25sy-17
| 安藤 銀杜(22歳・徳島IS)外野 195/110 右/右 (享栄-城西国際大出身) | |
日本人離れした巨体から繰り出される驚異的な飛距離と高い身体能力が魅力だという 安藤 銀杜。しかし、在籍した独立リーグ・徳島インディゴソックスでは、今シーズンは投手として過ごした。そんな異色の経歴を持つ選手を、西武ライオンズはあえて野手としてドラフト指名した。 (守備・走塁面) 享栄高校時代は投手だけでなく、四番・一塁手としても出場していた。城西国際大学時代は投手専念となり、卒業後に進んだ四国アイランドリーグplusの徳島でも投手としてプレー。最速は常時140km/h中盤程度で、テイクバックが小さめのコンパクトなフォームが特徴。スライダーを主体に、今季は6試合に登板して防御率1.29と安定した成績を残した。 外野からの返球映像を見ると、肩の強さは十分以上で、送球のコントロールも予想以上に安定している。投手としては四死球は多めだったものの、元投手らしい「狙ったところに投げる」精度はしっかり備わっている。この地肩の強さは、野手転向後も大きな武器になるだろう。 また、クイックタイムは1.1秒台と基準レベルで、動きに重苦しさは感じられない。残る課題は打球判断・初動の反応・キャッチングの精度だが、身体のキレ自体はプロレベルでも通用するものがある。 50m走は「6.0秒前後」との触れ込みだが、実際の走る姿は未確認。この体格で6秒フラット前後なら決して遅くはないが、足を売りとするタイプではなさそう。ただし、西武が外野手として指名した以上、それなりに動けると判断した上での選択だったはずだ。 (打撃内容) 残念ながら野手としての実戦出場はゼロのため、フリーバッティング映像のみでの評価となる。 しかし、その飛距離はまさに圧巻。軽く振っているように見えてバックスクリーンにぶち当てている姿を見て、西武が「投手専念の経歴でも野手で育てたい」と思った気持ちはよく分かる。 今回は打撃練習映像をもとにフォーム分析を行うが、実戦映像ではない点・撮影アングルが限られている点をご了承いただきたい。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 ほぼ両足を揃えたクローズに近いスクエアスタンス。グリップの高さは標準的で、腰はそれほど沈まない。全体のバランスは平均的だが、両目でしっかり前を見据えており、球筋の錯覚は起こしにくそうだ。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がるタイミングで動き出す「早めの仕掛け」。このタイミングは対応力を重視するアベレージヒッターに多く見られる始動だ。まずは、ボールを飛ばすこと以上に、確実打ち返すことを重視しているのかもしれない。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 軽く足を上げて、真っ直ぐから少しアウトステップ気味に真っ直ぐ踏み出す。始動から着地までの「間」はしっかり取れており、速球・変化球のスピード差にもそれなりに対応可能。 引っ張り意識のときは足元が動いても構わないが、流す意識のときは足元が止まって我慢できている。逃げるボールや低めにも食らいついていける素地はある。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 トップの位置を作る動作が自然で、無駄な力みがない。バットの入れ方も癖がなく、インパクトまでのロスは小さい。スイング自体は意外とコンパクトで、フォロースルーを大きく取るタイプではない。それでいてあの飛距離が出るのは、まさに天性のパワーだ。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが静かで目線の上下動が少ない。体の開きも我慢できており、軸足の内側でしっかり伸びてスイングできている。 (打撃のまとめ) 実戦でプロの投手の球をどの程度捉えられるか、タイミングを合わせられるかは完全に未知数。しかし、フォームを見た限りは、スイング自体に悪いクセはなさそう。それでいて軽く振ってもあの飛距離が出るのは紛れもない才能と言える。 (最後に) 高校時代は強豪・享栄で四番を任されていたわけで、野手としての素地がゼロというわけではない。ただ、長年投手に専念してきた選手が、プロの投手相手にどこまで通用するかは正直「やってみないと分からない」が率直なところだ。本人も課題は打撃だと自覚している様子。 しっかり実戦でのプレーを見られていないので「未確認選手」とさせていただく。このような異例の経歴でプロ入りした選手が、どこまで成長するのか? 非常に楽しみな存在であることは間違いない。 蔵の評価:未確認 (2025年 インディゴソックスチャンネル) |