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  西田 陽紀(福井商2年)投手 183/72 右/右





 「意外に冷静」





 スラッとした投手体型が目を引く 西田 陽紀 。しかし、魅力は素材の良さだけではない。走者を背負っても動じない冷静なマウンドさばきこそが、彼の真骨頂だ。際どいライン上のゴロをギリギリまで見極めてファウルにするなど、一筋縄ではいかないセンスを感じさせる。


(投球内容)

 2年夏の福井大会では、準々決勝で強豪・敦賀気比の前に惜敗。続く秋の大会では3位決定戦を制し、チームを北信越大会へと導いた。北信越大会では初戦で日本文理(新潟)に競り負け選抜出場こそ逃したものの、そのポテンシャルは高く評価されている。


WHIP 0.91(1イニングあたりに許した走者数):一般的に1.00を切ればエース級とされる。180センチ超の長身ながら、非常に走者を出しにくい「大崩れしない」安定感がデータにも表れている。

K/BB
1.90(奪三振と四球の比率):3.5を超えると優秀とされる指標だが、現在は2.0弱。ストライクを先行させる能力はあるが、まだ「三振でねじ伏せる」圧倒的な制球力には至っていないことが伺える。


投球回数
被安打
四死球 奪三振  防御率
28回2/3 16 10 19 1.88


ストレート:常時140キロ前後 ☆☆☆ 3.0

 長身から投げ下ろす
角度と球筋の良さが魅力で、数字以上の威力を感じさせる。夏の敦賀気比戦でも、速球を完璧に捉えられる場面はほとんどなかった。一方で、全体的に球筋がアバウトな面があり、細かい制球力が今後の課題となるだろう。

横変化(スライダー):
☆☆★ 2.5

 夏の敦賀気比戦ではスライダーの精度を欠き、真っ直ぐに頼らざるを得ない苦しい投球となった。この球の精度とキレを高めることが、投球の幅を広げるための最優先事項だ。

縦変化(チェンジアップ):
☆☆ 2.0

 夏の時点ではあまり見られなかったが、縦の変化も持ち合わせている。この球を勝負どころで使えるようになれば、持ち前の角度がより活きてくるはずだ。

その他:
☆☆☆★ 3.5

 クイックは1.0〜1.1秒台と及第点。走者への目配せや牽制を巧みに織り交ぜ、時には投球間隔を長く取って相手を焦らすなど、走者がスタートを切りにくい工夫ができている。フィールディングの動きも軽快で、心身ともに
落ち着いて打者と対峙できている点は大きな強みだ。

(投球のまとめ)

 現状は真っ直ぐ主体の投球だが、投手としての
センスと高い運動能力を感じさせる。WHIP 0.91という数字が示す通り、実戦での粘り強さは本物。決して素材の良さに甘んじるタイプではなく、実戦的な技術を吸収していく伸びしろを十分に持っている。


(投球フォーム)

 セットポジションから静かに始動し、足はそれほど高くは引き上げない。このゆったりとした入りからは、リリーフよりも自分の「間」を大切にする
先発タイプとしての適性を感じる。軸足で立った際も膝から上に力みがなく、全体のバランスも保てていた。

<広がる可能性>
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばし気味に踏み出すため、お尻の一塁側への落とし(ヒップファースト)には甘さが残る。体を捻り出すスペースがやや限定されるため、縦の変化の鋭さは削がれるかもしれないが、カーブやフォークの習得自体に支障はないレベルだ。

 「着地」までの地面の捉えも平均的。スライダーやチェンジアップ、あるいは球速差のある小さな変化を中心に組み立てる現在のスタイルをベースに、さらに精度を高めていく形になりそうだ。

<ボールの支配>
☆☆☆ 3.0

 
グラブを最後まで体の近くに保てており、外へ逃げようとする遠心力を内側に留められている。そのため軸がブレにくく、本来は両サイドのコントロールをつけやすいタイプ。現状、球筋が高めに集まりやすいのは、足の甲での地面の捉えが浅く、浮き上がろうとする力を抑え込めていないためだろう。ただし「球持ち」自体は良いため、制球が大きく乱れる懸念は少ない。

<故障のリスク>
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さはあるが、カーブやフォークもみられず肘への負担は少なそう。腕の送り出しもスムーズで、肩への負担も大丈夫そうだ。力投派ではない分、疲労の蓄積も比較的緩やかだろう。

<実戦的な術>
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは平均的だが、ボールの出どころはある程度隠せている。腕の振りがさらに強くなってくれば、打者の体感速度はさらに上がるはずだ。

 リリース時にしっかり体重を乗せられているが、まだ体格的に線が細いため、ボールの勢いが打者の手元でわずかに落ちる場面もある。筋力アップが進み、体重が増えてくれば、文字通りの「剛球」を投げ込む可能性を秘めている。

(フォームのまとめ)

 「着地」にもう少し粘りが出てくると、さらに球威が増すだろう。足の甲での抑えを意識することで、高めに集まる制球も改善されるはずだ。大きな故障のリスクを感じさせない点はスカウトとしても安心材料。将来的に「これ」という絶対的な武器を見出せるかが、さらなる高みへの鍵となる。


(最後に)

 細かい制球力や変化球のバリエーションなど、乗り越えるべき壁はまだ多い。しかし、それらを克服できる
器用さと視野の広さを備えているのが、この投手の最大の魅力だ。素材としての魅力に実戦的な技術が伴った時、まさにプロ入りへの「旬」を迎えることになる。一冬越えてどれだけ化けるか、多くのスカウトが動向を注視する存在になるはずだ。


(2025年夏 福井大会)