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鈴木 泰成(青山学院大3年)投手 187/79 右/右  (東海大菅生出身)
 




 「実戦力はまだまだ」





 ホレボレするような美しいフォームから、実に回転の良い真っ直ぐを投げ込む 鈴木 泰成 。しかし、まだプロで即戦力を期待するには物足りなさを感じる。そういった完成度は、一学年上の中西聖輝(中日1位)に比べると劣ることは否めない。


(投球内容)

この秋のリーグ戦の成績は、以下の通り。セイバーメトリクス的な補足として、奪三振率(K/9:9イニングあたりの奪三振数)は6.62、四死球率(BB/9:9イニングあたりの四死球数)は2.38、K/BB(奪三振と四死球の比率)は2.78と、
与四死球の少なさが光る一方で三振奪取力は平均的。また、被本塁打数が不明のため正確なFIP(守備独立の投手指標:三振・四死球・被本塁打に依存した防御率に近い予測値)は算出できないが、運や守備の影響を除いた実力は防御率以上に安定している可能性がある。

投球回数
被安打
四死球 奪三振  防御率
34 18 9 25 2.12(6位)


ストレート 常時145キロ前後 
☆☆☆★ 3.5

 確かに回転数が多いと思われる、空振りを奪える球質には目を見張るものがある。しかし、そのコントロールは
ストライクゾーンの中ではアバウトだ。また、キレイな球といった印象で、それほど球威があるわけではない。甘く入れば、きっちり捉えられる傾向にある。

横変化 


 基本的にスライダー系の球種は見られない。高校時代はそういった球を使っていた記憶があるが、現在はほとんど投げていない。

縦変化 2種類のフォーク ☆☆☆ 3.0

 それではどのようにカウントを整えているのかというと、チェンジアップのようにストライクゾーンに沈んでくるフォークでカウントを取る。また、空振りを誘う地面に向かって急激に沈む球もあるが、この球はまだ手を出してもらえていない(空振り率が低い)。

緩急 カーブ 
☆☆☆ 3.0

 スライダーを使わない限り、かなり緩いカーブを交えてカウントを整えてくる。

その他 
☆☆☆ 3.0

 クイックは1.1~1.2秒程度と平均的。走者に目配せはしっかりするが、鋭い牽制を入れるわけではない。微妙なところに集めて出し入れするような制球力や、ボールを長く持って走者や打者を焦らすような投球術も見られない。

(投球のまとめ)

 現状、美しいフォームとキレイな回転のボールを投げるという意味では非凡だが、制球力・投球術・変化球の部分では実戦的とは言えない。その辺りは、残した成績が圧倒的ではないことにも表れている。セイバーメトリクス的に見ても、WHIP(1イニングあたりの出塁許容数:被安打+四死球を投球回で割った値)は約0.79と優秀でランナーを溜めにくいが、三振頼みではなくゴロアウト中心のため、守備依存の側面が残る。





(投球フォーム)

 今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてみたい。セットポジションから足を引き上げる勢いは静かで、あまり高く上げてこない。そのためフォーム序盤のエネルギー捻出は低く、
先発タイプの投手という印象を受ける。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸び切ることなく余裕がある。そのため力みは感じられないが、全体のバランスが取れた立ち方にはなっていない。理想のバランスとは、Y字やV字のように見えるものだ。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすため、お尻の一塁側落とし(右投手の場合)が甘くなりがちだ。したがって体を捻り出すスペースは十分とは言えず、カーブやフォークといった縦の変化球のキレは鈍くなりやすい。実際、その影響なのか、これらの球種の曲がりはそこまで鋭くない。

 それでも「着地」までは前に大きめにステップすることで、体を捻り出す時間はそれなりに確保できている。むしろカーブやフォーク以外の球種の方が、大きな変化が期待できるのではと思うほどだ。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 
グラブを最後までしっかり抱えられていないせいか、外に逃げようとする遠心力を内に留められていない。軸がブレやすく、両サイドへのコントロールが乱れやすい。一方で足の甲での地面の捉えは良いように見えるが、少し遅れて捉えているため、制球への影響は微妙だ。それでも「球持ち」は前でできており、指先の感覚自体は悪くなさそうだ。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としが甘い割に、カーブやフォークを多用している。そのため窮屈になり、
肘などへの負担は少なくないように思える。一方でボールの送り出しには違和感がなく、肩への負担は少なそう。現状そこまで力投派でもないので、疲労を溜めやすいほどではないだろう。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りはそれなりで、ボールの出どころもなんとか隠せている印象だ。相手に嫌がられるほどではないが、投げミスをしなければ問題ないレベル。腕もちゃんと振れているので、打者としては吊られそうな勢いを感じる。しかし、その割にフォークを振ってもらえていないのは気になる材料だ。

 ボールにも体重を乗せてからリリースできており、地面の蹴り上げも悪くない。ただし、まだ線が細く物足りないのと、投げ終わった後に
一塁側に流れることから、作り出したエネルギーをロスしており、力を十分にリリースまで伝えきれていない。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」のうち、「開き」はギリギリ合格、「体重移動」は一塁側に重心が流れる傾向があり、まだ改善の余地が残されている。制球を司る動作は、高低よりも
両サイドへの制球が課題。故障リスクは、お尻の落としが甘い割にカーブやフォークを多用する点でやや心配。将来的に武器になる変化球という観点では、フォークよりも別の球種の方が向いているかもしれない。


(最後に)

 実際の投球同様、フォームにも良い部分と悪い部分が同居しており、完成度はそこまで高くない。特に中間球としてストライクゾーンに入れるフォークに頼っているため、スライダーやカットボールなどでしっかりカウントを取れるようになりたいところだ。

 フォームにも改善点は少なくなく、最後の1年でどこまで実戦力を高められるか不安も残る。むしろ細い体格や一塁側への流れからも、筋力強化で凄みを増す方向性の方が、良いパフォーマンスを発揮できるかもしれない。いずれにしても現時点では、1年目からプロの先発として定着できるレベルとは言えない。ここから1年で、さらなる成長を遂げられるかにかかっている。


(2025年 神宮大会)