25ky-26


 




坂本 慎太郎(関東一3年)投手 170/65 左/左 





 「矢澤宏太以来の逸材」





 抜群の野球センスと身体能力を誇る 坂本 慎太郎。もし右投げならショートをやらせてみたいと思わせるほどの野球センスの持ち主だった。そんな印象を与えてくれたのは、プロで二刀流を実践する 矢澤宏太(日本ハム)以来の才能だった。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 セーフティバントを試みた際の左打席からの一塁到達タイムは3.7秒台。普段の打球では4.05秒前後。このタイムはプロの基準を満たすものの、突出して圧倒的とは言えない。実際、この夏の大会では10試合で4盗塁と、それほど走力を全面に押し出したプレースタイルではなかった。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 投げないときはセンターを守り、広い守備範囲を誇る。打球への反応や落下点への入りにも余裕があり、投手として見せる抜群の野球センスを加味すると、将来的には名手級に成長する資質があるように思える。また、投手としては130キロ台後半の球速を記録し、地肩の強さも水準以上と言えるだろう。






打撃内容

 この夏の大会の成績は以下の通りで、特に
ボールを捉えるミート力に際立ったものを感じた。

試合数
打数
安打
二塁打
三塁打
本塁打
打点
三振
四死球
打率
10
38
19
2
1
2
11
0
2
.500

セイバーメトリクス補足:打率.500に加え、三振ゼロという驚異的なコンタクト率(Contact%)を示している。これは、プロレベルでも稀なボールコンタクト能力を裏付け、BABIP(打球の運に依存しない安打率)が.500を超える可能性も示唆する。ただし、四死球が2と少ないため、出塁率(OBP)は打率に大きく依存しており、選球眼の向上余地があるかもしれない。

構え:
☆☆☆★ 3.5

 左打席で、前足を軽く引いてかかとを浮かせた構え。グリップを高めに添え、腰の据わり具合や全体のバランスはまずまずだが、両目で前を見据える姿勢にはやや改善の余地があるかもしれない。

仕掛け:早め

 普段は投手の重心が沈み始めたタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視するアベレージヒッターに多く見られる始動タイミングだ。一方、追い込まれた際にはギリギリまで始動を遅らせる「遅めの仕掛け」を使い、動作をコンパクトにしたミート重視の打撃に切り替える。

 セイバーメトリクス補足:早めの仕掛けは、ゾーン内の速球に対する高いコンタクト率に寄与している可能性があり、追い込まれた際の「遅めの仕掛け」はSwing%(スイング率)の調整を反映。ゾーン外への空振り率(O-Swing%)を抑える戦略が見て取れる。

足の運び:
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出す。始動から着地までの「間」は十分で、速球や変化球、スピードの変化にも幅広く対応可能だ。真っ直ぐ踏み出すことで、内角・外角どちらの球にも対応する強い意志が感じられる。踏み込んだ
前足も開かず止まっており、逃げる球や低めの球にもしっかり食らいついていた。

リストワーク:
☆☆☆★ 3.5

 打撃準備の「トップ」の形を早めに作れており、速球に遅れにくい。バットの振り出しはインサイドアウトの軌道ではないものの、外角の球をロスなく捉えられている。特に、バットのヘッドを立てて
広い面でボールを捉えるため、打球がフェアゾーンに飛びやすい。引っ張って巻き込んだ際には長打が生まれるが、本質的には打球に角度をつけて飛ばすタイプではない。

 セイバーメトリクス補足:バットのヘッドを立てたスイングは、打球の方向性を広げるアプローチで、GB/FB比率(ゴロ/フライ比率)がゴロ寄りである可能性を示唆。
長打力より安打生産に特化している。

軸:
☆☆☆☆ 4.0

 頭の上下動が少なく、目線が安定している。体の開きを我慢でき、軸足にも粘りがある。
膝を柔らかく使うことで、低めの球にも上手く対応できていた。

打撃のまとめ

 スイング軌道は最短距離で捉えるというより、バットの遠心力を活かしたものとなっている。その代わり、インパクト時にはバットを寝かせて広い面でボールを捉え、フェアゾーンに落ちやすい打球を生み出している。ボールを捉える能力は特筆すべきもので、この強みを活かせれば、上のレベルでも際立つ成績を残せるのではないかと期待される。

 セイバーメトリクス補足:高いコンタクト率とフェアゾーンへの打球傾向は、ISO(純粋な長打率)が低めでもwOBA(総合的な打撃貢献度)を高く保つ可能性を示す。
ミート力を活かしたアベレージヒッターとしての資質が顕著だ。

最後に

 走力は思ったほど絶対的ではなかったが、守備面では優れた資質を示している。何より打撃のミート力は際立っており、今後大学などでこの資質をどう伸ばしていくかに注目したい。進学を希望しているとのことで、大学でも日本代表を目指し、いずれはプロでの日本代表入りを果たしてほしい選手だ。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2025年夏 甲子園)