 31回 15 12 32 1.45
4年秋 33回 19 19 34 2.73

 高校時代は、まとまったタイプの好投手といった印象が強く、その割に、実戦的な技術に課題があったり、投球にムラッ気があるなど、実戦派に徹しきれない投手だったと言う印象が残る。しかし現在の彼は、かなりのパワーピッチであり、力で押すタイプの投手へ変貌。好調時の球は、先発で常時投げ込む速球は、学生球界でも1.2を争うほどの勢いのある球を投げ込んでくる。

1,被安打は、イニング数の70%以下 

 リーグ戦である程度登板するようになった2年秋以降の成績をみてみると、このファクターを満たすには至らない。実際この投手は、スライダー・シンカー系の球種を得意とする選手で、緩急を効かしたりして、投球の幅を広げるのが下手な投手。どうしても、攻めのバリエーションが少なく、単調になりやすいことは、データの上からも明らかになっている。しかしながら今春のリーグ戦では、この課題をクリア。その実力がホンモノかどうか注目された秋のシーズンも、被安打率57.6%で、このファクターをクリアして魅せた。

2,四死球は、イニングの1/3以下 

 意外とまとまっているようで、制球力がアバウトな部分があった投手。しかし昨秋のリーグ戦では、大きく四死球を減らしている。しかし最終学年ではまた、制球を乱すケースが多かった。ただ高めに集まりやすかった球筋が、真ん中~低めに集まることが多くなり、数字に現れない成長が見られたのも確か。

3,奪三振 ÷ イニング数 = 1.0前後 

 奪三振に関しては、イニングと同数からそれ以上を奪える球の威力が自慢。速球の威力は、充分に上位級。更にシンカーなども併せ持つ。極端に球の勢いに陰りが見えない限り、今後もこのファクターを満たす可能性は高いだろう。

4,防御率は、1点台が望ましい 

 特に気になるのは、先発での登板が増えた3年時の防御率が、意外なほど高い点だ。特に秋のシーズンでは、四死球も減り・奪三振もイニングを上回りながら、防御率は3点台と低迷。これは、勝負どころで弱いとか、気持ちが切れると大量失点につながるとか、何か踏ん張りの効かない要因があるのあだろう。最終学年では、文句なし1点台を残せすことに成功。ただ最後の秋は、再び防御率を悪化させた。

(データからわかること)

 こうやってみてみると、今まで取り上げてきた選手よりも、明らかにデータの上での不安要素が大きいことがわかった。球の威力だけならば、間違いなく上位指名級なのだが、実戦力・即戦力と言う観点では、本格化したと思われた3年時の成績でも、まだまだ不安が残ることがわかる。しかし春のシーズンでは、多くのファクターを満たすまでに成長。しかし再び秋のシーズンには、悪化させたファクターが多かった。まだまだ絶対的なものが備わってきたとまではいえないようだ。




楽天







<踏み出し> ☆☆☆☆

 構えた時に、足を引いて立っている。足を引いて立っているということは、バランスよりも、球の勢いを重視しているということ。そしてノーワインドアップから、足を引き上げる勢い・高さもまずまずで、「踏み出し」としては、しっかりとエネルギーを作り出すことができている。

<軸足への乗せとバランス> ☆☆☆

 足を引き上げて、軸足一本で立った時に、軸足の膝から上がピンと伸び気味で、あまり余裕がない。膝から上がピンと伸びきって余裕がないと

1,フォームに余計な力が入り力みにつながる

2,身体のバランスが前屈みになりやすく、突っ込んだフォームになりやすい

3,軸足(写真右足)の股関節にしっかり体重を乗せ難い

などの問題が生じる。ただ彼の場合、膝には余裕はないが、全体のバランス・軸足への体重の乗せ具合は悪くない。

<お尻の落としと着地> ☆☆☆☆

 引き上げた足が、高い位置でピンと伸びており、お尻の一塁側への落としは悪くない。お尻をしっかり落とせない投手は、ブレーキの好いカーブや縦に腕を振るフォークの修得に苦労しやすいことにつながるからだ。彼の場合、将来的にもう少し攻めのバリエーションを増やして行くことは、可能ではないのだろうか。

 また着地までのタイミング・それまでの粘りも悪くない。着地を遅らせる意味としては

1,打者が「イチ・ニ~の・サン」のリズムになりタイミングが取りにくいからだ。「ニ~の」の粘りこそが、投球動作の核となる。

2,軸足(写真後ろ足)~踏み込み足(前足)への体重移動が可能になる。

3,身体を捻り出すための時間が確保出来るので、ある程度の変化球を放れる下地になる。

<グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆☆☆

 グラブも、最後まで内に抱えられている。グラブを内に抱える意味としては、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込み、左右の軸のブレを防ぐ。すなわち両サイドへの制球は安定しやすいことになるのだ。

 足の甲の押し付け、粘りもまずまず。ちなみに、足の甲で地面を押しつける意味としては、

1,浮き上がろうとする上体の力を押さえ込み、球が浮き上がるのを防ぐ

2,フォーム前半で作り出したエネルギーを、後の動作に伝える

などの働きがある。

<球の行方> ☆☆☆

 最大の課題は、体の開きが早く、球の出所が見やすいところ。そのため、150キロ近い球速を連発しても、その効果は薄い。グラブを斜め前に差し出すようにして、テイクバックした時に、前の肩と後ろの肩を結ぶラインが、打者に真っ直ぐにならないように角度を付ける意識が欲しい。また「着地」した瞬間にも、ボールを持っている腕が、打者から見えないように、意識すべきだろう。

 腕の角度は、無理のない角度で振り下ろされて適正。体への負担は、大きくないはずだ。球持ちも平均レベルはあり、けして球離れが早すぎることはない。ボールを長く持つ意味としては

1,打者からタイミングが計りにくい

2,指先まで力を伝えることでボールにバックスピンをかけ、打者の手元まで伸びのある球を投げられる

3,指先まで力を伝えることで、微妙な制球力がつきやすい

などがあげられる。ただ、大石や斉藤に比べると劣るのは、やはり球の威力ではなく、この実戦的な術の部分。この部分の進歩なしに、投球の進化は期待できない。

<フィニッシュ> ☆☆☆☆

 腕を鋭く・強く振れているので、振り下ろした腕も体に絡んでいる。前への体重移動も平均的で、けして悪くない。地面も蹴り上げも良く、フォームに躍動感も感じられる。それでいて、大きく投げ終わったあとに、バランスを崩すようなことはない。


(投球フォームのまとめ)

 想像以上に、フォーム技術は高いことがわかった。もっとお尻を落とせない投手かと思いきや、意外にしっかり一塁側に落とせているし、着地も早すぎることはない。これならば、見分けの難しいカーブや縦に落差のある球の習得も、将来的には期待できるかもしれない。そのためには、若干肘をあげて、腕の振りに角度をつけた方が投げやすいかもしれないが。

 制球を司る、グラブの抱え、足の甲の押し付け、球持ちも、想像以上に良かった。そのため、一球・一球分析してみると、けして制球が悪い投手ではない。

 むしろ問題なのは、体の開きが早く、せっかくの球威・球速のある球が、生かしきれていない点だ。彼の投球を分析してみると、コース一杯に投げていても、その球が踏み込まれてヒットされるケースが多い。この辺は、やはり開きの早さに原因があるように思える。この部分を改善できるのかが、一つ技術的には大きな課題ではないのだろうか?

 最終学年で、「開きの早さ」を改善できた時、彼の成績も大きく変わって来るだろう。それこそが、彼の上位指名への大きなポイントとなりそうだ。


(2009年・秋)





福井 優也(早稲田大)投手 178/78 右/右 (済美出身)

 (どんな選手?)

 済美高校時代は、甲子園の優勝投手にもなり、巨人からドラフト指名されるも、一浪の末早稲田を選んだ苦労人。早稲田入学後も、分厚い投手陣に阻まれ伸び悩んだが、今春のリーグ戦では、第二戦を任されるケースも多く、大きく飛躍した。

(ピッチングスタイル)

 身体の身のこなしもムーズになり、フォームに違和感がなくなってきた。球速は、コンスタントに140キロ台後半~MAX151キロを記録するなど、手元までの伸び・勢いも学生球界トップクラスの球を投げ込めるようになってきている。

 変化球は、スライダー・シンカーなどで、ストレート以外は際だつ威力はないが、今シーズンは、28イニングで30奪三振とイニングを上回る奪三振を奪い、四死球も11とまだイニングの1/3以下とは行かないまでも、だいぶ粗さは薄れてきた。

 防御率は、2.89とリーグ戦6位と際だつ数字ではないが、こうやって主戦としてシーズンを通して活躍出来た経験は、最終学年迎える来年に向け、明るい材料だろう。


(今後は)

 ストレートは、文句なし上位指名級の威力。あとは、細かい制球力や実戦的なフォーム・変化球に磨きがかけることになるだろう。このまま行けば、大学での指名は濃厚で、あとはlこの4年間がいかに無駄ではなかったことを証明する意味でも、プロで即戦力になり得る技量を磨くことを望みたい。更に進化する姿を、秋のシーズンに期待している!

(2009年・春季リーグ)







 (どんな選手?)

 甲子園の優勝投手でありながら、巨人に指名されるもこれを拒否。一浪して早稲田に入学した投手です。強力投手陣の早稲田だけに、登板機会は少ないですが、やはりその投げ込まれる速球には、ドラフト候補としての魅力が十分です。

(投球スタイル)

 やはり145キロ前後の速球を常時投げ込める馬力が違い、スリークオーターから投げ込まれる速球は、実に力強いです。そういった一つ一つの球の威力は、一学年の上の同期・松下あたりと比べても、明らかに福井の方が上位です。

 そのボリューム感溢れる速球に比べ、横滑りする125キロ強のスライダーとのコンビネーションで投球を構成しております。確かもう一つ縦スラがあったと思うのですが、この試合では、殆ど観られず、縦の変化・緩急など、もう少し球種が欲しいかなと思いました。

 制球はアバウトで、やはり球の力で抑え込むタイプ。牽制などは上手いのですが、フィールディングなどは、少々雑なところが観られます。プレー全体に、やや粗い印象を受ける選手です。

(今後は)

 もう少し実戦力を増さないと、大事なところを任せるのは怖いかな?と言う側面はあります。ただリリーフあたりならば、彼の150キロ近い速球などで、もう少し圧倒出来るようだと面白いと思います。素材は確かにプロ級ですが、まだ総合力では物足りません。残り2年で、どのぐらいの実戦力を身につけるのか、密かに見守ってゆきたい選手でした。


(2008年・神宮大会)







福井 優也(早稲田大)投手 178/78 右/右 (済美出身)

 高校時代は巨人にドラフト指名されるも、一浪して早稲田に入学した甲子園でもお馴染みの投手。スリークオーターから投げ込まれる140キロ台の速球と縦・横二種類のスライダーを武器にする速球派投手だ。

 高校時代もワンランク・球威・球速を増し、逞しさを感じさせてくれる。特に力投派なので、指にかかった時の速球の迫力は、同期のハンカチ王子よりも迫力がある。常時140キロ台をマーク出来るようになり、MAX145キロもいつでも出せるぐらいまでに成長。特に低めのボールゾーンに切れ込む縦スラは、大いなる武器となりそうだ。

 ただ力で抑え込もうと云う意識が強すぎるのか、球が高めに甘く浮くケースが目立つ。その球で四球を出したり痛打を浴びるなど、その投球内容は以前よりもかなり粗い。そのため現在は、実戦派と云うよりは観賞用投手の域を脱しられておらず、まだまだ計算出来ない部分がある。

 しかし素材としては、素晴らしいものを持っているだけに、今後の成長次第では、4年後上位指名も意識出来る素材だろう。彼にないものを斉藤佑樹は持っているだけに、いろいろ吸収出来るところは吸収して欲しい。とにかく元気なところが観られて嬉しく思う。

(2007年・春)






福井 優也(愛媛・済美高)投手 177/75 右/右

 下級生の時から注目されてきた好投手もラストサマーを迎えた。常時140キロ台を記録する手元でも勢いが落ちない速球と縦・横2種類のスライダーを織り交ぜた投球スタイル。枠の中にコンスタントに集められる制球力があり、追い込んだらストイクゾーン~ボールゾーンへ逃げる縦のスライダーを使い相手を誘う。気になるのは、時々不用意にスライダーや速球が、真ん中~高めに浮いて甘く入って来るところだろう。元々ムラッ気のある投手だけに、この辺の集中力をもっと磨きたい。

 その投球フォームは、ノーワインドアップから軸足一本で立った時に身体が真っ直ぐ直立気味に立ってしまっている。そのため着地までの粘りもなく、腕も下がって出て来るので、球速ほど球に嫌らしさや威圧感に欠ける印象だ。身体の開きもやや早いスリークオーター気味のフォームで、この辺の技術的な欠点を修正して行かないとプロで活躍するのは厳しいだろう。

 持ち得る能力は好いものを持っているので、大学や社会人などでより実戦的な投球と技術を身につければ、3~4年後は充分プロをも意識出来る素材だろう。今からその時が来るのを楽しみにしている。

(2005年 8月14日更新)



楽天


福井 優也(愛媛・済美高)投手 176/70 右/右


 新2年生ながら、落ち着いたマウンド捌きの持ち主で、133~MAX140キロの速球のカーブ、スライダーを織り交ぜ、試合をまとめるセンスがある投手で非常に安定している好投手だ。

 球速こそ迫力を感じないのは、球速を出すことを重視していないピッチングスタイルに、投手としての上背や身体の開き具合などが影響しているのかもしれない。横滑りするスライダーも絶対的な威力と言うよりは、速球とのコンビネーションで、カウント稼いだり、投球の幅を広げる意味を持った球種だと言え、緩急を活かす意味でも存在するカーブは、それほど制球・威力共々投球の中では、大きな意味を持っていると言うほどではないようだ。この手の投球センスが好い投手にしては、フィールディングなどが、あまり上手くないところが気になるところだろうか。

(右打者に対して)

 アウトコースの真ん中~高めに速球が集まり、真ん中~低め近辺にスライダーが集まる傾向が強いようだ。インハイに速球やスライダーなどを投げることもあるが、あまりコントロール出来ているとは言い難く、やや真ん中近辺に甘くスライダーが入ることもある。基本的には、外角を丁寧に出し入れする投球だと言えるであろう。

(左打者に対して)

 アウトハイに速球を集めて投球を組み立てる。インコースに速球やスライダーを投げて内角を突くこともあるが、それほど頻度は多くない。真ん中高めあたりに甘く速球が行くこともあるのだが、ピンポイントで球を集めると言うよりはアバウトにストライクゾーンの枠の中にコンスタントに投げ込むと言った印象だ。

(投球のまとめ)

 球速は出る投手だが、それほど球威・球速でねじ伏せるタイプでは本質的にはないだろう。そうするとコーナーや高低への投げ分けが将来的には求められるだろうし、内角への攻めや縦系の変化も模索することになりそうだ。それでも2年春の時点で140キロを記録するだけの資質があるのだから、順調に行けば3年夏には、常時140~145キロを記録するような全国を代表する投手に育つ可能性は充分秘めている。スケール+技術の向上の両方を、まだまだ貪欲に求めて行ってもらいたい投手だ。

(投球フォーム)

<踏みだし> 
☆☆☆

 ワインドアップからジックリ振りかぶり、静かに投球フォームに移行して行くタイプなのだが足を高く引き上げることで、大きなエネルギーを捻出することに成功している。フォームが大人しく見えるのは、この導入部が静かだからだろう。

<軸足への乗せとバランス> 
☆☆

 軸足一本で立った時のバランスが、すでに少し前に倒れ気味になってしまっている。これでは身体が次の段階で突っ込む可能性が高い。また軸足に充分体重が乗せられる前に軸足が折れて体重が落ちて行くので、バランス良く立つことを意識して、しっかり体重を乗せる意識を持ちたいものである。私が、速球へのこだわりが薄いと言ったのは、こういった動作からも窺うことが出来る。

<お尻の落としと軸足の粘り> 
☆☆☆

 突っ込みそうな身体を引き上げた足を上手く使うことで、重心を深く沈めることに成功している。着地のタイミングも、そこそこ粘れているのだが、お尻を一塁側に落とせていないので、身体を捻り出すスペースが充分確保出来ていない点が気になるところだろうか。

<グラブの抱えと軸足の粘り> 
☆☆☆

 グラブは、内に抱えられているのだが、最後まで身体のそばに添えている意識が薄いのが気になる。軸足も重心が深く沈み過ぎているので、足裏の一部を支点にして回転出来ず潰れてしまっているが、足の甲で地面を抑え込むことは出来ている。

<球の行方> 
☆☆☆

 一番、この投手で気になるのは、前肩の開きが早く球の出所がみやすい点だろう。そのため、球速的には、かなり非凡なのだが、それほど球に威圧感がない。思ったよりは腕の角度もあり、球持ち自体は悪くないのだが。

<フィニッシュ> 
☆☆

 身体に巻き付くような腕の振り抜きは、球持ちの良さをあらわしているが、地面の蹴り上げが弱いのは、下半身のエネルギー伝達が、いまいちだったことを示している。下半身の体重移動に課題を残すフォームだとも言える。

(まとめ)

 技術的には、どの部分も平均的にまとめられていて無難と言えるフォームだが、逆にこれは!と言う特徴がない印象だ。その割に身体の開きが早かったり下半身の使い方を中心に、まだまだ細かい課題は多い印象だ。それだけ、まだまだ伸びる可能性を秘めているとも言えるだけに、この投手が、阿部(松山商-近鉄)レベルの好投手に育つ可能性も秘められている。2年春で全国の頂点を極めてしまったことが、彼にとって吉と出るのか凶と出るのかはわからないが、これから上のレベルで野球を続けたいと願うならば、まだまだ努力しないと行けない部分が残されていることは忘れてはいけない。これからの取り組みが、彼の野球人生を大きく左右することになるであろう!

(2004年 6月3日 更新)