By-1


 




1 桑原 将志(25歳・7年目)中堅 174/78 右/右 (福知山成美出身・12年度4位) 


(プレースタイル)

 チームの斬込み隊長として、1番打者を担うファイター。彼が打つとチームが 「今日は行けるぞ!」 という雰囲気になり、その試合の得点力が格段に上がる。
その日のベイスターズ打線が活発になるかどうかは、この選手のデキにかかっている。小さいながらも、試合に出続けられる身体の強さと体力の持ち主。また2年連続二桁本塁打を放つパンチ力があり、先頭打者本塁打も珍しくない。理屈ではなく、気持ちでヒットにする食らいつく姿勢 が最大の魅力。





(長所と短所)

 彼の長所は、
早いカウントから甘い球を逃さない積極性にある。逆に調子が悪い時は、甘いファーストストライクを見逃してしまうとき。特にこの選手に至っては、出塁率をあげようとしてボールを見だすとろくなことがない。追い込まれてから打てる技術に長けているわけではないので、甘い球をいかに逃さないのかにかかっている。とりあえず悪くなったら「開き直れ!」とだけエールを送る。





(守備・走塁面)

 センターにおいて一番むずかしいとされる、
前後の打球判断に非常に優れている。チーム全体でも落下点にいち早くまわりこむ外野守備は屈指のものがあり、昨年は初のゴールデングラブ賞も受賞した。また球際での強さもガッツがあって悪くないが、たまに判断を誤ってポカがある。肩も中堅手としては強く、浅い打球ならばホームでアウトが期待できる。

 レギュラー野手の中では、梶谷に次ぐ10盗塁を記録。しかし失敗も11個にのぼり、積極的に走るものの成功率が低い年が続いている。ただやみくもに走るのではなく、
投手の癖を盗む意識や相手バッテリーの注意力が散漫になるタイミングを見極めて走って欲しい。現状は俊足ではあるが、走塁の技術は高いとは言えない。今後の伸びしろとして、最も期待できるのは走塁ではないのだろうか。


(打撃に関して)

 難しい球をさばくよりも、真ん中から高めに甘く入ってきた球を思いっきり引っ叩くスタイル。ボールを引きつけて叩くというよりも、身体ごとボールに当たりにゆくために、ボールを追いかけ過ぎてツッコミがちになり調子を崩す。ここは、彼の好い部分でもあり悪い部分でもある。
不調に入ると抜け出すのに時間がかかるため、そういった期間をいかに短くできるのかが成績向上の鍵となる。

 踏み込んだ前の足が止まらず早く地面から離れるので、基本的に引っ張って巻き込む打撃を好む傾向にある。それでも外角の高めの球に対しては、払うようにして右方向に打ち返すことができる。問題は、
低めにきっちり投げられたり、外に逃げてゆく球への対処が課題。しかしその辺の球に対しても、大勢を崩してでもファールにして粘る術は持っている。


(入団以来の推移)

 下記の寸評にもあるように、福知山成美時代は攻守に粗っぽく高校からのプロ入りはどうかな?と疑問を持っていた。しかし入団1年目の春に、野手を大量指名した12年度組のなかでも、スイングの鋭さ・打球の強さは際っていたことが思い出される。持ち前のガッツで、こちらの想像を遥かに凌ぐスピードでプロで通用するスキルを修得してきた。また守備の粗さも、外野にコンバートされたことで高い身体能力を活かすことができている。そして入団3年目にして、1軍で53試合に出場するまでに成長。入団5年目には、レギュラーに定着し順調に階段を駆け上がってきた。


(これからの桑原に望むこと)

 この選手の場合、3割を打ってくれとか更なる高みは望んではいない。打撃で望むのは、2割8分前後・出塁率3割5分ぐらいの16年度のぐらいの内容を今後も続けて欲しいということ。守備でもムードメーカーとしても
代わりが務まる選手がいないだけに、試合に出続けられる状態をキープし続けて欲しい


(2018年 3月20日更新)


 










桑原 将志(DeNA)外野手のルーキー回顧へ





 桑原 将志(福知山成美)遊撃 174/75 右/右





                         「どうなのだろう?」





 関西の逸材として、スカウト達からも注目されていた 桑原 将志 が、プロ志望届けを提出。果たして、彼を指名する球団はあるのだろうか? そこで今回は、近畿屈指の高校生内野手を取り上げてみることにした。


(プレースタイル)

 体は大きくないのですが、腕っ節の強さを生かしたパワフルな打撃と、状況判断に優れた遊撃守備が魅力。洗練されたプレーヤーとは対照的に、攻守に荒削りな素材型だと言えよう。


(守備・走塁面)

 私が観戦した平安戦では、走塁のタイムを計測できず。ただそのプレーを観ていると、足を売りにするプレースタイルではないように思える。

 遊撃手としては、フットワークが硬い印象を受けます。ただ天性の反射神経の持ち主で、少しバウンドが狂っても瞬時に対応できますし、ランナーがオーバーランしているところも見逃さないなど、視野の広さは感じます。プレーにもスピード感はありますし、地肩も基準レベルはありそうで、荒削りですが育ててみたいと思わせるスケールがあります。


(打撃内容)

 確かに右方向にも打球は飛ぶのですが、完全に巻き込み型の打撃をしているように思えます。そのため外の球を上手く巻き込めない時は、脆さを露呈します。

<構え> 
☆☆☆

 前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並ぐらいでしょうか。ただ足を引いて構えている割に、両目で前を見据える姿勢はよくなく、体が硬いのではないかと思います。体の硬さは故障につながるので、試合前の入念なストレッチなどをやって克服していって欲しいところ。
 
 ただ打席での雰囲気があり、投手としてはプレッシャーを受けるタイプの強打者です。

<仕掛け> 平均的な仕掛け

 投手の重心が沈みきったあたりで始動する「平均的な仕掛け」を採用。アル程度の対応力と長打力をバランスよく兼ね備えた仕掛けです。主に中距離打者やポイントゲッターが、多く採用致します。実際の彼のプレーも、これと合致しています。

<足の運び> ☆☆

 足を上げてから降ろすまでの「間」があるので、いろいろな球には対応できます。引き上げた足は、ベースから離れたアウトステップ。すなわち内角を強く意識して、引っ張りを重視したスイングをします。踏み込んだ足下も、インパクトの際にブレてしまい、体の開きを我慢できません。外角低めのストレートや外角へ逃げて行くスライダーなどを捌くのは、現状難しいと思われます。

<リストワーク> 
☆☆

 あらかじめトップの近くにグリップを添えているので、速い球に立ち後れる心配はありません。ただバットを振り出す時に、肘が下がってしまい腰の逃げも早いです。そのためボールを捉えるまでにもロスがありますし、ボールを的確に捉えられる可能性も低いスイングです。上手く捉えられれば、スイングの弧も大きいですし、フォロスルーが最後は高い位置まで引き上げられているので、ボールを遠くに運ぶことができます。

 打てるコースが限られていて、ヘッドスピードや打球の速さも、ドラフト候補としては平均的といった感じで、それほど際だつものは感じられません。ただ外角の球に対してはドアスイングですが、内角の球に対しては上から綺麗に振り抜けます。そういった内角の捌きには、非凡なものがあるのかもしれません。


<軸> 
☆☆

 足を上げ降ろすために、頭が動き目線が安定していません。また、体の開きも我慢できないのも気になります。ただ軸足自体は強く、打球を遠くに運ぶ後押しをします。

(打撃のまとめ)

 体の開きが顕著であり、現状は引っ張れる球しか打てません。またスイング軌道にも課題があり、かなり荒削りなタイプに思えます。打てるコースが限定されていて、それでいて腕力は感じますが、ヘッドスピードなどの鋭さもドラフト候補としては平均的でしょうか。プロに限らず上のレベルに対応するには、かなり時間がかかることが予想されます。



(最後に)

 確かにパワフルな打撃に、勘の良い守備をみると、素材としてのスケール感は感じます。ただ現状、プロに混ぜても、ファームの試合にコンスタントに出してもらうには、数年はかかるのではないのでしょうか。

 特にミートセンスや長打力の非凡さ、走力・地肩などの身体能力なども群を抜いているわけではないので、無理して高校からプロに入るべき選手という感じは致しません。ただ素材としての面白味を買って、下位指名~育成枠あたりで指名する球団が出てきても、けして不思議ではないと思います。そういった何か、期待感を抱きたく魅力は、この選手にはあります。体は小さいですがスケール型なので、アマよりもプロで育てた方が、伸びるかもしれませんね。ただ私は、まだプロでやるには総合力が物足りません。従って「旬」ではないと判断いたします。



(2011年 夏)