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| 吉岡 貫介(大阪桐蔭3年)投手 175/77 右/右 | |
昨秋のレポートでは、安定した制球力を軸とした完成度の高いピッチングを絶賛した 吉岡 貫介。しかし、3年春の選抜大会では、11回1/3を投げて10四死球を記録するなど、自慢のコントロールに苦しむマウンドとなった。 投球内容 中背ながらクセのないフォームから投げ込んでくる右腕。今大会は2試合に登板したが、11回1/3で7安打、10四死球、10三振、防御率3.97 と、彼の実力からすれば平凡な内容に終わった。 【セイバーメトリクスによる補足分析】 K/9:7.94(9イニング換算の奪三振数。高校生としては合格点だが、圧倒的というほどではない) BB/9:7.94(9イニング換算の与四球数。昨秋の安定感から一転、制球難を示す極めて高い数値となった) K/BB:1.00(奪三振 ÷ 与四球。投手の安定感を示す。1.00は昨秋の評価を考えると物足りない数値) WHIP:1.50(1イニングあたりの許走者数。1.50は走者を背負い続ける苦しい投球だったことを裏付けている) ストレート:140キロ前後〜MAX 152キロ ☆☆☆★ 3.5 普段は制球を重視し、低めを丹念に突くピッチングが持ち味だ。しかし今大会では、ボールは両サイドに散っていたが、高めに抜ける場面も目立った。ストライクを取りにいくためか、秋に145キロ前後を計測していた平均球速が140キロ前後まで落ち、力強さに欠ける印象を受けた。それでもギアを上げた際には、150キロ前後を連発できるスピード能力は依然として健在だ。 横変化(スライダー・カット):☆☆☆ 3.0 125キロ前後のスライダーと、130キロ台を記録するカットボールを使い分けているようだ。以前はスライダー主体だったが、これらの球種でカウントを整える術は心得ている。 縦変化(チェンジアップ):☆☆★ 2.5 秋は追い込んでから落差のあるチェンジアップで空振りを誘えていたが、今大会はこの球の精度が低く、決め手に欠いた。まずはこの球の感覚を取り戻し、追い込んでからの「力み」を解消したいところだ。 緩急(カーブ):☆☆☆ 3.0 110キロ台のカーブを多用していた。秋まではあまり見られなかった球種であり、投球の幅を広げるためのアクセントとして機能し始めている。 その他:☆☆☆★ 3.5 クイックタイムは、1.1〜1.2秒前後と平均的。走者への目配せや間の取り方は巧みで、実戦的なマウンド捌きに長けている。フィールディングの動きも良く、投手としての総合力・センスは極めて高い。 投球のまとめ 縦の変化球が思い通りに操れず、そこから生じた焦りが力みへと繋がり、制球を乱したように見受けられる。「2、3年目には一軍で投げられる完成度」と評価していた実戦力の高さが、秋に比べると影を潜めてしまったのは惜しまれる。 フォーム分析 セットポジションから、それほど勢いはつけないが足を適度な高さまで引き上げてくる。軸足一本で立った際のバランスは良く、膝周りに余計な力みは感じられない。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻を一塁側へ落とす動作に甘さが残るため、カーブやフォークといった縦系の変化に対する柔軟性は課題。それでも着地までの地面の捉えは悪くなく、体を捻り出す時間は確保できている。武器になるほどの魔球を習得できるかは未知数だが、キレのある変化球を操る下地はある。 昨秋の方がお尻を上手く落とせており、体を捻り出すスペースを確保できていたように思う。この「ヒップファースト」の質の低下が、縦の変化の精度や落差に影響した可能性がある。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブを最後まで内に抱え込み、遠心力を制御できているため、軸がブレにくく両サイドへの制球は安定しやすい。一方で、足の甲での地面の捉えが遅く、浮き上がろうとする力を抑え込めていない。これが、ボールが高めに抜けてしまった要因ではないか。「球持ち」の良さは健在だが、足元の粘りについては秋より後退した印象だ。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としに甘さはあるが、肘などへの負担はそれほど大きくない。腕の送り出しもスムーズで、普段から力をセーブして投げる術を知っているため、疲労蓄積のリスクも低いだろう。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 着地までの粘りは作れているが、ボールの出どころ(出所)は標準的。腕は振れているものの、秋に比べるとボールが見え始めるのが早くなり、打者からすると見極めやすかったかもしれない。また、投げ終わった後に体が少し一塁側へ流れており、リリースまで力を伝えきれていない点も気になった。 フォームのまとめ 四大動作(着地・球持ち・開き・体重移動)のうち、「開き」と「体重移動」に改善の余地がある。足の甲の押し付けが弱くなったことで高めに抜ける球が増えた。秋に比べ、お尻を一塁側に落としきれなくなったことの弊害が、フォーム全体のバランスに微妙な影響を及ぼしているようだ。 最後に 秋に比べると、この春はフォームを崩していたように見受けられる。それが制球や勝負球のキレに直結してしまった。今回の投球内容だけでは、ドラフト指名への評価は流動的と言わざるを得ない。しかし、もともとのポテンシャルの高さは疑いようがない。まずは秋のようなフォームの連動性を取り戻すことが最優先だ。修正が叶えば、上背がなくとも中位指名以上でのプロ入りが狙える素材ではないのだろうか。 蔵の評価:追跡級! (2026年 選抜大会) |
| 吉岡 貫介(大阪桐蔭2年)投手 174/75 右/右 | |
吉岡 貫介 の投球を見ていると、大阪桐蔭の先輩である 根尾 昂(中日)を彷彿とさせる。根尾よりも吉岡の方がガッチリして力強さが感じられる反面、しなやかさという点では根尾に軍配が上がる気がする。 (投球内容) この秋は大阪大会を勝ち抜き、近畿大会に進出。市立和歌山戦ではリリーフとして3イニングを投げ、無安打・1四球・無失点の快投。チームを選抜出場へと手繰り寄せた。 ストレート(145キロ前後〜150キロ強):☆☆☆★(3.5) 普段は脱力して投げるスタイルで、無理に速い球を狙う感じではない。それでも安定して145キロ前後をマークしており、球威・勢いは十分。打者の外角へ集めるなど、制球力も安定している。 横変化(スライダー):☆☆☆★(3.5) 速球とスライダーのコンビネーションでカウントを組み立てる。左右どちらの打者にも使え、空振りを取るというよりは、ミスショットを誘う精度がある。 縦変化(チェンジアップ):☆☆☆★(3.5) 追い込んでから落差のあるチェンジアップで空振りを誘う。フォークではなくチェンジアップとのことだが、非常に効果的だ。 その他:☆☆☆☆(4.0) クイックは1.1秒〜1.15秒前後と基準以上。走者への目配せや間の取り方も上手く、投球術に長けている。フィールディングの動きも良く、投手としての総合力・センスは極めて高い。 (投球のまとめ) 劇的な伸び代という点では未知数だが、現時点での完成度は下手な大学生を凌駕するレベルにある。この冬の成長次第で、ドラフトの順位も大きく変わってきそうだ。 (投球フォーム) セットポジションからゆっくりと足を引き上げる、先発適性の高いタイプ。軸足一本で立った際、膝から上がピンと伸び切らず適度な遊びがあるため、力みがなくバランスが良い。 <広がる可能性>:☆☆☆☆(4.0) お尻を適度に一塁側へ落とせているため、体を捻り出すスペースが確保できている。カーブやフォークといった縦系の球種を習得するのにも適したフォームと言えるだろう。 <ボールの支配>:☆☆☆☆★(4.5) グラブを最後まで内に抱え、遠心力を逃さず軸をキープできている。そのため両サイドの制球が安定しており、足の甲で地面を深く捉えることで「球持ち」の良さと指先の感覚も研ぎ澄まされている。 <故障のリスク>:☆☆☆☆★(4.5) 無理に体を捻る球種を多用していない現状、肘への負担は少なそうだ。肩の使い方もスムーズで、普段から脱力して投げられているため、疲労も溜まりにくいタイプだろう。 <実戦的な術>:☆☆☆(3.0) 「着地」までの粘りはまずまずだが、ボール出どころは平均的。上背がある方ではないので、角度で勝負するタイプではない。打者からすると、タイミングを合わせやすい懸念はある。 また、重心が沈み込みすぎて後ろに残る傾向があるため、ここを改善して体重移動がスムーズになれば、手元での迫力はさらに増すはずだ。 (フォームのまとめ) 「開き」と「体重移動」に改善の余地はあるが、制球センスと故障リスクの低さは素晴らしい。将来的に絶対的な武器となる球を見つけられれば、さらに化けるだろう。 (最後に) 現時点での技術の高さは特筆すべきものがある。高卒2年目には一軍のマウンドに立っていても不思議ではない総合力だ。「素材型の大学生」を狙うよりも、彼のような完成度の高い選手の方が、プロでの青写真を描きやすいのではないか。一冬越えた姿を、今は楽しみに待ちたい。 (2025年秋 秋季近畿大会) |