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松山 翔太(25歳・西部ガス)捕手 182/85 右/右 (鵬翔-宮崎産経大出身)
 




 「今や社会人NO.1では?」





 宮崎産経大学時代からディフェンス力に定評のあった 松山 翔太 は、社会人3年目を迎え、リードや打撃の安定感が増し、社会人を代表する捕手に成長した。この秋のドラフトでは、指名が期待される存在である。


ディフェンス面

 大学時代、チームでも抜群の存在感を放ち、周囲に細かく指示を出すリーダーシップが印象的だった。積極的に投手とコミュニケーションを図り、試合を組み立てるタイプの捕手である。座ったまま投手に返球するスタイルは、雑なプレーではなく、投手のテンポを意識したものと考えられる。

 ミットを明確に示し、投手が的を捉えやすいよう配慮している。キャッチングも一定のレベルを満たし、特にワンバウンドの球に対しては
素早く重心を下げ、フットワークの良さが光る。大学時代からイニング間の送球で1.8秒台中盤を記録する強肩の持ち主だった。ただし、実戦では制球を乱す場面も多く、送球の精度はさほど高くなかった。しかし、社会人3年目となり、プレーの安定感が増した印象がある。ディフェンス力全体で見れば、即戦力としてプロの実戦に混ざって行くレベルにあると言える。





打撃内容

 今年の都市対抗予選では、
10打数7安打、2本塁打と大活躍した。しかし、予選を除く公式戦の成績は18打数3安打、1打点、打率.167と、確実性に課題が残る。都市対抗本戦でも7打数1安打にとどまり、粗さが目立った

構え 
☆☆☆★ 3.5

 右打席で軽く前足を引いて立ち、グリップの高さは標準的。腰の据わりや全体のバランスはまずまずだが、前足をやや開いた構えの割に、両目で投手を捉える姿勢がやや弱い点が気になる。これは、体の硬さが影響している可能性がある。

仕掛け 
遅め

 投手の重心が下がりきり、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。このタイミングは、ボールを引き付けて打つスラッガーや二番打者に多く見られる。

足の運び 
☆☆☆★ 3.5

 軽く足を上げ、ベース側にインステップして踏み込む。始動から着地までの「間」が短いため、狙い球を絞り、逃さず捉えることが求められる。外角を意識したインステップの動きから、外角への意識が高いと考えられる。踏み込んだ前足は
インパクト時にブレず、逃げる球や低めの球にも対応できる粘り強さがある。

リストワーク 
☆☆☆★ 3.5

 打撃準備の「トップ」の形は自然体で、力まずボールを呼び込めている。
バットを引くタイミングの遅れに注意が必要だ。バットの振り出しはインサイドアウトの軌道で、引っ張りに強いスイング。スイング自体は、コンパクトで無駄がない。インパクト時にバットのヘッドが下がらず、広い面でボールを捉え、フェアゾーンに飛びやすい打球を生む。ヘッドスピードは鋭く、最後まで振り切る力強さがある。

軸 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は標準的。体の開きを我慢でき、軸足の形も大きく崩れない。軸足の内腿の筋力も十分で、強い打球を生み出す原動力となっている。

打撃のまとめ

 
パンチ力のある打撃に定評があり、強烈な打球を飛ばす。一方、確実性が課題である。トップの形成を遅れないように注意し、右方向や外角球を的確に仕留める技術を磨ければ、打率向上も期待できる。技術的には決して低くない選手だけに、意識の改善でさらなる成長が見込まれる。


最後に

 松山は「打てる捕手」と呼ぶほど打力が突出しているわけではないが、確なディフェンス力を持ち、捉えた際には長打や本塁打を放つ破壊力を秘めている。肩や長打力の潜在能力は高く、今後の意識や取り組み次第で打撃面でも存在感を発揮できる可能性がある。昨年の 石伊雄太(日本生命-中日4位)に比べるとやや劣る印象だが、今年は捕手の人材が全体的に薄いため、社会人からの指名候補として注目される。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2025年 都市対抗)