25ky-39
| 池田 栞太(関根学園3年) 捕手 185/81 右/右 | |||||||||||||||||||
圧倒的な地肩の強さは、プロに入っても各球団のトップクラスに匹敵する資質を備えている 池田 栞太 。しかし、プロの正捕手として見ると、現段階では物足りない部分が多いのも事実である。その課題が具体的にどこにあるのか、以下に記したい。 (ディフェンス面) ジェスチャーを交えながら、投手と対話して試合を作っていける捕手である。体を小さく屈めてミットを構え、投手に的を大きく見せる意識がある点は良い。ただし、構えたところから外れた球に対して「手だけで取りに行く」癖が強く、どうしてもキャッチングが雑に見えてしまう。このタイプの捕手は投手から信頼を得にくく、プロで大成するのは難しいと私は考える。 構えが遅れることでキャッチングミスも増え、低めに来た球に対しても上から掴みに行く傾向が目立つ。このキャッチングは、プロ入り後に根本的に修正しないと通用しないだろう。また、基本的に打者を見て考える習慣が薄く、リードも投手間とのやりとりやベンチ絡みで、自分で状況を読みながら組み立てていく経験が不足している印象を受ける。他者を意識したリードが弱いため、正捕手として一人前になるには相当な時間がかかると見ている。 一方で、彼が指名された最大の理由はやはり「圧倒的な肩の強さ」にある。捕ってから投げるまでの動作はまだ洗練されているとは言えないが、それでも二塁送球がコンスタントに1.8~1.9秒台でまとまるのは驚異的だ。この送球フォームをしっかり型にはめ込めば、さらにタイムを縮め、精度も安定するだろう。そうなれば球界を代表する強肩捕手に成長する資質は十分にある。ただし、上記の理由から、私は現時点では「プロの捕手として厳しい」と判断せざるを得ない。 (打撃内容) 2025年夏 新潟大会成績 主要セイバー指標(参考値)
出塁率(OBP):.429 (四死球を加味した出塁能力) 長打率(SLG):.421 (二塁打の価値を反映) OPS:.850 (出塁率+長打率の合算。高校生大会としては優秀な水準) IsoP(孤立パワー):.053 (純粋な長打力=長打率-打率。まだ長打は少ない) K%(三振率):9.5% (21打席で2三振=非常に低い) BB%(四球率):9.5% (選球眼は平均的) <構え> ☆☆★(2.5) 軽くクロス気味に立ち、グリップの高さは平均的。腰の据わり、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスはいまひとつで、全体的に窮屈な印象を受ける。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が下がりきったタイミングでつま先立ちになり、そのままの流れで打ちに行くため「遅めの仕掛け」となる。しかし、打者としてのタイプは初動に影響されやすい傾向があるため、ある程度狙いを絞って確実性と長打を両立させる中距離打者、あるいは勝負強さを売りにするポイントゲッタータイプと言えるだろう。 <足の運び> ☆☆☆(3.0) 足をほとんど上げず、ほぼ真っ直ぐ踏み出す。始動から着地までの「間」が短いため、狙い球を絞り、その球を逃さない鋭さが求められる。内角も外角も真っ直ぐ踏み込んでさばこうとするタイプだ。踏み込んだ前足はインパクト時にブレずに我慢できており、逃げる球や低めの球にも食らいついて行ける。 <リストワーク> ☆☆☆(3.0) トップの形は早めに作れており、速球への立ち遅れは少ない。しかしスイング軌道がやや窮屈で、内角のさばきに不安が残る。打てるゾーンは限定的な印象だが、体が強くスイング自体に力があるため、ひ弱さは感じない。 <軸> ☆☆☆☆(4.0) 足の上げ下げが小さく目線のブレが少ない。体の開きも我慢でき、軸足を起点にきれいに回転できている。 (打撃のまとめ) 対応力という点ではプロの投手に苦労しそうな印象はあるが、体が強くスイングにパワーがあるため、時折一発を含む意外性のある長打を見せてくれる可能性は十分にある。 今大会のOPS.850は高校生捕手としては優秀な部類に入り、特に三振の少なさ(K%9.5%)はコンタクト能力の高さを示している。一方で長打力指標(IsoP.053)はまだ低く、現時点では中距離~ポイントゲッター寄りの打撃と言える。捕手らしい打撃は期待できる。ただ、一軍レベルで通用する打者になれるかについては、現時点では懐疑的である。 (最後に) 攻守ともに時間を要する典型的な育成素材である。根本的に作り変える覚悟がなければ正捕手は難しいだろう。しかし、プロの捕手に最も求められる「厳しい練習に耐えうる体の強さ」と「圧倒的な肩の強さ」を兼ね備えている。特に肩の強さはソフトバンク捕手陣の中でも早い段階で頭一つ抜ける可能性がある。そのポテンシャルに賭けた育成枠指名であるため、支配下登録級の☆評価とはならなかったのも納得できるが、可能性に賭けてでも獲りたいと思わせる魅力があったのも確かだ。このような選手がこれからどう変わっていくのか、個人的には静かに見届けたい。 (2025年夏 新潟大会) |