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鈴木 貴大(24歳・CLUB REBASE)外野 184/83 右/右 (藤澤青流-富士大出身)
 




 「企業チームの投手も苦にせず」




 クラブチーム所属ながら、企業チームの投手に対しても全く苦にせず対応していた 鈴木 貴大 。打撃に関してはすでにプロ級の素材であることは間違いない。


(守備・走塁面)

 都市対抗予選を3試合観戦したが、一塁到達タイムを計測する機会はなかった。内野ゴロでのアウトがほぼなく、打球が上がるケースが多かったためだ。足を最大の武器とするタイプではないが、2025年度公式戦19試合で6盗塁を記録しており、全く動けないわけではない。

 守備位置は主にライトまたはレフト。打球反応や落下点への入り方に
危うさを感じる場面が多く、守備には不安を感じた。送球に関しては返球の機会が少なく明確には判断はできないが、肩が弱いという感じはしなかった。





(打撃内容)


打数  安打  二塁打  三塁打  本塁打 打点 四球 三振  打率
68 25 4
1 5 23 8 16 .368

OPS(出塁率+長打率):総合的な攻撃貢献度
IsoP(孤立パワー=長打率-打率):純粋な長打力
BB/K(四球÷三振):選球眼とコンタクト力の簡易指標

<構え> 
☆☆★(2.5)

 右打席で前足を軽く引き、かかとを浮かせた構え。グリップは低めに捕手側へ引いている。腰の据わりは良いが、全体のバランスに癖があり、体を動かす揺らぎの動作がないので硬く見える。

<仕掛け> 
遅すぎ

 投手の重心が完全に下がった後、リリース直前から動き出す極端に遅いタイミング。プロレベルの投手に対しては厳しい始動だが、現状この打ち方で結果を出しているため、壁に当たるまでは変える必要はないだろう。

<足の運び> 
☆☆☆(3.0)

 ほぼノーステップでその場に着地し、真っ直ぐ踏み込むスクエアゾーン。始動~着地までの「間」が短いため、狙い球を絞る集中力と鋭さが求められる。踏み込んだ足は
インパクトでしっかり止まっており、低め・逃げる球にも食らいつける。打球もセンターから右方向への強い打球が目立つ。

<リストワーク> 
☆☆☆(3.0)

 トップは早めに作れて遅い始動をカバー。バットの出方はやや遠回りだがヘッドは落ちておらず、ドアスイングにはなっていない。角度はそれほどつかないが、最後まで振り抜く意識が強く、
フライ系の打球が多い

<軸> 
☆☆☆★(3.5)

 足の上げ下げがほぼないため
目線のブレは最小限。体の開きも我慢できている。ステップが狭い分、軸足を後ろに逃がす癖が時折見られるが、内腿の強さは確かで、強烈な打球の源となっている。

(打撃のまとめ)

 打率.368に加え、OPS 1.059は社会人レベルでは圧倒的。IsoP .338が示すように
純粋な長打力は抜群で、5本塁打も納得の数字だ。選球眼を示すBB/Kは0.50とまだ改善余地はあるが、三振率23.5%と極端に高くないため、現状の遅めタイミングでも十分対応できている。タイミングの取り方と柔軟性に粗さはあるものの、それを補って余りあるパワーと振り抜く意識が最大の魅力。対応力をもう一段階上げれば、プロでも通用する強打者になれる素材だ。


(最後に)

 守備・走塁は観戦機会が少なく現時点では「未確認」とせざるを得ない。平均レベルだったとしても「走・守で売れる」タイプではない。

 この選手の価値は、あくまで「打撃の天井」にある。社会人離れしたOPS 1.059+IsoP .338という長打力をプロの舞台でも維持できれば、一軍での活躍も期待できる。まさに、打撃の可能性に賭けた指名だと言えよう。


(2025年 都市対抗予選)