25sp-14





斎藤 佳紳(22歳・徳島IS)投手 181/89 右/右 (近大泉州-天理大中退) 





 「けして荒れ荒れの投手ではない」





 150キロ台を記録する速球を投げ込む 斎藤 佳紳 だが、決してただの荒々しい速球派ではない。確かな実戦力を兼ね備えた、バランスの取れた投手である。


(投球内容)

 独立リーグ3年目にして悲願のNPB入り(育成ドラフト指名)を果たした。2025年の四国アイランドリーグplusでは、
最多勝・最優秀防御率・ベストナインに輝くなど、圧倒的な成績を残した。

投球回数
被安打
四球 奪三振  防御率
71回2/3 66 20 72 1.88


セイバー補足(参考値)

K/9(9回あたりの奪三振数)=9.1 → リーグ上位クラス
BB/9(9回あたりの与四球数)=2.5 →
優秀な制球力
K/BB(奪三振対与四球比)=3.60 → 非常に高いコマンド
FIP(守備に左右されない投手の純粋な実力指標)≈2.30前後(概算)
→ 防御率1.88を上回るほどの「運の要素」はほぼなく、
本物の支配力と言える。


ストレート 140キロ後半~150キロ中盤 
☆☆☆★ 3.5

 球場のガンはやや盛りがちだが、体感速度と
ミットに突き刺さる勢いは確か両サイドに投げ分ける制球力も高く、四死球で崩れる気配はなかった。

横変化・スライダー 
☆☆☆★ 3.5

 手元でキュッと曲がるキレのあるスライダー。変化幅は小さいが、カットボールに近い軌道で空振りを奪える。

縦変化・フォーク 
☆☆☆ 3.0

 大きな落差はないが、スプリット寄りの変化で実戦的な空振りを誘える。

その他 
☆☆☆★ 3.5

 クイック1.05秒前後、鋭い牽制、投球術の細やかさも光る。

(投球のまとめ)

 制球力に難はなく、ボール自体の威力も十分。K%(打者に対する奪三振割合)約26%、WHIP(1イニングあたりの出塁許可数)1.19と、
アイランドリーグでは完全に別格の数字を残している。「上積みに期待」するよりも、早い段階で一軍でも登板を期待したい実戦型だろう。





(投球フォーム)

 セットポジションから足をそれなりに高く引き上げ、軸足一本での立ち姿勢も悪くない。全体のバランスはまずまず取れている。

広がる可能性 
☆☆☆★ 3.5

 膝を伸ばして着地するため、お尻の落としは甘め。ただしカーブやフォークを捻り出すスペースは確保されており、大きな変化球は難しくても「キレ」は十分に期待できる。

ボールの支配 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで抱えているが、やや外に流れる傾向あり。足の甲での押し込みもまずまずで、ボールが浮きやすい癖もない。リリースも前でできており、指先の感覚は平均以上。

故障リスク 
☆☆★ 2.5

 お尻の落としが甘い点は気になるが、現状では大きな問題なし。今後フォークの割合が増えると肘への負担は注意が必要。肩への負担は感じるのと、力投派ゆえに疲労管理は徹底してほしい。

実戦的な術 
☆☆☆ 3.0

 着地までの粘りは悪くないが、
ボールが見えるのがやや早い印象。腕の振り自体は強烈で打者は吊られやすいが、「開き」の早さで変化球の効果が若干薄れる場面も。体重移動は一塁側に流れ気味だが、フィニッシュの蹴りはしっかりしている。

(フォームのまとめ)

 4大要素では
「開き」の早さが課題として残るものの、制球に致命的な悪影響は出ていない。力強いフォームゆえに故障リスクには注意が必要だが、変化球のキレ自体は悪くない。将来的に「決め球」を獲得できるかは微妙だが、現状でも変化球のキレは悪くない。


(最後に)

 突出した一芸はないが、逆に大きな穴もない。セイバーメトリクス的にもFIP・K/BB・WHIPの全てでリーグトップクラスを記録しており、数字が「本物」であることを裏付けている。育成枠指名ではあったが、総合力は完全に「支配下級」。1年目から、支配下登録され一軍で登板する可能性は高いと見る。

蔵の総合評価:
(下位指名級)


(2025年 四国アイランドリーグplus)