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| 三方 陽登(22歳・BC栃木) 外野 190/97 右/右 (創志学園-駒沢大出身) | |||||||||||||||||||
BCリーグ選抜の代表チームで4番に座っていた 三方 陽登 。まだ実際のプレーでは荒削りな印象が強いが、打席での雰囲気や存在感を強く感じさせる素材だった。 走塁面:☆☆★ 2.5 一塁到達タイムは右打席から4.4秒前後。左打者に換算するとおよそ4.15秒(基準は4.1秒)相当となる。脚力としては「中~中の下」といったところか。今シーズンのBCリーグでも49試合で5盗塁を記録しており、決して足が遅い選手ではない。 守備面:☆☆★ 2.5 主にセンターとライトを守り、時折危なっかしい場面はあるものの、全体的には無難にこなす外野手。時には、球際の強さも見られる。送球機会は多くなかったが、高校時代から最速140km前後を投げていた投手経験から、肩の強さには問題なさそうだ。守備力も「中~中の下」程度で、NPBではセンターよりは両翼向きのタイプだろう。 (打撃内容) この選手の最大の魅力は、やはり長打力。右方向にも軽く放り込むパワーがあり、払っただけのスイングでもフェンスを越える一発の破壊力を秘めている。脆さはあるものの、「一発で試合を決められる」魅力は確かにある。 2025年度 BCリーグ成績
セイバー補足 ・OPS .878(出塁率+長打率) → 独立リーグでは上位クラス ・ISO .194(純粋な長打力指標) → BCリーグ平均を大きく上回るパワー ・BB/K 0.66(四球と三振の比率) → まだ選球眼は発展途上 <構え> ☆☆☆★ 3.5 右打席で軽く足を引いて立ち、グリップは高めに構える典型的な強打者スタイル。腰の据わりも良く、両目でしっかり前を見据える姿勢に安定感がある。全体のバランスは悪くない。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下がったタイミングでつま先立ちし、本格的な動き出しはリリース直前という「遅すぎる始動」を採用している。日本人の平均的な筋力・ヘッドスピードでNPBレベルの投手を打ち続けるには厳しいタイミングではある。 ただし、彼がこれまで結果を出してきたタイミングでもあるため、壁にぶつかるまではこのスタイルを貫いてほしい。特に日本人離れしたパワーがある選手だけに、この遅いタイミングでも通用する可能性は十分にある。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 小さくステップし、ややアウトステップ気味に踏み込む。始動~着地までの「間」がほとんどないため、狙い球を絞り、その球を逃さない鋭さが求められる。内外角を広くカバーしつつも、やや内寄りを意識した踏み込み。 インパクト時に踏み込んだ足が動くこともあるが、右方向へ意識が向いている時はしっかり止まっているため、現時点では大きな問題とはならない。逃げる球や低めにも食らいついていける。 <リストワーク> ☆☆★ 2.5 トップの形は早めに作れており、遅い始動のハンデを補っている。トップ自体は深く取れるものの、やや背中側に入り込みすぎる傾向があり、バットの出が遅れがち。スイング軌道も遠回りで、確実性は高くない。 ただしスイングの弧は大きく、バットのしなりを十分に活かしたスイングのため、タイミングが合えば打球は遠くへ飛ぶ。飛ばすための体格とパワーは間違いなく持っている。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げが小さいため目線のブレは少ない。外角球に対しては開きを我慢できるが、上半身の強さに対して下半身の支えがまだ追いついていない印象。軸足がやや不安定に見える場面もあり、調子の波は大きそうだ。 (打撃のまとめ)
ボールを遠くへ飛ばせるパワーには非凡なものがあるが、対応力と確実性の面では課題が多い。 主な課題は ・極端に遅い始動により打てるタイミングが狭い ・スイング軌道にロスが多い ・強い上半身を支える下半身がまだ盤石ではない の3点。プロ入り後は上下半身のバランスを整えたスイング改造と、身体づくりが最大のテーマとなるだろう。 (最後に) 走塁・守備は「動けないわけではない」が特別アピールできるレベルではない。この選手の最大の武器は圧倒的な長打力にある。そのためにはまず確実性を高め、本塁打の再現性を上げていくことが必要だ。現在の内容からすると、育成枠での指名は妥当な判断だったと評価。それでも、ボールを遠くへ飛ばせる長距離砲の資質に加え、打席に入る際のルーティンや足場の作り方など、打撃に対する強いこだわりを感じさせる選手だった。開花には数年を要するだろうが、覚醒した時には一軍の主砲になれる、ロマンあふれる素材であることは間違いない。 (2025年 BCリーグ選抜) |