25ky-5
窪田 洋祐(札幌日大3年)中堅&投手 186/88 右/右 | |
窪田 洋祐 を見ていると、野球選手としての素材は野手向きだ。しかし、マインド面を見ると、投手的な色彩が強い性格だと感じる。それゆえに、二刀流をやらせればうまくいくのかと問われれば、必ずしもそうとは言い切れない気もする。今回は、野手としての視点から、この選手の可能性について検討してみたい。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 一塁までの到達タイムは、右打席から4.3秒前後で、速い時には4.1秒前後を記録する。これを左打者に換算すると、約4.05秒~3.85秒に相当し、プロの中でも「上の下」クラスのタイムにランクされる。この夏の南北海道大会では、6試合で2盗塁を記録したが、現在のプレースタイルは脚力を全面に押し出したものではない。これは、投手としてマウンドに上がることが多かった影響もあるだろう。しかし、野手に専念した場合、もっと走力を活かしたプレースタイルになる可能性がある。 守備面:☆☆☆★ 3.5 打球への反応や落下点への入り方を見ると、余裕を持って処理できており、決して下手な選手ではない。ただし、投手としてのフィールディングでは、マウンドをややドタバタと駆け下りてくる印象があり、俊敏な打球処理をする選手とは言い難い。この点から、内野手よりも外野手として身体能力を活かせるタイプではないだろうか。投手として140キロ台中盤を記録する地肩の強さは、十分に評価できる。また、荒々しい投手ではないため、送球の精度も悪くなさそうだ。 現状、走力や地肩の強さといった高い身体能力を持っているものの、それを最大限に活かす術はまだ発展途上だ。野手としてプロで活躍していくためには、野手としての自覚を早く持てるかが大きな鍵となりそうだ。 打撃内容 この夏の南北海道大会の成績は、6試合で 20打数4安打 1二塁打 0三塁打 0本塁打 2打点 1三振 5四死球 打率.200 といった内容でした。最後の夏は、エースナンバーもつけていて、投手としての色彩が強く、打撃にまで意識が傾けなかった印象が強かったです。 打率.200に対し、四死球5つを選び出塁率.360を記録するなど、選球眼の良さが光るが、長打率.250、OPS.610と、打撃の総合生産性(wOBA約.300)は平均以下だ。長打力不足が課題だが、三振率が打数あたりわずか5%と低く、コンタクト能力の高さがうかがえる。 構え:☆☆☆★ 3.5 右打席で前足を軽く引き、かかとを浮かせて構える。グリップは高めに添え、後ろ足にやや重心を預けた姿勢のため、全体のバランスには少しクセがある。昨年と比べ、両目で正面を捉える姿勢は改善されたが、打席での集中力は若干薄れているように感じた。この点は、出塁率.360に見られる選球眼の良さにもかかわらず、打撃の積極性がOPS.610の低さに影響した可能性を示唆する。 仕掛け:早め 投手の重心が下がるタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用。このタイミングは、対応力を重視するアベレージヒッターに多く見られ、三振率5%の低さからもコンタクトの安定性が裏付けられる。昨年は「平均的な仕掛け」を採用していたため、始動がやや早くなったと言える。 足の運び:☆☆☆ 3.0 足を軽く上げて回し込み、ベース側にインステップして踏み込む。始動から着地までの「間」は取れており、速球や変化球のスピード変化に幅広く対応可能だ。インステップする姿勢から、外角への意識が強いことがうかがえるが、長打率.250の低さから、外角を捉えても強い打球を生み出すのは難しい状況だ。昨夏はアウトステップを採用していたため、この点は大きく変化した。 気になるのは、踏み込んだ前足がインパクト時に動いてしまう点だ。これにより、逃げる球や低めの球に対して開きが早くなり、打ち取られやすくなっていた。この課題は、打率.200やwOBA約.300の低さに影響しており、打球角度の最適化(例:15~20度)や足元の安定性が改善されれば、OPSを.700以上に引き上げる余地があるだろう。昨夏にも同様の傾向が見られたため、この1年で改善が見られなかった可能性がある。 リストワーク:☆☆☆★ 3.5 打撃準備の「トップ」の形を早めに作り、速い球に遅れる心配は少ない。バットの振り出しにクセがなく、インパクトまで遠回りしない。インパクト後も大きなスイングの弧とフォロースルーを活かし、打球を遠くに飛ばす形ができている。このスムーズなリストワークは三振率5%の低さに寄与しているが、長打率.250の低さから、スイングの強さをさらに高める必要がある。 軸:☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少ない。ただし、足元が動いてしまうため、開きを我慢できていない点が気になる。これは打率.200や長打率.250の低さに影響している可能性があり、軸の安定性が向上すれば打球の質が改善するだろう。軸足は地面からまっすぐ伸びており、軸を起点にきれいに回転してスイングできている。 打撃のまとめ 元々当て勘が良く、三振率5%の低さが示すコンタクト能力とパンチ力のある打撃が魅力の選手だった。しかし、最終学年では投手への意識が強かったのか、打率.200、OPS.610と打撃で才能を存分に発揮するまでには至らなかった。出塁率.360に見られる選球眼は強みだが、長打力の向上やスイングの強化が求められる。才能以上に、野手としての強い意識を持てるかが今後の鍵となる。 最後に 現状、走力や地肩の強さといった高い身体能力を持っているものの、それを最大限に活かす術はまだ発展途上だ。気になるのは、才能以前に本人が打撃よりもピッチングを好む傾向が強い点だ。打席での姿勢からは、強打者に求められる積極性よりも、投手らしい繊細さが感じられる。投手としては育成会議で指名されるかどうかというレベルに思えるため、プロでの二刀流の選択肢には疑問が残る。この選手の場合、投手として一定の結果が出ない限り、野手としての練習に本気で取り組むのは難しいかもしれない。そのため、入団後の最初の2年間ぐらいは投手として挑戦させ、その後に野手への転向を決断させるアプローチが必要ではないだろうか。そうしないと、中途半端な結果に終わる可能性がある。球団として明確なビジョンを持たないと、大成させるのは難しいだろう。ただし、純粋に野手としての素材を評価すれば、本会議で指名される価値はある。ドラフトでは4位前後での指名が予想される。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2025年 南北海道大会) |