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| 高橋 快秀(20歳・徳島IS)投手 178/80 右/右 (多度津出身) | |||||||||||
高卒2年目でドラフト指名された 高橋 快秀 。ボール自体に威力は感じられるが、NPBの一軍マウンドで通用するにはまだ課題が多く残る印象だ。 (投球内容) 香川県の高校から四国アイランドリーグplusに入団し、2年目の今シーズン、20試合に登板して7勝2敗、防御率2.86(リーグ2位)の好成績を残し、悲願のNPB入り(育成枠)を果たした。 セイバー補足(参考値) WHIP(1イニングあたりの出塁許容数):1.46 → アイランドリーグ平均並み K/9(9回あたりの奪三振数):5.06 → やや低め BB/9(9回あたりの与四球数):3.25 → 平均的 K/BB(奪三振÷与四球):1.56 → 制球がもう少し良くなれば伸びしろ大 被安打率 .279 → 運の要素も含め、打たれている印象はそこまで強くない
ストレート 140km/h~140km/h台後半 ☆☆☆ 3.0 高めの速球にはそれなりの勢いがあるが、ドラフト指名される投手としては平均的と言える球速・球威。ゾーン内での制球はまだアバウトで、甘く入ったところを痛打される場面も散見された。 横変化(カットボール・スライダー) ☆☆☆★ 3.5 カウントを整えるカットボールと、右打者外角へ大きく逃げるスライダーの2種類を使い分ける。特に逃げるスライダーは空振りを奪える武器になりつつある。 縦変化(フォーク) ☆☆☆ 3.0 主に左打者に対してフィニッシュボールとして機能。絶対的な落差や精度はまだないが、相手に意識させるには十分な変化量がある。 緩急(カーブ/スライダーの縦の変化) ☆☆☆★ 3.5 緩いカーブ(または縦スライダー)を多投し、投球のアクセントに。カウントを整えたりタイミングを外したりする役割をしっかり果たしていた。 その他 ☆☆☆ 3.0 クイックは1.1~1.2秒程度と平均的。牽制は鋭いものを投げるが、走者への目配せはまだ不足気味で、フォームを盗まれやすい印象。一方、フィールディングは難易度の高い打球もそつなく処理しており、下手ではない。 走者を背負った場面での時間を使った駆け引きや、微妙なコースの出し入れ、タイミングの変化といった投球術はまだ持ち合わせていない。 (投球のまとめ) 現時点では「勢いのあるストレートを軸に、多彩な変化球で打ち損じを誘う」スタイル。変化球のキレ自体は悪くないものの、奪三振率(K/9)が5.06と低めなのは気になる点だ。これは制球力の向上と投球術の習得が鍵になるだろう。 (投球フォーム) セットポジションからの足の引き上げに勢いがあり、リリーフ向きのエネルギー発揮型。ただし軸足一本で立ったときに膝から上がピンと伸びて「トの字」になりやすく、力みが制球の乱れにつながっている可能性が高い。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻の一塁側への落としにやや甘さはあるが、カーブやフォークを捻り出す動作は可能。着地までの時間も確保できており、変化球のキレ・曲がり自体は悪くない。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブは最後まで内に抱えられているものの、振り下ろしで腕と頭が離れやすく軸がブレる。足の甲での地面の捉えも浮きがちで、高めに集まりやすい。それでも高めに甘く入ることはあっても抜け球は少なく、球持ちの我慢はできている。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としが甘い割に縦の変化球を多用するため、肘に負担が心配。また腕の振りと頭の位置の離れによる外旋負担も懸念材料。力を入れて投げるフォームなので疲労蓄積にも注意が必要。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 着地までは適度に粘れており、ボールの出どころも隠せている。腕の振りも強く、打者から吊られやすい勢いがある。体重移動も悪くないため、打者に「合いにくい」フォームと言える。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作(着地・球持ち・開き・体重移動)に大きな欠点はない。最大の課題は制球を司る動作の粗さ。故障リスクは「いつ出てもおかしくない」レベルだが、致命的というほどではない。変化球のキレ・曲がり幅は十分にあり、将来的な武器化も期待できる。 (最後に) 高卒2年目の若さを考えれば、まだまだ成長途上の段階。現時点で即一軍は厳しいと考えられるが、細部の改善を着実に行えれば、2~3年後には支配下登録から一軍戦力という道筋も十分に見えてきそうだ。そのため現時点では、育成枠での指名は妥当な判断だったと判断したい。 (2025年 四国アイランドリーグplus) |