26kp-29
| 前田 侑大(高岡第一2年)投手 173/65 左/左 | |
ボールの勢いもマウンドセンスもありながら、意外に走者を背負ってピンチになることが多い 前田 侑大。その原因はどこにあるのか? 検証してみたい。 (投球内容) 2年夏の大会では3回戦で敗退。しかし、続く秋の大会ではチームを富山大会準優勝に導いた。続く北信越大会では日本文理の前に敗れ、選抜出場の夢は断たれた。 ストレート 常時140キロ前後 ☆☆☆ 3.0 適度に勢いのある真っ直ぐを、両サイドに散らせてきます。特に立ち上がりを中心に速球が暴れ、日本文理戦では苦しみました。二回以降は球筋が安定したものの、かえってボールが揃い出したところを打たれ、9回で11安打を浴び、自責点5と打ち込まれました。 横変化 スライダー ☆☆☆ 3.0 横滑りするスライダーで、しっかりカウントを整えてきます。真っ直ぐよりも制御できている印象で、この球でカウントを稼げるのは大きな強みです。 縦変化 チェンジアップ ☆☆ 2.0 まだ使ってくることは少なく、精度・キレとも発展途上。どうしても真っ直ぐやスライダーなど、中に入ってくる球にヤマを張りやすい配球だけに、右打者にとって逃げていく球の向上が必須となってくるでしょう。 緩急 カーブ ☆☆★ 2.5 投球の中でもそれなりに投げてくる球種で、スライダーを多く使うなかでのアクセントとしての役割を果たしています。しかし、まだ精度やブレーキは並なだけに、十分な効果を得るまでには至っていません。 その他 ☆☆☆★ 3.5 クイックは1.05秒とまずまずで、走者にも適度に目配せをしてから投げられています。左腕ということも相まって、走者としてはなかなかスタートを切りにくそうです。 牽制などは確認できませんでしたが、フィールディングの動きは悪くありませんでした。ピンチの場面でもスッとマウンドを外すなど危険回避能力があり、投手としてのセンスの良さや運動神経の高さが感じられます。 (投球のまとめ) ボールが揃い出すと一気に失点してしまう傾向が見られます。これはマウンドさばきに課題があるというよりも、使える球種が限られているために狙い打たれやすいからではないでしょうか。あるいは、ゾーン内の制球の甘さを突かれているのかもしれません。別の可能性としては、フォームが打者に合わせられやすい(タイミングを取られやすい)懸念もあるので、そのあたりをフォーム分析から考えてみたいと思います。 (投球フォーム) セットポジションから足を引き上げる勢いや高さはそれなりです。軸足一本で立った時も、膝から上がピンと伸び切ることはなく、力みは感じられません。そのため、適度なバランスを保って立てています。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を地面に向けがちなため、お尻の三塁側(左投手の場合)への落としに甘さは残りますが、カーブやフォークが投げられないほどではありません。ただし、体を捻り出すスペースが十分とは言えないので、少し曲がりが鈍くなる恐れはあります。 「着地」までの地面の捉えもそれなりで、適度に体を捻り出す時間も確保できています。武器になるほどの変化球を習得できるかは未知数ですが、変化球全般でキレのある球を投げられるようになる可能性は十分にあります。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めています。したがって軸がブレにくく、両サイドのコントロールも安定しやすいです。足の甲での地面の捉えもできていますが、まだ少し浅い印象。そのためボールが高めに集まりやすい部分はありますが、「球持ち」も悪くないので抜け球は多くありません。もう少し体ができてくれば、球筋も安定してくるタイプではないでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としに甘さは残るものの、カーブやフォークなどを投げてもそこまで大きな負担にはなりそうもありません。この点に関しては、それほど神経質になる必要はなさそうです。 腕の送り出しを見る限り、肩への負担もそれほど大きくはならないでしょう。テイクバックの際に少し背中のラインより後ろまで肩が入ることや、顔と腕の角度が開き気味で「ブン」と振る傾向がある点は、肩への負担がゼロとは言えませんが、こちらも過度に心配するほどではないと思われます。決して力投派というわけでもないので、疲労を溜め込みすぎることもなさそうです。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りはそれなりに作れており、ボールの出どころも隠せています。適度に腕も振れて体に絡んでくるので、打者は勢いに釣られやすいでしょう。ボールにもある程度体重を乗せてからリリースできており、ウェートがついてくれば打者の手元での球威もさらに増してきそうです。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」は、どれも高い水準でまとめられています。強いて言えば、さらに股関節の柔軟性を養いつつ下半身の筋力強化をすれば、より良くなる余地があるでしょう。故障のリスクも高くなく、制球を司る動作も良好です。体ができてくれば球筋も安定してくるはず。何より、将来的には質の高い変化球を習得していける可能性を感じさせるフォームでした。 (最後に) 冒頭に書いたように、ボールの勢いやセンスがある割に打ち込まれやすい点をどう改善できるかが今後の鍵です。ただ、それは決してフォームが打ちやすいからではなく、現状の制球のアバウトさと、球種の少なさから狙い打たれている面が強いからだと考えられます。 そうした投球をどこまで改善できるかで、高卒でのプロ入りも現実味を帯びてくるでしょう。一冬越えれば大化けしていても不思議ではない素材であり、高部 陸(聖隷クリストファー)投手あたりと遜色のない存在になり得る、楽しみな投手です。 (2025年秋 北信越大会) |