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仲井 慎(駒澤大3年)投手 177/83 右/右 (下関国際出身) 





 「意外に変化球が多い」





 150キロ台の直球をガンガン投げ込んでくるイメージが強い 仲井 慎 。しかし、リーグ戦で先発している姿を見ると、意外にも変化球の割合が多いことに驚かされる。


【投球内容】

 平均的な体格から力のある速球を見せつつ、変化球を織り交ぜて相手を打ち取る。今秋の成績からその能力を紐解くと、特筆すべきはK/BBの高さだ。


K/BB:奪三振÷与四球で算出。「3.5を超えると優秀」とされる。2.20は突出してはいないが、大崩れしない制球の安定感を示す。

WHIP:1イニングあたりに出した走者の数。1.20前後ならエース級。1.25は、
走者を出しつつも粘り強く抑えていることを表す。

投球回数
被安打
四死球 奪三振  防御率 K/BB WHIP
26回1/3 23 10 22 3.08 2.20 1.25


ストレート 145キロ〜150キロ台前半 ☆☆☆★ 3.5

 それほど細かいコントロールはなさそうだが、大まかに両サイドに散らしてくる。
安定して140キロ台後半を刻めるスピード能力があり、打者の内角を厳しく突くこともできる。リリーフなどで力を入れて投げている時以外は、真っ直ぐだけで圧倒するほどの威力は感じられず、FIP(守備の関与しない投手本来の防御率)で見れば被安打の多さが少し気にかかる。むしろ、真っ直ぐを意識させておいての変化球というのが、この投手の持ち味といえるだろう。

横変化 スライダー 
☆☆☆★ 3.5

 130キロ台中盤の小さく横にズレる、カットボールのようなスライダーを多用する。特にこの球の精度は高く、
右打者の外角低めのギリギリからボールゾーンに集められている。

縦変化 ツーシーム 
☆☆☆ 3.0

 空振りを誘うというよりも、チェンジアップのようにタイミングを外す効果が大きい。主に左打者に対して多く使用し、芯を外してゴロを打たせる、DER(打ち取った打球をアウトにする割合)を高めるための実戦的な球種だ。

緩急 カーブ 
☆☆★ 2.5

 それほど多くは使ってこないが、投球に余裕が出てくると時折投げ込んでくる。変化球の主軸が130キロ台中盤なので、この球を上手くアクセントに使えると面白い。ただし現状は、投球において大きなウェイトは占めていない。

その他 
☆☆☆★ 3.5

 クイックは0.95〜1.05秒とまずまず素早い。ただし、走者への目配せが少ないため、あっさりとフォームを盗まれる恐れはある。観戦した試合では牽制などは確認できなかったが、走者を背負うとボールを長く持って打者を焦らすなど、投球術は心得ている。下関国際時代から経験豊富な選手で、
マウンドさばきや度胸には優れた投手だ。

(投球のまとめ)

 現状は、絶対的な武器があるというよりも、コンビネーションや総合力で打ち取ってくるタイプといえる。プロ入りを想定した際に、どのように個性を出していくか、あるいは実戦力をさらに高めていけるかが今後の鍵になりそうだ。





(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなり。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸び切らないので力みがなく、適度にバランスを保てている。

<広がる可能性> 
☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の落とし(重心移動)はバッテリーライン上に。そういった意味では、カーブやフォークのような捻り出して投げる球種には、スペース確保の関係上、適しているとは言い難い。着地までの地面の捉えも平均的で、体を捻り出す時間も並ぐらい。そのため、大きな曲がりよりも球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げていくことになりそうだ。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 
グラブは最後まで内に抱えられ、遠心力を内に留めることができている。そのため軸はブレにくく、両サイドの投げ分けは安定しやすい。足の甲での地面の捉えが浅いので、力を入れすぎると浮き上がろうとする力を抑えられず上ずりやすい傾向があるが、球持ちは良いので指先でコントロールはできそうだ。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落とし込みは不十分だが、負担の大きいカーブの頻度が少なく、フォークよりも負担の軽そうなツーシームを多用する。そのため、肘への負担などはそれほど神経質にならなくても良いのかもしれない。腕の送り出しも無理がなく、肩への負担は少なそうだ。先発時は力みがなく、現状は負担の大きなフォームではない。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 着地までの粘りは平均的で、
ボールの出どころが少し早く見える。そのため、球速や勢いの割に、BABIP(本塁打を除くインプレー打球が安打になる割合)が高まり、打者に合わせられやすい懸念がある。また腕は振れているのだが、開きの早さから縦の変化球を見極められる恐れもある。ボールに適度に体重を乗せてリリースできているので、打者の手元まで力のある球は投げられているのだが。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
着地や開きなどに改善の余地がありそうだ。制球を司る動作は、力まなければ高めに抜ける球は少ない。将来的に、武器になるような変化球を見いだせるか。この点では不安もあるので、決め手不足に陥らないかが鍵になりそうだ。


(最後に)

 中背の体格ゆえに、150キロ台を連発するような勢いがないと、一軍打者相手では厳しいかもしれない。無理に力を入れて抑え込みに行くと、制球が乱れたり負担が増大したりという懸念がある。理想は、多少出力を抑えても抑え込めるだけの馬力や投球術を身につけることだ。LOB%(出した走者を本塁に返さない確率)を高める粘り強い投球を最終学年で見せられれば、ドラフト中位前後での指名も現実味を帯びてくるだろう。


(2025年秋 東都リーグ)