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古川 智也(三菱自動車岡崎)二塁 175/77 右/左  (広島新庄-慶応大出身) 





 「指名はあるのか?」




 都市対抗・東海予選では、4本塁打を放ち注目された 古川 智也。しかし、東海地区の事情に詳しい方にお伺いすると、スカウトの間ではあまり話題になっていないという。果たして、今年のドラフトで指名されるのか密かに注目してみたい。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 右打席から4.15秒~4.3秒ぐらいで一塁まで駆け抜ける。このタイムを左打者に換算すると、3.9秒~4.05秒ぐらいに相当し、プロに混ぜても
俊足の部類だと評価できる。都市対抗予選の7試合でも4盗塁を決めるなど、四番打者でも積極的に盗塁を仕掛けてくる。プロで足を売りにできるほどかは微妙でも、適度に走れる走力があるのは間違いない。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 セカンドの守備を見る限り、垢抜けた動きが良いとか守備範囲が広いようには感じられない。それでも無難にセカンドをこなすことができ、特に
肩が強いのでゲッツーが成立しやすいのではないだろうか。ちなみに今年の公式戦15試合では、失策は1個だった。そういった意味では、アピールのために無理にセカンドを守っているわけではなさそうだ。





(打撃内容)

 都市対抗予選では、
7試合で26打数8安打4本塁打13打点2三振6四死球打率.308と活躍。セイバーメトリクス的に見ると、出塁率.438、長打率.769、OPS1.207とパワーを活かした高効率な打撃を示しており、四番らしい破壊力の片鱗を感じさせる。一方、BFAアジア選手権では、社会人日本代表として一塁手として出場。6試合で18打数4安打0本塁打3打点1三振5四死球打率.222という成績ながら、優勝にも貢献した。ここでは出塁率.391、OPS.613とやや控えめながら、国際舞台での粘り強さが光る。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。腰はほとんど据わらずに突っ立った状態のため、全体のバランスとしては良くないが、両目で前を見据える姿勢は悪くない。そのため、球筋の錯覚を起こすことなく追うことはできている。

<仕掛け> 
早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。確実性を高めようという意志の現れかもしれません。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。インステップするように、外角への意識が強いのではないだろうか。

 踏み込んだ前の足は、
しっかり止まって動かない。そのため、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができている。また、右方向にも苦になく打ち返すことができている。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球には立ち遅れにくい。バットの振り出しは、決してインサイドアウトに出てくるタイプではないが、外角の球に対しては大きなロスは感じられない。しいて言えば、少しインパクトの際に
ヘッドが下りがちなので、ボールがファールゾーンに飛びやすく、打ち損じが多いのかもしれない。少し、バットの先端を上げる意識が持てると、打球がフェアゾーンに落ちることが増えるかもしれない。ただし、その際にヘッドが走らなくなるのは防ぎたい。大きな弧を描きつつ、最後までしっかり振り切れている。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが結構大きいので、
目線の上下動は小さくない。そのため、目線が動いてズレが生じやすい可能性がある。体の開きは我慢でき、軸足も軸を起点にキレイにスイングできている。上下動の動きを抑えられれば、確実性も増しそうだ。

(打撃のまとめ)

 動きが大きいのは、欠点でもあるが彼なりの感性にも繋がるので、そのへんのバランスを維持するのは難しい。それでも、思ったほど打撃技術にも大きな欠点はなかった。しいて言えば、バットが内から出てくるタイプではなく、それでいてインステップして来るので、
内角のさばきが一つ鍵になりそうだ。


(最後に)

 「強打の二塁手」ながら、脚力も水準以上あり、肩も非常に強い。打撃も確実性には課題を残すものの、一発の可能性を秘めた長打力がある。大卒社会人ながら、即戦力とは言い難いが、それでも独特の感性も感じ、面白い素材ではないだろうか。どの球団かが、秘かに指名しないかと、ドラフト会議当日を楽しみに待っている。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2025年 都市対抗)