25sy-10





山崎 照英(23歳・兵庫ブレイバーズ)中堅&二塁 173/65 右/左 (九州文化学園出身)





 「とにかく足が速い」





 関西独立リーグ5年目にして、悲願のプロ入りを果たした 山崎 照英抜群の俊足を武器に、まさに「足」で掴んだプロ入りだと言えよう。


走塁面:
☆☆☆☆★ 4.5

 一塁までの塁間は3.9秒前後で駆け抜ける。特にセーフティバント時には3.5秒台で走り抜けるほどの速さだ。見るからに俊足だが、今シーズンは47試合で51盗塁、失敗わずか4個。
成功率9割を記録する脅威の脚力の持ち主である。この走力なら、どのチームに入っても1、2を争う存在になれるだろう。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 2025年度は二塁手で26試合、中堅手で21試合に出場。
脚力を生かした守備範囲の広さが自慢で、失策は8個を記録している。エラーの多くはセカンドでのものだろうから、守備の安定感が今後の課題となりそうだ。観戦した試合では、追いつきにくい打球を処理してアウトに取るプレーも見せていた。





(打撃内容)

 基本的にコツコツと当ててくる
コンタクトヒッターのタイプだ。しかし、打球の多くはゴロではなくライナーやフライで、転がしての内野安打は非常に少ない。積極的にセーフティバントを試みるなど、走力を全面に活かしたプレースタイルが特徴的である。ちなみに、2025年度の打撃成績は以下の通り。セイバー指標では、OBP .310、SLG .323、OPS .633と、出塁と長打のバランスが取れた水準を示している。

 打数  安打  二塁打  三塁打  本塁打 打点 四死球 三振  打率
195 50 5 1 0 13 15 25 .256


<構え> ☆☆☆★ 3.5

 左打席で前の足を軽く引き、かかとを浮かせて立つ構えだ。グリップの高さは平均的で、腰の据わり具合、両目でボールをしっかり見据える姿勢、全体のバランスもまずまずである。
両目で錯覚を起こすことなく球筋を追えるのは、大きな強みだ。

<仕掛け> 
遅すぎ

 投手の重心が沈みきったタイミングで、開いていた足をベース側に寄せてつま先立ちになる。本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用している。日本人選手の筋力やヘッドスピードを考えると、このタイミングでの始動ではプロレベルの投手のスピードや切れ味に対応しきれるかは疑問が残る。それでも、長年培ってきたタイミングだけに、壁にぶつかるまではこの打ち方を貫いてほしい。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を軽く上げ、少しベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用している。始動から着地までの「間」がないため、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない集中力が求められる。アウトステップの性質上、内角への意識が強いようだ。
 
 踏み込んだ
足元はインパクト時にブレずに止まっているため、アウトステップでも甘めの外角球や低めの球に食らいつける下地はある。打球も、無理をせずにレフト方向へ飛ばせている。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 あまりしっかりトップを作ってから振り出すタイプではないが、構えの位置からグリップを振り出すため、始動の遅さを補っている。バットの振り出しにロスは感じられず、外角の球を捉えるまでスムーズだ。また、内角寄りの球も肘を絞ってさばけていて、下手ではない。
 
インパクト時にもバットのヘッドが下がっていないため、広い面でボールを捉えやすく、打球はフェアゾーンに飛びやすい。打球に角度を付けるタイプではないが、多くがゴロではなくライナーやフライである。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さいため、
目線がほとんど動かず安定しているのは良い点だ。体の開きも我慢できており、軸足に粘りがある。しいて言えば、ステップが狭めなので、外角の強い球をきっちり叩けるかが一つの鍵となりそうだ。

(打撃のまとめ)

 
タイミングの取り方に「間」がないため、プロ入り後にその辺りを身につけられるかが鍵だ。また、当てることを重視したスイングなので、プロレベルの球に対して力負けしないかが気になる点である。セイバー面では、ISO .067と長打力が控えめだが、K% 11.9%と三振が少なく、BB% 7.1%の選球眼も安定しており、コンタクト重視のスタイルが数字にも表れている。それでも、抑えるべきポイントは押さえられており、技術的に大きな問題は感じられなかった。


(最後に)

 足はA級のクオリティがある一方、守備や打撃で際立つものは感じられなかった。そうした意味で、やはり一芸特化の選手であり、育成枠での指名が妥当だったと言えそうだ。プロの世界でも、その脚力で甲子園をところ狭しと走り回る姿を、ぜひ見てみたい。


(2025年 リーグ戦)