25sy-14





 小濱 佑斗(24歳・沖縄電力)遊撃 180/86 右/右 (中部商出身)





 「打撃がネックか?」





 今年の都市対抗予選では、10打数6安打の活躍を見せ、HONDA熊本の補強選手に選ばれた 小濱 佑斗 。しかし、都市対抗本戦では、ショートへの詰まった内野安打1本に終わった。そういった意味では、打撃がプロで通用するかが鍵になりそうだ。


走塁面:
☆☆☆☆ 4.0

 最大の売りは、右打席から一塁到達タイムが4.05秒前後(左打者換算で3.8秒前後に相当)で到達する脚力にあるようだ。都市対抗でも、平凡なショートゴロでも内野安打を勝ち取るように、
最後まで勢いを緩めない全力疾走には好感が持てる。25年度の公式戦10試合では、3盗塁と、そこまで足を全面に出すプレースタイルかは微妙な印象を受ける。それでも走塁技術を磨けば、プロでも異彩を放てる可能性を秘めている。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 遊撃手としては、
丁寧に慎重にボールをさばく印象だ。25年度の公式戦10試合では1失策と、安定感は悪くなさそうだ。地肩も、水準以上のものがありそうである。ただし、その動きなどを見ていると、プロでショートを任されるほどかと言われると微妙で、さまざまな内野を守ったり外野などが期待される、ユーティリティプレーヤーとして起用されていくタイプのように思えた。





(打撃内容)

 25年度の成績は、


打数  安打  二塁打  三塁打  本塁打 打点 四死球 三振  打率
37 17 5
0 2 8 5 3 .459


 この成績から算出されるOPS(出塁率+長打率:打者の総合的な攻撃力を示す指標)は1.470と高水準で、二塁打と本塁打の貢献が顕著だ。一方で、ISO(長打率-打率:純粋な長打力を測る指標)が.487と優秀な点は、打球の飛距離ポテンシャルを裏付けている。


<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両目での前の見据え・全体のバランスはそれなりといった構えになっている。

<仕掛け> 
遅め

 投手の重心が下る時につま先立ちするが、本格的に動き出すのは、投手の重心が前に移動する段階の「遅めの仕掛け」となっている。ただし、打撃のタイプとしては、最初の動き出しに起因することが多く、そういった意味では
対応力重視のスタイルなのかもしれない。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」が短く、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない鋭さが求められる。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプではないのだろうか。

 踏み込んだ前の足は、
インパクトの際にブレずに止まっている。そういった意味では、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができる。動作を見ている限りは、タイミングの取り方、間合いの図り方がどうなのだろう? という疑問は残った。

<リストワーク> 
☆☆★ 2.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めていたのは良いところ。バットの振り出しは、
腰が早く開いてしまい、外の球には手打ちになっていたのは気になるところだ。それでもインパクトの際にヘッドは下がらないので、意外に打球はフェアゾーンに飛びやすいのかもしれない。

 結構フォロースルーを使って、打球にも角度を生み出しそうなスイングだ。外角への球を強く叩くのは厳しそうでしたが、上手く
引っ張って巻き込めた時には長打を期待できるように思う。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは小さいのですが、結構
前に出されていたのは気になるところだ。体の開きも腰が早く開いてしまいますし、上手く回転できた時には軸足を起点に回る。しかし、そうではない時は、結構打ち終わったあとに形が崩れていました。

(打撃のまとめ)

 タイミングの図り方や、腰が早くスイングなどを見ていると、打撃では苦労するのではないかと思う。都市対抗予選などでは爆発的な活躍を魅せましたが、サンプルも少なく、一皮むけたかと言われると疑問が残る。当たれば、飛んで行きそうなスイングはしていますが、打てる球は限られていそうな印象だ。この出塁率(OBP:打者がベースに到達する割合を表す指標)の.524という数字は、四死球の
選球眼が支えているため、プロの厳しい投球でこれを維持できればOPSのアドバンテージがさらに活きるだろう。


(最後に)

 
非凡な走力と、守備では動き以上に安定感があるのが魅力だろう。打撃は飛ばせそうですが、確実性に課題を感じる。高卒6年目で掴んだプロ入りですが、即戦力というよりも、少し二軍で打撃を見直す必要がありそうだ。そういった意味では、(支配級)の評価までには至りませんでした。理屈を超越し、ポテンシャルで圧倒するところを見たいところです。


(2025年 都市対抗)