25ky-6


 




 横田 蒼和(山村学園3年)遊撃 180/75 右/左 





 「高校NO.1ショート」





 昨年、巨人に1位指名された 石塚 裕惺(花咲徳栄)よりも、雰囲気があると評価していた 横田 蒼和。あれから1年、全国の高校生の中でも最も高い順位での指名が予想される、高校No.1ショートへと成長した。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの塁間を、左打席から約4.2秒で駆け抜ける。このタイムは、プロの基準である4.1秒に比べるとやや劣るもので、純粋な走力はプロの中でも
中の下程度と考えられる。この夏の埼玉大会でも、6試合で1盗塁にとどまり、走力を全面に押し出したプレースタイルではない。

 しかし、外野手の打球処理がもたついていると見るや、すかさず次の塁を奪うなど、
積極的な走塁姿勢を見せる。また、一塁まで勢いを緩めずに走り切る姿勢も持ち合わせており、走塁への意識が低い選手ではない。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 大型な体格ゆえに、フットワークが軽快であったり、スピード感があったり、グラブさばきが非凡だったりといった特別な印象はない。しかし、
打球への一歩目の反応やスタートは鋭くなり、最終学年ではマウンドに上がる機会が増える中で、課題だった送球の精度も安定してきた。洗練された上手なショートとは言い難いが、プロでショートを続けられるかどうかは疑問が残るものの、無難なレベルには達していると考えられる。少なくとも、プロで三塁などをそつなくこなせるほどの守備力はあるのではないか。




打撃内容

 
3年夏の埼玉大会では、以下の成績を残した。投手としてマウンドに上がることが多い中、チームの3番打者として打線の核を担い、活躍を見せた。

夏の埼玉大会成績(2025年)


打数
安打
二塁打
三塁打
本塁打
打点
三振
四死球
打率
26
12
4
1
1
12
1
2
.462


構え:☆☆☆★ 3.5

 前足を大きく引いてかかとを浮かせ、グリップを高めに構え、バットを寝かせた独特のフォーム。足を大きく開いているため、全体のバランスにはやや癖がある。それでも、
両目で投手をしっかりと見据える姿勢は悪くなく、あごを引いた打席での集中力も感じられる。この集中力は、打率.462や出塁率約0.500という成績に表れており、打席での安定感を支えている。ただし、四死球が2と少ない点から、選球眼のさらなる向上がプロでの出塁率向上につながるだろう。

仕掛け:遅すぎ

 大きく引いた前足を、投手が重心を下げ始めるとベース側に移動させ、つま先立ちする。本格的な始動はリリース直前という「遅すぎる仕掛け」。このタイミングでは、プロレベルの球を木製バットで対応するには、並外れた筋力やヘッドスピードが求められる。特に筋力がまだ発達途上の高校生にとって、この始動タイミングは厳しい印象を与える。

 
三振がわずか1回と少なく甘い球を逃さない能力は高いが、遅い始動はプロの速球への対応でOPS(出塁率+長打率、約1.308)の維持を難しくする可能性がある。ただし、タイミングは非常にデリケートな部分であり、本人が課題を感じて改善の必要性に気づくまでは、このスタイルで問題ないだろう。なお、昨年からこの始動タイミングに変化はない。

足の運び:
☆☆☆★ 3.5

 小さくステップしてベース側に踏み込む。始動から着地までの「間」が十分に取れていないため、事前に狙い球を絞り、それを逃さないことが求められる。ただし、甘い球を見逃さない高い集中力は感じられる。また、インステップするフォームからも、外角への強い意識がうかがえる。この外角への意識は、長打率約0.808(二塁打4、三塁打1、本塁打1)に反映されており、特に
レフト方向への長打が多い点で彼のパワフルさが裏付けられる。

 踏み込んだ前足は、
インパクト時にブレずに我慢できる。そのため、逃げていく球や低めの球にも食らいつくことが可能だ。試合では、内角の厳しい球にも全く逃げずにさばき、高めの球にも素直にバットが出てレフト方向への長打につなげていた。

リストワーク:
☆☆☆★ 3.5

 打撃準備の「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さを補っている。バットは寝かせた状態で出てくるため、インサイドアウトのスイング軌道ではない。それでも、外角の球に対しては素直にバットが出て、広い面でボールを捉える。打球に角度をつけるタイプではないが、フェアゾーンに打球が飛びやすいスイングを持つ。このスイングは、
打率.462と高い打球の質を示し、フェアゾーンへの打球の多さがOPSの高さ(約1.308)を支えている。スイング自体は柔軟性を感じるタイプではないが、力強くパワフルだ。この点は昨年からほぼ変わっておらず、強烈な打球が野手の間を抜けていく

軸:
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが少ないため、目線の上下動がほとんどなく、
目線が安定している。これにより、錯覚を起こさずに球筋を追える。体の開きも抑えられ、軸足の形も崩れないため、調子の波は少ないだろう。軸足の内腿の筋肉も発達しており、強烈な打球を生み出す原動力となっている。

 この安定した軸は、打率や長打率の高さに寄与し、調子の波の少なさが
一貫した出塁能力(出塁率約0.500)を裏付けている。この点も昨年から大きく変わらず、維持できている。

打撃のまとめ

 柔軟性に富んだ素材ではないため、
自分の打てる球を逃さず叩くタイプと言える。打席での集中力は高く、試合でもその能力が発揮されている。打率.462、長打率約0.808、OPS約1.308という成績は、高校レベルでの卓越した生産性を示すが、四死球の少なさから選球眼の強化がプロでの課題となる。確かに二塁打や三塁打といったパワフルな打撃は目立つが、ホームランを量産するタイプではない

 ただし、ひ弱さや脆さは感じられず、高校生としてはA級の「打てるショート」だ。課題は、プロの球速や変化球に対し、
現在のタイミングの取り方で対応できるかという点だろう。


最後に

 野球に対する姿勢は好ましく、能力も高い。現在は高校No.1遊撃手と評価される存在だ。一方で、プロの投手への対応力や、
ショートを長期的に担えるかという疑問も残る。この不安から、高い評価にまでは至らなかった。

 ただし、実際のドラフト会議では3位前後での指名があってもおかしくないと考えられる。打席に入る際には、自分なりのルーティンを持ってバッターボックスに立つ。この選手らしい個性が感じられる。また、ラインを気にせず踏んで入る様子からは、繊細さよりも強打者らしい
「良い意味での鈍感さ」がうかがえる。野球への深い探究心はまだ弱い印象だが、打席でのただ者ではない雰囲気には独特の魅力があり、大きく成長してほしい選手だ。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2025年夏 埼玉大会)


 




 横田 蒼和(山村学園2年)遊撃 180/75 右/左





 「石塚より雰囲気がある」





 昨年の春季埼玉大会で、対戦校の 石塚 裕惺(花咲徳栄-巨人1位)遊撃手から雰囲気を感じたのが、当時2年生だった 横田  蒼和 だった。最終学年を迎え、どのような活躍を見せるのか、今から楽しみな選手の一人だ。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打席から4.35秒前後(基準は4.1秒)と、決して速いタイムは出ませんでした。チームでは2番打者を担い、昨年の公式戦10試合で3盗塁と、決して動けない選手でもありませんが。そのため、外野がもたつくとみるや、すかさず二塁を陥れる、そういった隙のない走塁は見られます。

 フットワークや足の運びを見ると、高校生としては平均的なショートといった感じです。最終学年での成長次第ですが、上のレベルでショートを担っていけるかは微妙です。それでも、時にはマウンドに上がることもあり、
地肩は強そうです。ただし、動きよりも、むしろ送球の精度の方が気になります。

 タイムは出ていませんでしたが、走力は平均的なレベルはありそうです。守備も並ですが、地肩はかなり強そうでした。もう少し最終学年では、守備・走力のレベルを見極めて行きたいところです。





(打撃内容)

 昨年の公式戦10試合では、
0本塁打、12打点、3盗塁、打率.436 といった成績で、強烈な打球で広角に打ち返すタイプです。ただし、打席はあまり上がらず、飛距離で魅了する、そういったタイプではなさそうです。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 左打席から足をしっかり引いて構えられ、グリップは高めに添えられた強打者スタイル。背筋を伸ばしつつ、両眼を前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらいです。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時に開いていた足をベース側につま先立ちさせ、本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。このタイミングだと、日本人の筋力で木製バットを持って、プロレベルの球に対応するのは容易ではありません。しかし、打者としてはタイプは、最初の動き出しに起因するので、タイプ的に
対応力を重視したアベレージヒッター的な色彩が強いタイプだと考えられます。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 小さくステップして、ほぼ真っ直ぐに踏み出してきます。始動~着地までの「間」は短く、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのでしょう。

 踏み込んだ前の足は、
インパクトの際にブレません。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができますし、反対方向にも強い打球を飛ばすことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは早めに作れており、始動の遅さを補おうとしています。バットの振り出し自体は、決してインサイドアウトに出てくるタイプではありません。それでもバットの先端であるヘッドを下げないで、広い面でボールを捉えることができています。したがって、フェアゾーンにボールが飛びやすいと言えます。
スイングも打球も強烈ですが、打球に角度が付くタイプではなく、強い打足で野手の間を抜けてゆくタイプです。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できていますし、軸足の形も大きくは崩れていません。そういった意味では、調子の波は少ないタイプなのではないかと。
軸足の内モモの筋肉も発達しており、強烈な打球を放つ原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 始動が遅すぎるために、捉えられるポイントは限られているように感じます。それでも、右にも左にも幅広く、打球を飛ばすことができます。
ボールを捉える能力、スイングの力強さなどは、この時期の高校生としては目立つものがあります。


(最後に)

 守備や走塁に特に光るものがないのですが、ボールを捉える能力や打席での雰囲気など光る部分も少なくありません。また、打球があまり上がるタイプではないのは気になるところです。まして、左打ちであることを考えると、どこまでスカウト受けするのかは微妙です。そのため、よほど突出したものを示せないと、高校からのプロ入りは厳しいかなという思いもあります。それでも、この時期であれば、全国でも指折りのショートであるのは間違いないのではないでしょうか。タイプ的には、元DeNAにいた 倉本 寿彦 に近いタイプかなと感じます。一冬越えた成長を、まずは確かめたいところです。


(2024年夏 埼玉大会)