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| 菰田 陽生(山梨学院3年)一塁 194/101 右/右 (野手・選抜編) | |||||||||||||||||||
これまでは「投手・菰田 陽生」を高く評価する声が大きかったが、今選抜では負傷の影響で登板機会がないまま甲子園を去ることとなった。しかし、負傷降板までの打席を見ただけでも、「野手・菰田」への評価を一変させるには十分だったのではないか。 【走塁・守備面】 走塁 評価:☆☆★(2.5) 一塁到達タイムは、右打席から全力駆け抜けで4.5秒弱。左打者に換算すると4.25秒前後となり、ドラフト候補の基準(左:4.1秒)と比較すると、やや物足りなさは残る。新チーム結成以来、34試合で7盗塁を記録しており、決して動けないわけではないが、プロで足を武器にするタイプではなさそうだ。ただし、常に全力で一塁を駆け抜ける姿勢には、野球に対する真摯な意志が感じられる。 守備 評価:☆☆★(2.5) 昨秋は三塁を守り、巨体に似合わぬ守備範囲の広さで周囲を驚かせた。ただし、プロで二刀流を継続することを想定すれば、一塁手やDHとしての起用が現実的だろう。その大きな体格は一塁手としての的(ターゲット)としても魅力的だ。 【打撃内容】 昨秋までは、体格の割に「上手く食らいつくしぶとさ」が目立ち、まだ才能だけで打っている印象が強かった。しかし、今選抜では冬場の振り込みの成果か、腰の据わった力強いスイングへと進化。甲子園で見せた衝撃の一発へと繋がった。 【セイバーメトリクスによる補足】 OPS:1.233(打撃の総合的な貢献度。出塁率と長打率を合わせたもので、1.000を超えれば「超一流」とされます) BB/K:4.75(選球眼や打席での粘り強さ。四死球数を三振数で割ったもので、1.000を超えれば優秀とされる中、驚異的な数値です) IsoP:0.283(純粋な長打力を示す指標。長打率から打率を引いたもので、0.200を超えれば一流の長距離砲とされます) 成績から算出される指標はいずれも「規格外」であり、194cm・100kgの巨体でありながら、圧倒的な選球眼とコンタクト能力を両立していることがデータからも証明されている。
<構え> 評価:☆☆☆★(3.5) 右打席で前足を軽く引き、グリップを低めに置く。全体のバランスは平均的だが、両目でしっかりと前を見据える姿勢が良く、球筋を正確に追うことができている。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がるタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視したアベレージヒッターに見られる始動であり、生粋のスラッガーというよりは確実性を重んじている。それでも、天性の体幹の強さと破格の肉体があるため、軽々とフェンスを越えていく。 <足の運び> 評価:☆☆☆★(3.5) 足を軽く上げ、真っ直ぐ踏み込んでくる。始動から着地までの「間」が取れるようになり、緩急への対応力が向上した。踏み込んだ前足の我慢も利いており、昨秋見せていた「しぶとく食らいつく打撃」に加え、今大会では強烈な引っ張りの打撃も披露した。 <リストワーク> 評価:☆☆☆(3.0) トップの形を自然体で作れており、グリップが奥に入り込みすぎなくなったことで、以前よりバットがスムーズに出るようになった。軌道は決してインサイドアウトではないが、ロスは少ない。広い面でボールを捉える形ができており、フェアゾーンへ飛ばす技術が高い。 <軸> 評価:☆☆☆☆(4.0) 足の上げ下げが静かで目線の上下動も少ない。体の開きを我慢でき、軸足を中心に綺麗に回転できている。体格に頼るだけでなく、腰の回転で打つスイングが完成しつつある。 【打撃のまとめ】 肘痛もあり、野手としての練習量も増え真摯に向き合ってきた成果が随所に現れている。技術的な課題を一つずつ解消しようとする意識の高さは特筆ものだ。特に、始動少し早めて、ボールを上手く呼び込めるようになってきた。 (最後に) 「才能だけで野球をやっている」という打撃の評価は、もう過去のものだ。この冬を経て、打撃に対する姿勢はより強固なものとなった。依然として投手としてのポテンシャルの方が魅力的だが、今選抜の振りを見れば「野手・菰田 陽生」としても十分に上位指名を狙える素材だ。規格外のサイズと、弱点を克服できる器用さ。投手としての評価は夏に持ち越しとなったが、打者としてのスケールがどこまで膨らむか、これからも注視し続けたい。 蔵の評価:☆☆☆(上位指名級) (2026年 選抜大会) |
| 菰田 陽生(山梨学院2年)三塁 194/100 右/右 (野手編) | |||||||||||||||||||
野手・菰田 陽生 を見ていると、現時点では「凄い」というよりも、想像以上に変な当たりでもヒットにしてしまうしぶとさを感じる。それだけまだ未完成なのだが、結果を残せてしまうところに、この選手のポテンシャルの高さがあるのかもしれない。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、右打席から4.55秒前後。これを左打者に換算しても4.3秒前後と、走力に関しては速いとは言えない。2年春からの公式戦でも、32試合で1盗塁ということで、基本的に盗塁は期待できないと見て良いだろう。 三塁手としては、神宮大会で横っ飛びしてアウトにしたプレーには驚いた。手足も長いので、思った以上に守備範囲が広い。超大型ゆえに緩慢にすら見える選手だが、そうかといって守備範囲が狭いわけではない。投手としても150km/h級のボールを投げられるだけに、無理しなくても送球を乱すようなこともなさそうだ。 決して上手いサードには見えないが、エラーがなく、想像以上に堅実性は高そうだ。走力に大きな期待はできないが、守備は思った以上に安定感があるのかもしれない。この点は、来年以降も注視していきたいポイントだ。上のレベルでもサードを守れるのか、見極めていきたい。 (打撃) そんなに打球が上がるタイプというよりも、強烈な打球が野手の間を抜けていくタイプの強打者に思える。公式戦の通算成績は以下の通り。
セイバーメトリクス的な補足として、出塁率は.413、長打率は.509となり、総合的な打撃生産力を示すOPS(出塁率+長打率)は.922と優秀。純粋なパワーを表すIsoP(長打率-打率)は.154と並以上で、打球の強さが数字にも表れている。一方、四球と三振の比率(BB/K)は0.48と選球眼はまだ発展途上。打球が野手に捕られる前の打率(BABIP)は.398と高く、詰まった当たりでもヒットになりやすいしぶとさがここにも現れている。 <構え> ☆☆☆ 3.0 右打席から前の足を引いて、グリップは少し下げ気味に構えている。腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスとしては平均的。打席でリラックスして構えられているのは良い点だ。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきったところで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強いポイントゲッターに多く見られる始動タイミングである。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 足を上げて、少しベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動から着地までの「間」はそこそこで、速球にも変化球のスピード変化にもそれなりに対応できている。アウトステップ気味に踏み込むことから、内角への意識が強いことがうかがえる。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際に動きがち。そのため、逃げていく球や低めの球への対応が課題と考えられる。ただし、手足が通常の打者より長いため、中途半端なコースに入ると巻き込まれて捉えてしまう。現時点では、基本的に引っ張り意識の強い打者と言える。 <リストワーク> ☆☆★ 2.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めるところは良い。ただし、グリップがかなり奥まで入り込むため、バットの出がやや遅い印象がある。バットの振り出しも、インパクトまで少し遠回りに出てくる。 また、バットのヘッドは下がらないので、打球に角度をつけるよりも広い面で捉えることが多く、ゴロ性の打球が多いイメージだ。スイングの弧自体は大きめで、捉えた打球は強烈だが、まだ筋力が不足しており、スイングや体にキレが感じられず鈍い印象がある。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げは大きくないので、目線の上下動は平均的。体の開きを十分に我慢できているわけではないが、軸足は地面から真っ直ぐ伸びて回転できている。そのため体が突っ込むことはあまりなさそうだが、軸足の内腿の筋肉がまだ弱そうで、スイングに緩さが見られるのは気になる。 (打撃のまとめ) 技術的にも筋力的にも、決して優れているとは言えない。それだけに打者・菰田陽生は、まだ完成度が高くなく、将来大成できるかどうかには半信半疑なところが残る。それでも意外に打ててしまい、詰まった当たりでもヒットにしてしまうことが少なくない。OPS.922や高いBABIPが示すように、筋力もスイングもまだまだなのに打球は強烈で結果が出ている。そうしたことができるのは、ポテンシャルがあってこそなのかもしれない。 (最後に) 個人的には、投手としての才能の方を強く推したい。しかし、このまま故障の影響で中途半端な状態が続くと、野手としての素材と見なされる可能性が出てくる。また秋に関しては、明らかに野手としての色彩が強かった。 一冬越えて、投手としても野手としてもどうなっているのか気になるところだ。これだけの器の選手の場合、投手か野手かという括りを超えて、野球人としての器の大きさで判断した方が良いのかもしれない。 (2025年 神宮大会) |
| 菰田 陽生(山梨学院2年)投手 194/100 右/右 (投手編) | |
豊作を予感させる26年度のドラフト戦線においても、野球人としての器の大きさで言えば、この 菰田 陽生 がNo.1だと評価する。ただし、夏・秋と肘の状態が思わしくなく、その才能を最終学年で示すことができるのかは、今のところ不透明であることは否めない。 (投球内容) 2年春のセンバツ大会では、152キロの速球を投げ込み度肝を抜いた。しかし、続く夏の大会ではかなりセーブした内容だった。さらに、秋は肘の心配が残っていたものの、無理をさせないまま終わった印象は否めない。 ストレート 140キロ前後~MAX152キロ ☆☆☆☆ 4.0 大谷翔平は、球速の割にミートされやすかった。佐々木朗希は、球速表示どおりの威力の球を投げていた。しかし、この菰田の球は、その球速以上に打者が球威に詰まらされたり、対応しづらさを感じさせるボールなのだ。2年春の時に比べると、明らかに球速や勢いは劣っていたものの、秋の神宮大会のボールを見ていると、140キロ前後でも球筋に角度と球威が感じられ、より打ちにくさは増してきていたように思える。 それほど細かいコントロールはないものの、四死球で自滅するような危うさはない。右打者には外角の真ん中~高めのゾーンに集まりやすい。また、結構高めに抜けてしまう球も少なくない。逆に左打者には、両サイドのコントロールはアバウトになるものの、全体的に低めに集まる球が多くなる傾向が見られる。 変化球 スライダー・フォーク・カーブ ☆☆★ 2.5 投球のほとんどは速球なのだが、時々スライダーを投げたり、フォークのような縦の変化球、あるいはカーブなどもあるように見える。ただし、投球においては大きなウェートを占めていない。あまり走っていない、あるいは球数制限しながらの秋も、ほとんど真っ直ぐで勝負している。 (投球のまとめ) 2年春の時点で、150キロ台を連発していた能力がある。そこ頃よりも体もできてきている現在、リミッターを外したらどんな球を投げるのだろうという期待はある。ただし、一冬越えて、それが可能な状態にまでセンバツでもって来られるのかどうかが一つの鍵だと言える。逆にセンバツでもセーブした投球を余儀なくされるのであれば、高校の時点で多くを望むのは厳しいと見て良さそうだ。 (投球フォーム) 今後の可能性について、フォームを分析して考えてみたい。フォームは、春と秋のものを両方見比べてみた。セットポジションから、足をゆったりと高い位置まで引き上げる。フォーム序盤のエネルギー捻出は低く、先発タイプの「間」のようなものは感じる。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸び切ることなく、力みなくバランス良く立てている。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の三塁側(右投手の場合)への落としは甘さが残る。そのため、体を捻り出すスペースは十分確保できないので、カーブやフォークは投げられないことはないものの、その変化は鈍くなりやすい傾向にある。 「着地」までの粘りについても平均的で、体を捻り出す時間は並ぐらい。そういった意味では、曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げていくタイプではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブをしっかり内に抱えているという感じではないのだが、結果的には体の近くに留まっている。そのため軸を大きくブレさせるほどではないので、両サイドの制球はそこまで悪くない。実際の投球では、左打者に投げる時にサイドの制球がアバウトになっていた。しかし、左打者には低めに球が集まりやすい。 足の甲での地面の捉えはまだ浅いので、力を入れて投げるとボールが高めに集まったり、抜け気味になる。特にこの傾向は、右打者相手に多く見られる。「球持ち」は並ぐらいで、指先の感覚も平均的といった感じだ。四死球を多く出してストライクが取れず苦しむといったことはなく、夏や秋の大会では丁寧に投げている感じがする。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としが甘いので、カーブやフォークなどの捻り出して投げる球が多くなると心配だ。しかし現在は、肘に不安があるというのもあると思うが、変化球の割合は少なく、そこまで肘への負担が大きいようには感じない。 ただし気になるのは、腕の送り出しの方だ。センバツまでは、無理なく腕を振れている感じだった。しかし、秋のフォームを見ると、ボールに角度を付けようと無理に真上から投げ下ろすフォームに変わっている。これは、肩を中心に負担がかかる投げ方なのではないだろうか。いつの時点で変えたのかわからないが、もしかすると故障に悩まされる要因が、この腕の送り出しにあるのかもしれない。体のケアには、十分に注意してほしいところだ。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均的だが、ボールの出どころは若干早く見える。そのため、打者としては決して苦になるフォームにはなっていない恐れがある。腕は強く振れており、投げ終わった後も体に絡んでいる。そのため勢いで打者も吊られそうだが、開きが早いことで打者は吊られにくくなっている恐れがある。地面の蹴り上げは跳ね上げており、エネルギー伝達は悪くない。ただし、もっと良くできる余地は残されていそうだ。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」に課題があり、あとは平均的でまだ良くなる余地が残されている。制球を司る動作も平均的で、故障のリスクは肩などへの負担が春よりも増している。将来的にも武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙で、現状は発展途上であり、可もなく不可もないフォームといった印象だ。それだけ、まだ伸び代を残しているとも言える。 (最後に) 全ては、一冬越えた成長具合やセンバツでのパフォーマンス次第だと思う。こちらの期待どおりに伸びていれば、150キロ台中盤を記録していても不思議ではないだろうし、夏には160キロ台の大台も見えてくるかもしれない。その一方で、故障の不安が払拭できずセーブしたままの投球が続くようだと、高校からプロという選択肢は薄まっていく可能性すらある。 特に、山梨学院は、高校から直接プロ入りする選手がほとんどいない学校でもあるので。いずれにしても、ドラフト戦線で抜け出す可能性を秘めた素材だが、現状はどうなるかわからない。それが、菰田 陽生の、秋までの姿ではないだろうか。ドラフトの目玉となれるかは、センバツでのパフォーマンスに懸っている。 (2025年秋 神宮大会) |