25ky-21





田西 称(小松大谷3年)三塁 180/84 右/左 





 「打てるコースは狭そうだけれど」





 U-18日本代表合宿でフリーバッティングの圧倒的な存在感を示した左打者の強打者、田西 称。全国屈指の左打ちのスラッガーとして注目を集めるが、甲子園でのプレーでは課題も露呈した。以下、打撃、守備、走塁を詳細に評価し、セイバーメトリクス(打撃や守備の貢献を数値化する分析手法)の指標で補足する。


打撃評価


 通算成績(33試合)提供データをもとに打撃傾向を分析。セイバーメトリクス指標で長打力と出塁能力を補足する。

試合数
打数
安打
2B
3B
HR
打点
三振
四球
死球
犠打
犠飛
打率
出塁率
長打率
OPS
ISO
wOBA
BABIP
33
115
39
7
5
4
30
15
20
5
0
3
.339
.448
.600
1.048
.261
.441
.354

指標の補足:

OPS (1.048): 出塁率(.448)と長打率(.600)の合計。
高校生として極めて優秀で、プロ平均(MLB約.700、NPB約.750)を上回る。

ISO (.261): 純粋長打率。高校生平均(約.150)を大きく超え、
長打力が全国トップクラス

wOBA (.441): 加重出塁率。出塁と打撃の総合貢献を示し、MLBの優秀な打者(.350以上)に匹敵。


 3年夏の甲子園では、創成館バッテリーの内角攻めに遭い4打数0安打。一方、石川県大会では 
5試合で2本塁打、8打点、打率.556 と圧巻の活躍。通算では左投手打率(.417)が右投手(.319)を上回り、内角意識の強さがうかがえる。選球眼(四球率17.9%)も優秀だが、打てるゾーンが真ん中近辺に偏り、厳しいコースへの対応が課題。

打撃フォーム

構え
☆☆☆ 3.0:左打席で踵を浮かせ、グリップを高めに設定。重心が後ろ足に偏るが、打席での存在感は強い。

仕掛け (早め):対応力を重視するアベレージヒッター型。スラッガーながら確実性を意識か。

足の運び
☆☆☆★ 3.5:アウトステップで内角を意識。速球・変化球に対応しやすいが、低めや逃げる球にも対応可能。

リストワーク
☆☆☆ 3.0:トップの形は作りやすいが、肘の下がりで内角の厳しいコースは苦手。外角は手打ち気味。

☆☆☆ 3.0:目線の上下動はあるが、体の開きは抑えられる。低めが得意ゾーンか。






守備評価:
☆☆☆★ 3.5

 公式戦33試合で失策2(失策率約0.06/試合)。大型体格ゆえフットワークは俊敏ではないが、捕球・送球はスムーズ。高校生の三塁手として平均以上の安定感を持ち、プロでもサードとして通用する可能性がある。

走塁評価:
☆☆ 2.0

 一塁到達タイム4.3秒(基準4.1秒)は高校生の平均以下。盗塁0(失敗1)で積極性は低い。強打者タイプゆえに、走塁への期待は薄い。


総合評価

 田西は長打力(ISO .261)と出塁能力(OPS 1.048)を誇るスラッガー。三塁守備の安定感はプロでも通用しそうだが、打撃でのゾーンの狭さと走力(4.3秒)が課題。大学進学で内角・外角対応を改善すれば、上位指名候補に成長可能。プロ志望届提出なら下位~育成枠での指名が現実的だが、潜在力に賭ける球団も出てきそうだ。


蔵の評価:
(ドラフト下位指名級)


(2025年夏 甲子園)