25sy-12
| 川田 悠慎(23歳・四国銀行)右翼&内野 174/70 右/左 (高知-京産大出身) | |||||||||||||||||||
内外野どこでも守れる器用さがあり、俊足・巧打を武器にする 川田 悠慎 。レギュラーとして期待されるというよりは、チームの隙間を縫うようにさまざまなポジションで起用することを前提に獲得した選手ではないかと思われる。 走塁面: ☆☆☆★(3.5) 一塁までの塁間を4.0秒前後で走り抜ける俊足の持ち主。25年度の公式戦でも、17試合で10盗塁を記録するなど積極的に盗塁を仕掛けてくる。走力自体が圧倒的に速いタイムを計測したわけではないが、走塁センスに優れ、実戦的な走りが目を引く。 守備面: ☆☆☆★(3.5) 外野手としては、落下点への入り方が良く、次の送球を意識した体勢で捕球できている。また、外野からの返球も強く、肩の強さは上位クラスと評価できる。ライトの守備に関しては、上手い部類と言えそうだ。一方、ショート守備は可もなく不可もなくといった印象だ。プロのレギュラーとして1年間を任せられるレベルとは感じられず、映像を確認した限りでは、日常的に起用するポジションとしてはやや物足りない。 走力も守備力も中の上程度で、どこにでも当てはめやすい選手だと言えるだろう。逆に、「このポジションなら抜群に上手い」「これならチームでも指折りのレベル」といった突出した強みを見出せるかが、今後の鍵となりそうだ。 (打撃内容) ドラフト後の日本選手権ではアピールしきれずに終わった。その他の試合でもチームの1番打者を務めていたが、打力で圧倒するような長打力の持ち主という印象は受けなかった。そんな川田選手の25年度公式戦成績は以下の通り。
これらの成績から算出される主なセイバーメトリクス指標では、出塁率(OBP: 打席に立って出塁した割合)が.356、長打率(SLG: 長打の価値を加味した打率)が.423で、OPS(OBPとSLGの合計値)が.779。孤立長打力(ISO: 長打力を示す指標)も.154と、平均的なアベレージヒッターのプロファイルを表しており、確実な出塁が武器となりそうだ。 <構え> ☆☆☆★(3.5) 左打席から前の足を広めに引き、グリップを高めに添えてバットを寝かせて構える。腰を沈め、両目でしっかり前を見据えており、全体的にバランスの取れた構えだ。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がり始めるタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用する。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる始動タイミングだ。 <足の運び> ☆☆☆★(3.5) 足を上げて真っ直ぐ踏み込んでくる。始動から着地までの「間」が取れているため、速球でも変化球でもスピードの変化に対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すタイプなので、内角でも外角でもさばきやすいだろう。踏み込んだ前の足はインパクト時にブレずに止まっており、逃げる球や低めの球にも食らいつける。 <リストワーク> ☆☆☆★(3.5) 打撃の準備である「トップ」の形を早めに作れており、速球に立ち遅れにくい。バットの振り出しもインパクトまで大きなロスを感じさせない。強いて言えば、バットの先端(ヘッド)がやや下向きになりやすいため、ファール球が多くなるのかもしれない。ヘッドを気持ち上げる意識を持つと、フェアゾーンに落ちる打球の確率がさらに上がるのではないのだろうか。 <軸> ☆☆☆☆(4.0) 足の上げ下げはあるものの、目線の上下動は少なく、体の開きも我慢できている。軸足には粘りがあり、安定感がある。 (打撃のまとめ) ドラフト指名選手としては打撃面で弱い印象を受ける。しかし、基礎技術は高いため、筋力をしっかり付け、プロの球に慣れてくれば、それなりに通用するようになるのではないかと思われる。OPS.779という数値からもわかるように、長打力は控えめだが、出塁の確実性をさらに高めれば、ユーティリティプレイヤーとして評価されやすいタイプだ。 (最後に) 実力的には育成枠レベルの選手ではないかと思う。しかし、社会人チーム所属の選手であることから、本会議の最後に指名されたのだろう。最大の売りは走力だと思うので、ここで存在感を示しつつ、守備の融通性と最低限の打力を身につけ、一軍の戦力になっていってほしい。即戦力というよりは、数年二軍で実力を磨き、プロで生き残る術を探していくことになりそうだ。そのため、個人的には☆(支配下級)の評価までは至らなかった。 (2025年 日本選手権など) |