25sy-1
村上 裕一郎(23歳・エネオス)右翼 185/95 右/右 (宇和島東-九州共立大) | |
社会人初年度から、本塁打王に輝くなど、25年度のドラフト戦線の中でも、数少ない大砲候補として期待したいのが、この 村上 裕一郎 ではないのだろうか。 (守備・走塁面) 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.35秒前後。これを左打者に換算すると、4.1秒前後に相当するプロの基準レベルの脚力となる。ただし、24年度の12試合の公式戦では、盗塁は0個(失敗1)と、積極的に足でアピールするタイプでは無さそうだ。 右翼手としては、打球への反応、落下点までの入りなどは、けして下手な選手ではない。肩もまずまず強く、プロでも充分にライトができそうな強肩の持ち主。あとは、送球の精度などを高めて行きたい。特に守備に関しては、思った以上のレベルにあって驚いた。 (打撃内容) 12試合の公式戦での成績は、32打数 5本 11点 打率.375厘と、思ったほど脆さがないところも好いところ。ただし、秋の日本選手権・ミキハウス戦では、3打数無安打で初戦負けをきしている。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を軽く引いて、グリップは平均的な高さで捕手側に引いて添えられている。後ろ足に重心をかけるなど、全体のバランスとしてはクセのある構え。しかし、両眼ではある程度前を見据えられいた。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下がりきった時に一度上げた足を地面に降ろし、本格的に始動するのはリリース直前といった「遅すぎる仕掛け」を採用。しかし、この仕掛けの場合、打撃のタイプとしては最初の動き出しに影響されるので、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに近いタイプなのかもしれない。ただし、ここまで遅すぎる仕掛けだと、プロレベルの球速やキレに関しては、少々苦労するのかもしれない。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 小さくステップして、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。ベース側にインステップするように、外角への意識が強そうです。 踏み込んだ足は、なんとか地面にめり込ませてブレを最小限に防いでいます。そのため、逃げてゆく球や低めの球は得意ではないものの、意識次第ではセンターから右方向へも飛ばすことができます。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さを補おうとしています。バットの振り出しは、やや遠回りに出てくる感じなので、内角のさばきはインステップも相まって窮屈だったり、打ち損じも少なくないようには感じます。 それでもインパクトの際には、バットの先端であるヘッドまでは下がっていないので、ドアスイングというほどではありません。スイングも、けしてボールに角度を付けてといった感じではないものの、スイングの前が大きく払うようなスイングでもスタンドインできていました。スイングのロスも、ヘッドスピードが速いことで補うことができていました。 <軸> ☆☆★ 2.5 足の上げ下げ小さい割には、結構目線が動いたり、自分からボールを追ってしまうところがあります。開きはなんとか我慢できていますが、身体が前に出される分、軸足の形は傾きがちです。こういった呼び込んで打てないタイプなので、安定感という意味ではどうでしょうか? (打撃のまとめ) 確実性が高い打ち方ではないのですが、軽く払っただけでスタンドインできるパワーがあり、高い確率でホームランを放つことができる打者です。精度を上げようとすると、持ち味が損なわないのか? 高いレベルの投手に、対応しきれないのか? といった疑問はありますが、貴重な右の長距離砲であるのは間違いないのではないのでしょうか。 (最後に) 強打者ですが、けして動けない選手でも、守れない選手でもありません。特に飛ばすということに関しては、今年のドラフト候補でも1,2をを争う存在ではないかと思います。今年は、ドラフトイヤーということで、プレッシャーがかかったり、チーム内でもより重要なところが期待される一年になりそう。そういった中で、一年目以上の輝きを見せられるかどうかで、プロの評価も変わってきそうです。今は、大いに期待して春の訪れを待ちたいところです。 (2024年秋 日本選手権) |