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山田 拓也(24歳・東芝)内野 169/73 右/左 (東海大相模-青学大出身)





 「セカンドでのイメージが強いけれど」





 青学大時代がセカンドだったりということもあるが、今やアマチュア球界で一番上手いショートは、この 山田 拓也 ではないかと思っている。名門・東芝では、今年はショートとして出場することが多い。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 都市対抗の時に計測した際、一塁までのタイムは左打席から4.15秒前後と平凡だった。しかしながら、東芝の核弾頭として、今年の公式戦11試合では4盗塁を記録(失敗1)。昨年も110打数で、チーム最多の7盗塁を決めている。試合を見ている限り、もう少し早く駆け抜けることも可能ではないかと思え、走力自体はプロに混ぜても
俊足の部類に入るのではないかとみている。

守備面:
☆☆☆☆★ 4.5

 打球への一歩目の反応、バウンドへの合わせ方、
打球に応じた様々な対応などを見ていると、今のアマチュア球界で一番上手いショートではないかと思えてくる。肩が圧倒的に強いということはないものの、送球は安定しており、物足りなさは感じられない。今年も公式戦11試合で、失策は1個と安定している。広い守備範囲以上に、ポジショニングの良さと捕球から送球までが非常に上手い内野手といった感じがする。プロでも間違いなく、ショートの守備を売りにしてやっていける選手ではないのだろうか。



(打撃内容)

 昨年の公式戦の
打率は.373。今年も11試合で.366と安定している。ちなみに社会人の打率を見るときは、80打数以上を目安に打率3割5分以上が一流、4割以上は超一流といった感じ。そういった意味では、打撃はプロを意識すると若干弱めに見えるのだが、社会人3年間で培った経験は大きく、全く通用しないとは考え難い。守備力の高いショートとしては、合格ラインの打力ではないのだろうか。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 左打席で前の足を軽く引き、かかとを浮かせて構えている。グリップは高めに添え、腰の据わり・バランスなどはそれなりで、
両目ではしっかり前を見据えられている。そのため、錯覚を起こすことなく、球筋を追いやすい。

<仕掛け> 
遅すぎ

 投手の重心が下る時に、ベース側につま先立ち。本格的に動き出すのは、リリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のヘッドスピードや筋力を考えると、プロレベルの球威・球速に対応するのは厳しい始動の印象を受ける。ただし、繊細なタイミングにも直結する部分なので、壁にぶつかるまでは、この打ち方で良いのではないのだろうか。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を小さく上げて、軽くアウトステップ気味に踏み込んでくる。始動~着地までの「間」が短いので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められる。アウトステップするということは、やや意識が内角寄りにあるのではないのだろうか。

 それでも踏み込んだ足元は、インパクトの際に
動かずに止まっている。そのため、アウトステップでも、甘めの外角球などは十分に対応できそうだ。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さを補っている。バットを少し寝かせて振り出す感じだが、外
角の球へのインパクトに大きなロスは感じられなかった。インパクトの際にもヘッドが上手く残っており、広い面でボールを捉えられ、フェアゾーンに飛びやすい。

 物凄く当てるのが上手いとか、スイングが鋭いなど印象はないが、悪いクセもないのかなと。それでもプロの球威・球速に対応するのには、1年間ぐらい時間は必要かもしれない。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かなので、
目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できているが、少し軸足が前に出されている感じがする。そういった部分に注意して、調子の波を減らしたい。

(打撃のまとめ)

 打撃に関しては、それほどドラフト候補として垢抜けているわけではない。それでも、適度なミート力と逆らわない打撃で、
実戦的な打撃を魅せている。特にボールに食らいついていく、そういったシブとさは伝わってくる。


(最後に)

 やはりこの選手は、
非凡な守備を評価すべき選手。その割に、走力・打力と基準を満たすレベルにある総合力で判断すべきかと。社会人2年目の昨年は指名されず、3年目の今年マークしている球団があるのか? また、待遇の良いことで知られる東芝の選手だけに、よほどプロ志向が強くないと、下位指名でプロ入りするのか? といった疑問も残る。果たして、今年の指名があるのか? ドラフト当日に、密かに期待してみたい。


蔵の評価: (下位指名級)


(2025年 都市対抗)