25ky-31





 西川 篤夢(神村学園伊賀3年)遊撃 183/76 右/左
 




 「ショートっぽい選手」





 今年は、動きがショートらしい選手が非常に少ない。そんな中、センスが良く、筋の良さそうな選手として、西川 篤夢 は貴重な存在です。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 しっかりした一塁到達タイムのデータはありませんが、この夏の3試合を観た限り、中~中の上程度の印象を受けました。ただし、現状では積極的に盗塁を仕掛けるスタイルや、将来的に足を売りにするプレースタイルには見えません。なお、この夏は3試合で1盗塁を記録しています。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 動きが柔らかく、スムーズな守備ができるショートという印象です。抜群にうまいわけではありませんが、動きにセンスを感じさせる選手です。投手としても夏の大会で常時140キロ前後のキレのある球を投げており、水準以上の地肩の強さがあるのは間違いありません。





(打撃内容)

 3年夏の三重大会では、
10打数4安打、1二塁打、1打点、打率.400 の成績で、チームの1番打者を務めていました。

<構え>
☆☆☆★ 3.5

 左打席でややクローズドに立ち、グリップを高めに構えています。背筋を伸ばし、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスはまずまず。
打席での集中力も感じさせる構えです。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が沈み込み、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。このタイミングは、ボールをギリギリまで引きつけるため、長距離打者や生粋の2番打者に多く見られます。彼の場合は後者に該当すると思われます。

<足の運び>
☆☆☆★ 3.5

 小さくステップして真っ直ぐ踏み出します。始動から着地までの「間」が短いため、狙い球を絞り、それを逃さない技術が求められます。内角・外角問わず捌きたいタイプのようです。

 踏み込んだ前足は
インパクト時に閉じ、ブレません。そのため、逃げる球や低めの球にも食らいつくことが期待できそうです。

<リストワーク>
☆☆☆★ 3.5

 打撃準備の「トップ」を早めに作れており、始動の遅さを補っています。ただし、バットの先端が投手側に倒れてから振り出すため、
バットの出がやや悪い点が気になります。それでも、スイング軌道は大振りにならず、改善の余地は十分。

 ボールとの接地面が広いインパクトのため、打球はフェアゾーンに飛びやすいタイプです。ただし、打球に角度をつけて飛ばすタイプではないようです。
スイングの強さや鋭さはまだ弱く、プロの球への対応には時間がかかりそうです。当て勘自体は悪くないため、身体が仕上がれば、どの程度の打撃を見せられるかが注目されます。

<軸>
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが小さく、
目線の上下動は少ないため、球筋を正確に追うことができます。体の開きを我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸び、軸回転でスイングできています。ただし、内腿の筋力がやや弱い印象です。この部分を鍛えれば、鋭い打球が期待できるでしょう。

(打撃のまとめ)

 スイング軌道やミート能力は悪くなく、筋力を強化し、無駄な動きを改善できれば、打撃もある程度のレベルに達する可能性があります。ただし、現状ではドラフト候補としての
打力はやや物足りない印象です。この点が将来的に仇となる可能性があります。


(最後に)

 この選手は非常に
精悍な面構えで、意志の強さが感じられます。打席ではバッターボックスのラインを踏まずに入るなど、二遊間らしい細やかさも持ち合わせており、適性を感じます。一方で、足場へのこだわりなどから、打撃への意識はそれほど高くない印象も受けます。今年はプロで二遊間を担えそうな素材が少ないだけに、何らかの形でドラフト指名される可能性は高いと考えています。ただし、高いレベルの投手への対応には時間がかかりそうで、現時点では(支配下級)の評価は難しいと判断しました。そのためドラフトでは、下位~育成での指名が現実的ではないでしょうか。


(2025年夏 三重大会)