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古川 稟久(三重3年)投手 181/68 右/右 





 「凄いスライダー」





 昨秋の東海大会時から、その「指にかかった時のボール」には目を見張るものがあった 古川 稟久。選抜初戦の登板では本来の球速が出ず本調子ではない様子だったが、続く大阪桐蔭戦で一変。高校野球ファンの記憶に刻まれる素晴らしい投球を披露した。


投球内容

 初戦は140キロ前後にとどまっていた球速が、大阪桐蔭戦では自己最速を更新する149キロを計測。
キレ味鋭い球質で、強打者から次々と空振りを奪う姿が印象的だった。


ストレート:140キロ〜MAX 149キロ
☆☆☆★ 3.5

 大阪桐蔭の打者が、差し込まれるほどの威力があった。基本的には
キレで勝負するタイプだが、指にかかった時の威力は一級品だ。課題はコマンド(狙ったところへ投げる能力)にあり、特に左打者相手にはバラつく傾向が見られた。

横変化(スライダー):
☆☆☆☆★ 4.5

 古川を語る上で、このスライダーは外せない。なぞるように滑りは、かつての 伊藤 智仁(元ヤクルト)を彷彿とさせる。このキレと曲がり幅は、並の高校生が対応できるレベルを遥かに超えている。

縦変化(チェンジアップ):
☆☆★ 2.5

 左打者に対してはスライダーを内に食い込ませてくることがあるが、基本的にはチェンジアップが主体となる。しかし大阪桐蔭戦では、この球の精度を欠きカウントを悪くする要因となった。夏に向けての最優先課題といえる。

緩急(カーブ):
☆☆★ 2.5

 ブレーキ自体は悪くないが、現状では「余裕がある時」にしか投げられない。投球のアクセントとして、どんな場面でもカウントを取れる精度を身につけたいところだ。

その他:
☆☆☆★ 3.5

 クイックは1.0〜1.1秒台と素早く、牽制の鋭さや走者への目配せも高いレベルにある。安易な盗塁を許さない実戦的なセンスを持っており、マウンド上での落ち着きも感じられた。





フォーム分析

 セットポジションから勢いよく始動するが、足の引き上げ自体は適度な高さに抑えられている。

<広がる可能性>
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を二塁側へ送ってバランスを取るスタイル。お尻を一塁側へ落とす動作(ヒップファースト)にやや甘さがあるため、現時点では縦の変化球(フォーク等)への適性はそこまで高くないかもしれない。

 しかし、ステップを大きく取ることで体を捻り出す時間を確保できており、これが現在のスライダーの驚異的なキレを生む土壌となっている。

<球の行方>
☆☆☆ 3.0

 グラブを
最後まで内に抱え込み、遠心力を抑え込めているため、体の軸がブレにくい。一方で、リリース時に足の甲が地面から浮きやすく、ボールが高めに上吊る要因となっている。球持ちは悪くないが、指先の繊細なコントロールについては、まだ伸び代を残している。

<故障のリスク>
☆☆☆★ 3.5

 縦の変化球を多用しないため、肘への負担は比較的抑えられている。腕の送り出しもスムーズで、肩に無理な負荷がかかっているようには見えない。ただし、
あれだけの凄まじい腕の振りを支える筋肉の疲労管理には注意が必要だろう。

<実戦的な術>
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは標準的だが、
腕の振りが極めて強く、打者は実際の球速以上に「球が来る」感覚に陥るはずだ。そのギャップが空振りを量産させている。投げ終わった後に体が一塁側へ流れる点(体重移動)を修正できれば、指先までさらに効率よくエネルギーを伝えられるようになるだろう。


最後に

 未完成な部分は多いが、それゆえに将来への期待が膨らむ好素材だ。
スライダーという絶対的な武器に、150キロに迫る直球。夏に向けて制球力とチェンジアップの精度が向上すれば、ドラフト1位候補に躍り出ても何ら不思議ではない。この選抜で見せた快投は、スカウト陣にとっても「嬉しい誤算」だったに違いない。今後の進路選択を含め、その動向から目が離せない。


蔵の評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2026年 選抜大会)