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笹沼 明広(ソフトバンク)捕手のルーキー回顧へ



笹沼 明広(24歳・全足利クラブ)捕手 183/81 右/右 (作新学院大出身)
 




                    「どのぐらい成長しているのか?」





 作新学院時代に初めて観た時は、まだ外野手だったと記憶している。その後、作新学院大に進む。そこで、関甲新大学リーグを代表する大型捕手として注目。しかしプロに指名されることなく、クラブチームの全足利クラブで現役を続けることとなった。残念ながら、クラブチーム行ってからの彼のプレーは未確認。今回は、大学時代のメモを元に、簡単にどんな選手かご紹介したい。

(ディフェンス面)

 どちらかというと、投手をガンガン叱咤激励して引っ張って行くタイプと言うよりは、投手の気持ちを察しながらプレーする配慮型捕手だったと思います。特にキャッチングが特別上手いとかは感じなかったのですが、ワンバウンド処理などの反応・対応も悪くなく、捕球に関しては大きな破綻はありません。

 二塁までのスローイングは、2.1秒前後と平均的ですが、実戦ならもっと速いタイムも記録できるかもしれません。地肩としては、プロに混ぜても平均的。小さなテイクバックで素早く投げることを心がけますが、腕が横から出る傾向にあり、制球が定まりません。そういった意味では、プロに混ぜるとスローイングは心配ではあります。

 特に格別ディフェンス力が優れていたから、評価されたと言うわけではないと思います。技術的な向上・修正はできても、肉体の資質は大学卒業時と、もうそれほど変わる年齢ではないはずですから。ただソフトバンクのHPでは、強肩でインサイドワークに優れ・キャッチング技術にも優れた捕手との説明があり、ディフェンス面への信頼も厚いようです。ただ全足利クラブでは、DHでの起用も少なくなかったようです。


(打撃内容)

 作新学院大時代もチームの4番を務めたように、打力のある捕手でした。特に2度のベストナインに輝き、打撃も常に3割~4割の間をマークするなど、安定した強打が目立ちました。本塁打は、1シーズンに1,2本程度で、パンチ力を秘めた強打者といった感じです。

 高校時代は、技術的にも荒れ荒れの選手でした。しかし大学時代には、足を回し込んで打ちに行くスイングを身につけ、打撃の幅を身につけました。また右方向にもはじき返すことができ、広角に打てる選手との印象が強いです。そういった粗さや脆さは改善されていましたが、打撃を売りにすると言うほどの図抜けたものを感じなかったのも確か。足もソコソコ速いのですが、足をプロで売りにして行くほどではないと思います。

(最後に)


残念ながら、攻守にプロと言うほどの絶対的なものはない選手のように思えます。ただプロで可能性があるとすれば、打撃の方かなと思います。ただ捕手以外のポジションを担うとすると、高校時代のような外野手としてなのか?よほどこの2年の間に、劇的に進化していない限り、何故指名したのかな?と言う気はしなくはありません。果たしてプロでどんなプレーを見せてくれるのか、ぜひ確認してみたい一人です。








笹沼 明広(栃木・作新学院)右翼 183/76 右/右 


 ヘッドスピード鋭く勝負強い打撃、50メートル6.0秒の俊足、恵まれた体格などなど来年に向けて楽しみな選手。少々判断力悪く危なっかしい外野守備ではあるが、球際では強さを発揮するなどキャッチングは上手い。最後の夏は4番・一塁手として出場していた。

(打撃スタイル)

 傾向らしい傾向はわからないのだが、比較的早いカウントから真ん中~高めのゾーンを好んで振る傾向があるようだ。特に速球よりも少し球速を殺したスライダーなどに合わせてきていたところが印象的。

(打撃フォーム)

<構え> 
☆☆

スクエアに足を揃えて、グリップは下げ気味でバットを揃えて構える。

<仕掛け> 極めて遅い仕掛け

 リリース直前に始動する「極めて遅い仕掛け」を実践している。これだけ遅い仕掛けを日本人の筋力で使いこなすのは、困難である。それだけ球筋をギリギリまで確認してから始動するわけであるが、しっかり体重移動しながらスイングするのは困難だ。彼が遅い球の方を好んで振る傾向があるのは、速い球に対し潜在的に苦手意識があるからではないのだ
ろうか。

<足の運び> 


 極めて遅く始動するので、どうしても速い球に対応するために足の上げを省力してしまっている。そのため軸足~踏み込み足への体重移動もままならず、構えた時の足の位置とほとんど同じ地点に足を降ろしているのである。また小さな踏み込みで、地面を捉えて離さない踏み込みの深さがあれば好いのだが、彼の場合インパクトの際に足がブレて動いてしまうのでパワーロスがある。また変化に応じて自在に踏み込みのタイミングを操作するような器用さは持ち合わせていない印象だ。

<リストワーク> 


 構えた位置からトップの位置のグリップの高さが違い、移動距離が長すぎる。またしっかりトップを作れないままスイングに向かってしまうために、きちっとした打撃が出来ていない。非常に始動が遅いのなら尚更、ボールに対しての準備は、しっかり行って欲しいものである。

<軸> 
☆☆☆

 体重移動がしっかり出来ていないので、頭の位置や軸足が大きく崩れる要素は少ない。これは、軸は安定しているものの、これでは打球は力強く飛んで行かない。

(まとめ)

 体格、身体能力等、恵まれたものを持っている選手。まだまだ新二年生だけに、課題も多い。筋力的なものは、これだけ幾らでも伸ばすことは出来ても、土台となるフォームは、この時期にしっかり構築して欲しいものである。上半身、下半身の動き、ボールを迎える姿勢や始動のタイミング等、一つ一つの動作を持つ意味を噛みしめて、追求して行って欲しいと思います。潜在能力がある選手だけに、これからの精進しだいでは、まだまだ伸びる可能性を秘めているのだから。


(2004年 4月11日更新)