25sy-2
髙橋 隆慶(23歳・JR東日本)内野 186/92 右/右 (明秀日立-中央大出身) | |
25年度は、強打の大学生の内野手の人材が豊作だと言える。そんな中、彼らに勝るとも劣らないのが、この 髙橋 隆慶 。今年の社会人野手を代表する強打者なのだ。 (守備・走塁面) 一塁までの駆け抜けタイムは、右打席から4.5秒前後。これを左打者に換算すると4.25秒前後に相当し、基準(左打者換算で4.1秒が目安)に比べるとかなり劣る。ドラフト候補としては「中の下~下の上」ぐらいの走力ではないのだろうか。24年度の公式戦13試合でも、盗塁1個(失敗2)と足を売りにするプレースタイルではない。 アジアウィンターリーグでは、一塁と三塁を守っていた。特に一塁手としては、動きの良い選手との印象を受けた。サードとしての動きも悪くないのだが、少し送球に不安があるのか? 慎重に投げているように見える。そのため、ギリギリのプレーの時にどんな動きを見せるのかチェックしたいポイント。地肩自体は水準以上の強さがありそう。ちなみに24年の13試合で失策は3個ということで、やはり安定感には不安が残る。 (打撃内容) 24年の公式戦で、13試合(51打数)2本塁打、14打点、打率.255 といった成績で、数字的には際立つものはない。スラッガーというよりも、強烈な打球で野手の間を抜けてゆく中距離・ポイントゲッタータイプに感じた。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 右打席から前の足を引いて、かかとを浮かせて構えます。グリップの高さは平均的。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスはそれなりといった感じです。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下る時に動き出し、開いていた足をベース側に持ってきてつま先立ち。本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅いタイミングで動き出すと、木製バットでNPBレベルの投手相手には厳しいかもしれない始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 小さくステップさせて、まっすぐから少しアウトステップ気味に踏み出してきます。始動~着地までの「間」はないので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。まっすぐから少しアウトステップ気味に踏み込むので、若干意識は内角寄りにあるのかもしれません。 踏み込んだ足は、なんとかインパクトの際にも我慢できているように見えます。ただし、打球は引っ張りが中心であるように見えます。それでも踏み込んだ足元が我慢できることで、逃げてゆく球や低めの球には食らいつくことができそうです。打球も、右方向にも打ち返してくることがあります。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さをここで補おうとしています。バットの振り出しはインパクトまで大きなロスは感じられませんし、バットの先端でも下がっていないので、広い面でボールを捉えられています。それだけ接地面が広く、フェアゾーンにボールが飛びやすいインパクトです。 そのため、打球に角度を付けて飛ばす感じではあまりありません。それでも身体に力があり、大きな弧を描くスイングも相まって、引っ張って上手く巻き込めた時には、そのままスタンドインできるパンチ力はあります。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できており、軸足も地面からまっすぐ伸びて軸回転でスイングできていました。軸足の内ももにも適度な強さが感じられ、強烈な打球を生み出す原動力になっています。 (打撃のまとめ) 始動の遅さから、動作が消化不良になり、打てるタイミングとしては限られている印象があります。そのため、点の打撃になりやすく、率が残りにくいのではないでしょうか。打球の強烈さ、肉体のパワーなどはある選手なので、まともに捉えた時の破壊力には目を見張るものがあります。普段からバットをフルスイングする意識を持っているようです。 (最後に) けして天性の長距離砲ではないのと、三塁守備に不安があることを考えると、現時点で指名が確実なレベルとは言えないでしょう。ただし、今年の社会人でも目立つ若手野手の筆頭核なので、今後のアピール次第では面白い存在にはなりうると思います。今年はチームの中心選手としても期待されるでしょうから、そんな中、突き抜けたアピールができるのか? 注視して見守ってみたい一人でした。 (2024年冬 アジアウィンターリーグ) |