25sy-13
| 島原 大河(23歳・愛媛MP) 捕手 183/95 右/左 (敦賀気比-日本経済大出身) | |||||||||||||||||||
愛媛の独立リーグでは、4番兼捕手として攻守の柱的な存在だった 島原 大河 。ドラフトでは育成枠でも5巡目での指名であり、ギリギリでのプロ入りとなった。しかし、その実力は本会議級の持ち主ではないかと評価してている。 (ディフェンス面) 体を小さく屈めて、投手の投げやすい姿勢でミットを構えられる。投手のリズムを大切にし、ボール回りなどのリズムは悪くない。かなり投手や周りに細かく指示を出せる、司令塔らしい司令塔といった感じがする。 ただし、それほど打者を洞察したり、投手のちょっとした変化に気づいたりする、そういったきめ細かいタイプではないように感じた。むしろ、投手を鼓舞して「俺のところに思い切って投げ込んでこい」的なタイプの捕手のような気がする。 際どいコースでのミットの出し方などは平均的かという印象だが、ワンバウンドするような球には素早くミットを出して反応できていた。送球も捕ってからそれほど素早いとか地肩が圧倒的というわけではなかったものの、1.8秒台前半で到達していたのは驚きだった。少なくともA級とまではいかなくても、プロに混ぜても中の上クラスのスローイング能力はあるのではないかと。ディフェンス全般でも、二軍の試合ならばすぐに入っていけるものがありそうだ。 (打撃内容) 長打を連発するといった感じではないが、勝負強さを売りにする左打ちのポイントゲッターといった感じだ。25年のシーズンではリーグの打点王に輝き、MVPも受賞している。ちなみに今シーズンの成績は
セイバーメトリクス的に、出塁率(安打+四死球を打数+四死球で割った値)は.413と高く、選球眼の良さがうかがえる。また長打率(塁打総数を打数で割った値)は.464で、打率.341と合わせたOPS(出塁率+長打率)は.877とリーグトップクラスだったはずだ。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 左打席から足を軽く引いてかかとを浮かし、グリップは高めに添えてバットを前に伸ばして構える。腰の据わり具合・全体のバランスとしては並だが、両目でしっかり前を見据えられている。それだけ錯覚を起こすことなく、球筋を正確に追うことができる。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる始動のタイミングだ。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げて、少しベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でも幅広く対応しやすいはず。少しアウトステップ気味なので、内角への意識が高いのではないだろうか。 それでも踏み込んだ前の足は、インパクトの際にはブレずに止まっている。そのため、甘めの外角球や低めの球にも食らいつくことができそうだ。また打球も、レフト方向にしっかり打ち返すことができていた。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めている。バットの振り出しは、決してインサイドアウトではないものの、外角への球を捉えるまでには大きなロスは感じられない。バットの先端であるヘッドも下がっていないので、フェアゾーンボールが飛びやすいように感じる。 かなりバットを強振できる選手で、スイングはパワフルな感じがする。それでいて対応力も水準以上あり、捕手として求められる打力は備えているように感じる。アウトステップをするのは、内角の球をさばきたいというよりも、苦手な内角のさばきを補う意味合いが強いのかもしれない。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはそれなりにあるが、目線の上下動は並ぐらい。体の開きは我慢できているし、軸足の形も大きくは崩れていなかった。また、軸足の内腿の筋肉も発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) 多少力んで強振してくる粗っぽさはあるものの、技術的にはしっかりしているし、対応力が低い選手ではない。ホームランを連発するタイプの強打者ではないが、二塁打なども多く、勝負強さが売りの選手だ。三振率(三振を打数で割った値)は約26%とやや高めだが、四死球を多く稼げるため出塁率の高さでカバーできている。むしろ「打てる捕手」というのが、指名の大きな要因かもしれない。 (最後に) 個人的には、攻守の両方の部分で基準を満たしており、それでいて想像以上に送球も良かったのは収穫だった。育成5位での指名だが、☆(支配下級)の評価をしたいし、将来一軍戦力になっていっても全然不思議ではない。密かに期待して、見守っていきたい選手だった。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2025年 アイランドリーグ戦) |