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山本 倫彰(23歳・徳島IS)外野 180/84 右/右 (飛龍-城西国際大出身)





 「徳島で一番魅力を感じる」





 四国の独立リーグで毎年多くのNPB選手を輩出する徳島インディゴソックス。今年すでに何試合か彼らの試合を観戦したが、その中でひときわ目を引いたのが 山本 倫彰 だ。身体能力の高さに定評のあるこの選手、走塁と守備で光るものを見せつけている。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 山本の最大の武器は、その脚力だ。右打席から一塁到達タイムは驚異の4.2秒を切るスピードで、左打者に換算すると3.95秒弱に相当する。この速さはリーグ戦20試合で盗塁12個(失敗1)という数字にも表れている。NPBで「脚」を売り物にするにはもう一歩かもしれないが、純粋な脚力は本物だ。積極的な走塁で相手にプレッシャーを与える姿は、見ていてワクワクする。

守備面:
☆☆☆★ 3.5
 
 守備でも山本は輝いている。中堅や右翼を守ることが多く、持ち前の脚力を活かした広い守備範囲が特徴だ。
特に注目すべきは肩の強さ。NPBレベルでも十分通用するレベルの送球を見せる。キャッチングやポジショニングも標準以上で、守備面での安定感は高い評価に値する。ミスが少なく、堅実なプレーでチームを支えている印象だ。

総評

 山本倫彰の魅力は、なんといっても肩と脚のずば抜けた身体能力にある。この二つはすでにNPBでも通用するポテンシャルを秘めている。あとは技術面をどこまで磨けるかがカギだ。守備や走塁で存在感を発揮しつつ、打撃面でも成長を見せれば、NPBの舞台で「守備職人」や「スピードスター」として活躍する未来も見えてくる。徳島インディゴソックスの中でも、可能性に溢れた選手として、今後も注目していきたい。





(打撃内容)

 徳島インディゴソックスの山本倫彰は、守備と走塁で光る身体能力を持つ選手としてすでに注目を集めているが、打撃面でもそのポテンシャルに目を見張るものがある。リーグ戦 20試合で1本塁打、11打点、打率.267 と、数字だけ見ると物足りなさを感じるかもしれない。しかし、試合でのインパクトは強く、今年の徳島で最も存在感を放つ打者という印象だ。以下、彼の打撃を細かく分解し、その魅力と課題を探ってみる。

 山本の打撃は、爆発力とムラが共存するタイプだ。20試合でホームランは1本に留まるが、観戦した試合では常に相手投手にプレッシャーを与えるスイングを見せていた。数字以上のインパクトを持ち、徳島の攻撃の軸として機能する場面が多い。潜在能力の高さを感じさせる一方で、コンスタントに結果を残すための課題も見える。

構え:
☆☆☆★ 3.5

 右打席での構えは、軽く足を引き、カカトを浮かせたスタイル。グリップは平均的な高さで、後ろ足にやや重心を預ける傾向がある。両眼で投手をしっかり捉える姿勢は悪くないが、全体のバランスは「まずまず」といった印象。

仕掛け:平均

 山本は投手の重心が沈みきるタイミングで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。このタイミングは、中距離ヒッターやポイントゲッターに多く見られ、確実性と長打力をバランスよく発揮できる。特別な速さや遅さはないが、どんな投手にも対応しやすいオーソドックスな始動だ。

足の運び:
☆☆☆★ 3.5

 足の運びは、軽く脚を上げ、ベースから離れる方向にアウトステップして踏み込むスタイル。始動から着地までの「間」は平均的で、速球にも変化球にもそれなりに順応できる。内角を意識したアウトステップが特徴で、逃げる球や低めの球にも「開き」を我慢して食らいつく。踏み込んだ足元はインパクトまで動かず、右方向への打球も少なくない。

リストワーク:
☆☆☆★ 3.5

 打撃準備の「トップ」は自然体で、力まずボールを呼び込める。バットの振り出しはインサイドアウト軌道ではないものの、ヘッドが下がっていないため、フェアゾーンに飛びやすいスイングができている。リストの使い方はスムーズで、ボールを捉える感覚は悪くない。

軸:
☆☆☆★ 3.5

 脚の上げ下げは静かで、目線の上下動は少ない。ただし、懐がやや窮屈に見え、身体が突っ込みがちな場面が散見される。開きは我慢できているものの、この突っ込み癖が打率の低さや調子の波につながっている可能性がある。軸の安定感をさらに磨ければ、コンスタントな成績が期待できるだろう。

打撃のまとめ

 山本の打撃は、爆発的な活躍を見せる一方で、調子の波が激しいタイプかもしれない。観戦した試合では常に存在感を示し、相手投手を脅かすスイングを披露していたが、打率.267という数字は彼のポテンシャルを完全には反映していない。スイングの力強さ、ボールへの対応力、そして試合でのインパクトは、徳島の打者陣でもトップクラス。課題は安定感と技術の細部だが、これらが向上すればNPBでも十分通用する打者になれる可能性を秘めている。


(最後に)

 山本倫彰は、守備、走塁、打撃のすべてで高いポテンシャルを持つが、現時点ではその能力が数字に完全には表れていない選手だ。走塁と守備での身体能力はすでにNPBレベルに近く、打撃でも試合を動かす一打を放つ力がある。課題は、打撃の安定感と技術のブラッシュアップだが、これらが改善されれば、プロの舞台で「守備と走塁を軸に、打撃でも貢献できる」選手へと成長する可能性が高い。現状ではドラフト下位指名級の評価だが、シーズン終盤にかけてさらなる進化を見せれば、NPB球団の目に留まる可能性は十分だ。ポテンシャルの高さが引き出される瞬間を、シーズン最後まで見極めたい逸材である。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2025年 アイランドリーグ前半戦)