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| 上野 雄大(25歳・愛媛MP)右翼 170/67 右/左( 立正大学淞南-中京学院大-堺シュライクス) | |||||||||||||||||||
昨年は四国アイランドリーグplus記録となる54個の盗塁をマークするも、無念の指名漏れを喫した 上野 雄大。しかし、私が真に推したいのは、その圧倒的な走力よりも「打撃の可能性」にある。今季の総合的な打撃指標であるOPS(※1)は.682と突出してはいないものの、そのプレースタイルには上のレベルを見据えた確かな技術が隠されている。 走塁面:☆☆☆☆(4.0) 一塁までの塁間をコンスタントに3.9秒台で走り抜ける脚力は、NPBに混ぜても上位クラス。今シーズンもリーグ2位の12盗塁を記録し、失敗はわずか2個と安定感がある。プロで足を売り出きるほど圧倒的な盗塁技術があるかは見極めが必要だが、大きな武器になることは間違いなさそうだ。 守備力:☆☆☆(3.0) これだけの脚力を誇りながら、チームではライト(右翼手)を守っている。特別目を引く上手さがあるわけではないが、右翼手として無難にこなせる守備力は備えている。地肩も決して弱いようには見えず、プロで売りにするほどではないにしろ、送球が極端なマイナス要素になることはなさそうだ。 打撃内容 コンタクト能力に優れた巧打者というイメージで、チームでは不動の1番打者として活躍。愛媛に移籍してからの過去2年間は、いずれも3割5分を超える高打率を残している。5月15日現在の打撃成績は以下の通りだ。
【用語解説:セイバーメトリクス指標】 (※1)OPS:出塁率と長打率を足した指標。打者の得点創出力、総合的な貢献度を表す。 (※2)K%:全打席に占める三振の割合。コンタクト能力の高さや、追い込まれてからの粘り強さを示す。 (※3)IsoP:長打率から打率を引いた指標。単打を除いた「純粋な長打力」のみを測る数値。 (※4)BB/K:四球と三振の比率。選球眼や打席内での安定感を示し、1.0を超えると優秀とされる。 <構え>:☆☆☆★(3.5) 左打席から両足を揃えたスクエアスタンスで構え、グリップは高めに置く。腰の据わりや全体のバランスはそれなりといったところだが、両目でしっかりと前を見すえている。強いて言えば、構えたときに体の一部を動かしてリズムを取らないため、少し硬く見えてしまう部分はある。 <仕掛け>:平均 投手の重心が下がるタイミングで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。この始動は、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られるタイミングだ。 <足の運び>:☆☆☆★(3.5) 足を上げ、真っ直ぐ踏み出してくる。始動から着地までの「間」はそこそこで、速球にも変化球にもそれなりに対応。コースを問わず全方向に捌きたいタイプなのだろう。インパクトの際にもなんとか足元がブレずに我慢できているため、外へ逃げる球や低めの球にしぶとく食らいつくことができる。 打席における三振の割合を示すK%(※2)は約14.8%。1番打者としては平均的な数値だが、彼のしぶとい足の運びがこのコンタクト力を支えている。 <リストワーク>:☆☆☆★(3.5) 一度引き上げていたグリップを下に落としてから再び振り出す、いわゆる「ヒッチ」する特徴がある。この動作は打撃の始動が遅れやすく、一般的には速い球に立ち遅れる心配が生じる。 しかし彼の場合、NPBスカウト陣からも注目される徳島ISの鎌田州真が投じる、NPBでも上位級のストレートをものの見事に振り抜いている。その事実を考えれば、ヒッチによる立ち遅れの心配はなさそうだ。 バットの振り出し自体はインサイドアウトではないものの、外角球を捉えるロスは感じられない。インパクトの際にもヘッドが残っているため、打球がフェアゾーンに飛びやすい。 <軸>:☆☆☆★(3.5) リストワークの動きは忙しいが、目線の上下動は少ない。体の開きを我慢し、軸足の形を崩してでもミートしてしまう柔軟性を持っている。 純粋なパワーの指標であるIsoP(※3)は.027。この数値が示す通り、基本的には単打主体の打者だが、懐の深いハンドリングには数字以上の対応力が秘められている。 打撃のまとめ 選球眼の目安となるBB/K(※4)は0.58と、現在は四球よりも三振が先行している。長打で魅了するタイプではない左打者ということもあり、一見するとスカウト受けは地味かもしれない。 しかし、独特のハンドリングを生かしたミート力は、上のレベルでも通用するものを持っている。特に、あの大きくヒッチするスイングは評価が分かれるかもしれないが、アマ・独立球界トップクラスの速球を苦にせず捉えられる反射神経の良さは天性のもの。ただ当てるのが上手いだけでなく、上のスピードに対応できるだけの高いポテンシャルを秘めている。 最後に 「足」と「ミート力」という大きな武器を持ちながら、それが完成形ではなく、さらなる進化を予感させる素材だ。守備や肩に絶対的なものがない点、そして「左打ちの外野手」というプロに多く存在する枠組みゆえに、過去2年の猛アピールでも指名漏れが続いてきた。 だからこそ、今年は「一味違う」というところを見せられるかが勝負になる。そこをクリアすれば、指名を決断する球団が出てきてもおかしくない。個人的には、非常に面白い打撃をする可能性を秘めた選手として、今後も注視していきたい。 蔵の評価:追跡級! (2026年春 リーグ戦) |