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| 川尻 啓人(亜細亜大3年)投手 188/84 右/左 (高岡商出身) | |||||||||||||||||||
大学での実績には乏しいが、ドラフト指名された 齊藤 汰直(広島2位)あたりと比べても、真っ直ぐの威力では勝って見えたのが、この 川尻 啓人 だ。最終学年でのアピール次第では、一躍上位候補に浮上してきても不思議ではない能力の持ち主である。 (投球内容) リーグ戦通算で11試合に登板し、まだ勝ち星を挙げたことはない。気になるのは、3年秋のリーグ戦での登板がなかったことだろう。夏場の試合などでは元気に投げていたのだが……。3年秋までの通算成績は以下の通り。 【セイバーメトリクス指標の解説】 K/BB:奪三振と与四球の比率。3.00を超えると優秀とされる。 WHIP:1イニングあたりに許した走者数。1.20未満ならエース級。 K9(奪三振率):9イニング換算で奪う三振数。9.00を超えると非常に高い。 BB9(与四死球率):9イニング換算で出す四死球数。
ストレート:常時145キロ前後〜150キロ強(評価:☆☆☆☆ 4.0) この選手の最大の長所は、真っ直ぐの球威・球速で押せるところにある。与四死球率(BB9)6.58と制球は荒っぽいが、被安打がイニング数より少ない点は魅力。ゾーン内にしっかり投げ込めれば、相手を詰まらせたり打ち損じを誘ったりするケースが多い。 横変化(スライダー)(評価:☆☆☆ 3.0) スライダーである程度カウントを整えることができている。打者の空振りを奪うほどのキレはないが、この球の存在は大きい。 縦変化(スプリット)(評価:☆☆★ 2.5) 高速で小さく沈むため、空振りを誘うというよりは、引っ掛けさせて打ち取る役割が多い。 その他(評価:☆☆☆ 3.0) クイックは1.05~1.10秒前後と基準以上。ただ、走者への目配せがもう一つのため、フォームを盗まれないか気になるところだ。適度な牽制やボールを長く持つなど、スタートを切りにくくする工夫が必要だろう。 (投球のまとめ) 指標を見ても、高い奪三振率(K9: 8.56)を誇る一方で、防御率や制球面に課題を残す。あくまで強い真っ直ぐで押す投球に終始しており、技術・実績ともにまだ乏しい印象。それでも、最終学年に「大化け」を期待したくなる素材である。総合力をどこまで引き上げられるかだが、現状ではリリーフ適性の高い素材と感じる。 (投球のフォーム) ノーワインドアップから足を引き上げる勢いと高さがあり、序盤から高いエネルギーを捻出できている。そういった意味でもリリーフタイプの投手だろう。軸足一本で立った際、膝にさほど余裕はないが、全体的にバランス良く立てている。 <広がる可能性>(評価:☆☆★ 2.5) 引き上げた足を二塁側に送るため、お尻の一塁側への落とし(ヒップファースト)には甘さが残る。それでもカーブやフォークが投げられないほどではなさそうだ。むしろ問題は「着地」が早いことで、体を捻り出す時間が確保できていない点にある。そのため、曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に組み立てることになりそうだ。 <ボールの支配>(評価:☆☆☆☆ 4.0) グラブを最後まで内に抱え、遠心力を抑えられている。軸がブレにくいため、両サイドへのコントロールはつけやすいはずだ。足の甲での地面の捉えも良く、ボールが浮き上がるのを抑えられている。「球持ち」も悪くなく、高めに抜けるミスも少ない。これだけ投球動作の質が良い割に、BB9(与四死球率)が改善されない要因は、指先の感覚(リリース)の繊細さがまだ足りないためかもしれない。 <故障のリスク>(評価:☆☆☆★ 3.5) お尻の落としに甘さはあるが、無理な捻りは見られず、変化球も負担の少ないスプリットが中心。現状、故障に対して神経質になる必要はなさそうだ。腕の振りを見ても肩への負担は少なそうに見える。 <実戦的な術>(評価:☆☆☆ 3.0) 「着地」までの粘りが淡白で、ボールの出所も平均的。決して「タイミングの取りにくい」フォームではない。しかし、分かっていても詰まらされるだけの球威があるのが彼の強みだ。腕は振れているが「開き」が早いためか、打者がボールを長く見られる(吊られにくい)感覚がある。 (フォームのまとめ) 「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の4大動作のうち、「着地」と「開き」に改善の余地がある。制球を司る動作は良い割に、実戦で制球を乱す要因を突き止めたい。真っ直ぐ以外の変化球で、何か一つ武器になる球が習得できれば化けるはずだ。 (最後に) 現状は素材型の域を脱しておらず、期待半分・不安半分といったところ。しかし、WHIP(1.32)が示す通り、走者を出す割には打たれていないポテンシャルは非常に魅力的だ。最終学年に才能を開花させ、彼が上位戦線に食い込んでくるようだと、豊作と言われる26年度ドラフト戦線はさらに盛り上がることになるだろう。 (2025年 春季リーグ戦) |