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島田 直哉(25歳・NTT西日本)投手 185/88 右/右 (龍谷大平安-立教大出身) 





 「雪舞うなか155キロ」





 極寒のスポニチ大会で155キロを記録し、話題となった 島田 直哉 。2月に行われた「おいどんカップ」でも150キロをマークしており、そのスピード能力は今年の候補者の中でもトップクラスであることを証明した。

投球内容

 龍谷大平安から立教大へと進み、当時から本格派として注目されてきた。しかし、体のコンディションが整わないなど、思うような投球ができないまま社会人へと進んだ。それでも、何かが弾けたのか? 今年の彼は一味違うピッチングを見せている。

ストレート 常時140キロ台後半~150キロ台中盤 
☆☆☆☆ 4.0

 かなり
力んで投げるタイプの投手で、細かい制球力はない。それでも、全身を使って投げ込んでくるボールの勢いや角度には見るべきものがある。両サイドに散る傾向はあるものの、高めにボールが集まりがちだ。それで押し切れるときは良いのだが、スポニチ大会準決勝の大阪ガス戦ではそれができずに失点してしまった。

変化球 フォーク・スライダー 
☆☆☆ 3.0

 荒れる速球に対して、フォークを多めに織り交ぜてくる。特に打ち込まれた大阪ガス戦では、この球をうまく制御できずに苦しんだ。上手く抜けたときには、落差のあるフォークを投げ込んでくるのだが・・・。他にもスライダーも持っているものの、現在はあまり使っていない。

その他

 クイックは1.05秒前後とまずまず。牽制はややモーションが大きいものの、鋭いものを入れてくる。フィールディングの動きも良く、細かい駆け引きはしないが、
気持ちで投げ込んでくる力投派だ。

投球のまとめ

 このパフォーマンスを年間を通じて維持できるのか、あるいはこれから暖かくなり、各打者の打力が上がってくる中でしっかり抑え込めるのかが鍵となりそうだ。それでも、この時期から150キロ台を連発できるスピード能力を持つだけに、一年間追いかけたくなる選手ではあった。






投球フォーム

 セットポジションから勢いよく高い位置まで引き上げてくる。フォーム序盤から高いエネルギーを捻出する
典型的なリリーフタイプだ。軸足一本で立つ際も、膝から上がピンと伸びきることなく、バランスを保って立っている。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の一塁側への落としは甘さもあるが、適度にはできている。そのため、体を捻り出すスペースはある程度確保されており、カーブやフォークといった捻りを要する球種も無理なく投げられそうだ。

 「着地」までの地面の捉え方もまずまずで、体を捻り出す時間もある程度確保できている。そういった意味では、武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙だが、変化球のキレや曲がりが悪い選手ではないと感じる。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 
グラブは最後までしっかり内に抱えられており、外に逃げようとする力を抑え込んでいる。そのため軸がブレにくく、両サイドへのコントロールはつけやすいように見える。

 足の甲で地面を捉える時間が短いせいか、浮き上がろうとする力は十分に抑えられていない印象だ。「球持ち」は悪くないが、力んで投げる分、指先の感覚がもう一つなのか、動作の割に制球が粗いのが気になる点だ。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としもある程度できているため、カーブやフォークなど捻り出して投げる球種でも、それほど窮屈にはならなさそうだ。よって、肘への負担はそこまで大きくないように見える。ただし、今後フォークの使用頻度が増えると、やや心配ではある。

 ボール側の肩が上がり、グラブ側の肩が下がるような無理な腕の送り出しではない。そのため、肩への負担もそれほどではないだろう。しかし、かなり力んで投げる投手なので、疲労が溜まりやすい恐れはある。こうした投手は、意外な箇所を痛めることも少なくない。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りはそれなりで、ボールの出どころは平均的だろう。打者が苦にするほどの嫌らしさはないが、決して合わせやすいというほどでもない。

 
腕は強く振れており、打者としては吊られやすい勢いを感じる。ボールも体重を乗せてからリリースできているように見えるが、むしろ体が前に突っ込みすぎないよう注意が必要だ。

フォームのまとめ

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」に特に大きな欠点はない。制球を司る動作の割に、力みすぎたり突っ込んだりするせいで制球を乱しがちだ。故障のリスクもそこまで高そうな動作ではないが、力投派ゆえに疲労は大きそうではある。もっと優れた変化球を投げられてもおかしくないフォームだが、現状はストレートへの依存度が高い投球内容だ。ただし、元々が好投手タイプなので、そういった投球ができないわけではない気がする。

最後に

 社会人3年目を迎え、プロ入りとしては背水の陣ともいえる年齢だ。本人がどれほどプロ志向を持っているかは不明だが、今年は「何が何でも」という強い思いが感じられる。一年間追いかけて、どのような役割やパフォーマンスを見せてくれるのか、目が離せない存在であることは間違いない。


蔵の評価:
追跡級!


(2025年 東京スポニチ大会)