25ky-20





藤井 健翔(浦和学院3年)三塁 181/96 右/右 
 




 「プロは好きそう」





 右打ちの強打の三塁手として、プロからも注目されそうなタイプである 藤井 健翔。春季関東大会で大暴れし注目を集めたが、夏の大会ではわずか2試合で最後の夏を終えた。その最後の夏を振り返ってみる。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 春の大会では一塁到達タイムを計測できなかったが、夏の大会では右打席から約4.3秒で駆け抜けた。このタイムを左打者に換算すると約4.05秒に相当し、
プロの基準を満たすレベルと言える。ただし、公式戦での盗塁は見られず、積極的に足でアピールするタイプではなさそうだ。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 春の関東大会ではキャッチングにやや不安定さがあった。しかし、夏の大会では適度に動き、守備範囲も狭くなかった。むしろ、
送球の安定感に課題が残る印象だ。それでも、肩の強さは基準以上で、高校生の三塁手としては合格ラインだろう。プロではまだ守備の粗さが目立つかもしれないが、鍛えれば三塁手としてやっていける可能性を秘めている。ちなみに、最終学年の公式戦8試合で、失策は1個だった。

 この選手は強打者として際立つが、走力と守備力も一定の水準を満たしている。三塁手として厳しくても、走力と肩の強さを活かし、外野手としての可能性も考えられる。決して動きの悪い選手ではない。





(打撃内容)

 最終学年の公式戦8試合の成績は、
26打数10安打 3本塁打(長打は5) 3打点 5四死球 8三振 打率.385 といった成績だった。特に、春季大会では、3本塁打を放ち注目された。しかし、夏の大会は2試合で早々と姿を消し、最後の夏を終えてしまった。

指標補足:

ISO(純粋な長打力):長打率(.769) - 打率(.385) = .385。高校生として
高い長打力を示す。

BABIP(運に影響される打球の安打率):(安打10 - 本塁打3) / (打数26 - 本塁打3 - 三振8) = .438。
外角への鋭い打球と打球速度の高さが寄与。

BB/K(四球/三振比率):5四球 / 8三振 = 0.625。
選球眼の向上余地を示す。

 ISO.385は強打者としてのポテンシャルを裏付け、BABIP.438は打球の質の高さを示すが、BB/Kの0.625はやや低く、選球眼の強化が課題だ。

構え:
☆☆☆☆ 4.0

 右打席では両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに構える強打者らしいスタイル。腰はやや浅めに構え、全体のバランスは標準的だが、両目で投手をしっかりと捉えているため、錯覚なく球筋を追えている。リラックスした構えは、BB/K0.625に見られる選球眼の土台を支える。

 春季大会ではややクロス気味だったが、夏に向けてクセの少ないオーソドックスな構えに修正。このスタイルの最適化には、打席での試行錯誤を続ける必要がある。

仕掛け:
遅め

 投手の重心が沈み込んで前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。ボールをギリギリまで見極める長距離砲や2番打者に多く、ISO.385の高さに繋がる長打力を支える。春から夏にかけてタイミングに変化はなかったが、速球や変化球の見極めを強化することで、BB/Kの向上が期待できる。

足の運び:
☆☆☆★ 3.5

 足を上げてベース側に踏み込むインステップを採用。始動から着地までの「間」が短く、狙い球を絞って捉える技術が求められる。外角への意識が強く、BABIP.438の高さはセンターから右方向への鋭い打球に裏打ちされる。ただし、
内角のさばきはやや窮屈で、バットの軌道を内側に引きつける練習で改善の余地がある。

 踏み込んだ前足は
インパクト時にしっかり止まり、逃げる球や低めの球にも開きを我慢して対応可能。夏の大会では力まずにセンターから右方向へ打ち返していた。内角や追い込まれるまでは足元を動かして強引に引っ張る積極性も見られ、この姿勢は維持すべきだ。

リストワーク:
☆☆☆ 3.0

 打撃準備の「トップ」を自然体で作り、力まずにボールを呼び込めている。遅めの仕掛けによるタイミングの遅れが、BB/K0.625の低さに影響し、速球や変化球の見極めに課題を残す。バットの軌道を早めにセットする練習で三振を減らせる可能性がある。

 バットの振り出しはインサイドアウトではなく、やや外側から出てくるタイプで、内角のさばきは窮屈。上体の柔軟性を高めるトレーニングで対応力が向上するだろう。インパクトではボールに角度をつけるスイングが特徴で、ISO.385の高さに貢献。

 スイングの弧を大きくし、フォロースルーで打球を後押しできるようになれば、安定して角度のある打球を飛ばせる。春までは腰が早く開き、腕の力で打つ傾向があったが、夏には自然なバットの振り出しに改善が見られた。

軸:
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少ない。体の開きを我慢できるようになり、軸足の安定感もまずまず。打撃の粗さは春に比べ薄れた。
内腿の筋肉が発達しており、ISO.385に反映される強烈な打球を生み出す原動力となっている。

打撃のまとめ

 春の荒々しさから、夏には自然で無理のないバットさばきに進化した。5月の関東大会から7月の夏の大会までの短期間で顕著な改善が見られた。BABIP.438は、インステップを活かした外角への鋭い打球によるものだが、打率.385を維持するには選球眼(BB/Kの向上)が課題。

 強引さが薄れたことで一発の魅力がやや減ったものの、ISO.385が示す長打力は健在。追い込まれる前の積極的なスイングと、カウント不利時の選球眼の強化を両立できれば、確実性と長打力を兼ね備えた打者になれる。


最後に

 短期間で課題を修正し、成果を上げられる器用さは高く評価できる。試行錯誤の中で自分に合ったスタイルを見つけられる選手と見る。打席でのルーティンや足場の慣らし方からも、打撃へのこだわりが感じられた。

 プロの投手への適応には数年かかる可能性があるが、頑丈な体格と相まって、鍛えがいのある選手として球団の関心を集めると推測される。ドラフトでは、5位前後の指名が予想されるとみた。段階を踏んで成長を遂げられる選手と評価するが、優等生になりすぎずに、大胆さも維持していてほしい。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2025年夏 埼玉大会)






 藤井 健翔(浦和学院3年)三塁 181/103 右/右
 




 「数少ない強打者候補」





 今年の高校生の中でも数少ない長打力を武器とする 藤井 健翔 。春季埼玉大会で3本塁打を放つなど、夏に向けて注目度が高まるであろう強打者だ。


走塁面:
☆☆★ 2.5

 一塁までの到達タイムは計測できなかったが、二塁打時の到達タイムは8.2秒強と平均的だった。試合での盗塁は確認できず、足で積極的にアピールするタイプではないようだ。

守備面:
☆☆★ 2.5

 三塁手としてのキャッチングにはやや危なっかしい印象だ。ただし、守備範囲は狭くなく、
地肩もまずまず強い。今後は捕球技術の向上が鍵となるだろう。

 純粋な走力や肩の強さは悪くないが、盗塁技術や捕球能力に課題が残る。動き自体は悪くない選手だけに、技術面が向上すれば平均以上のレベルに達する可能性がある。ただし、その判断は現時点では難しいところだ。





打撃内容

 この春の埼玉大会では、
15打数6安打、3本塁打、3打点、打率.444 を記録。関東大会初戦では3三振を喫したが、横浜高校戦では三遊間を抜くヒットや右中間を破る長打を見せた。

構え:
☆☆★ 2.5

 ややクロス気味の構えで、グリップを高めに添えた強打者らしいスタイル。腰の据わりや全体のバランスは標準的だが、両眼で前を見据える姿勢はやや改善の余地がある。

仕掛け:遅め

 投手の重心が下がりきり、前へ移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。このタイミングは、ボールを引き付けて打つ長距離打者や天性の二番打者に多く見られる。

足の運び:
☆☆☆ 3.0

 軽く足を上げ、真っ直ぐ踏み出す。始動から着地までの「間」が短いため、狙い球を絞り、逃さず捉えることが求められる。真っ直ぐ踏み出すため、内角・外角のどちらも対応可能なタイプだろう。

 普段は踏み込んだ足が早く地面から離れる傾向があり、引っ張りへの意識が強い。ただし、
追い込まれると足元を我慢し、右方向への打撃も可能にしている。

リストワーク:
☆☆☆ 3.0

 打撃準備の「トップ」を早めに形成でき、速球に遅れにくい。バットの振り出しでは
腰がやや早く開くため、バットがインパクトまで遠回りになる傾向がある。それでもスイングの弧は大きく、腕力の強さを活かし、長打につなげることが多い。

軸:☆☆☆★ 3.5

 目線の上下動は少なく、体の開きもある程度抑えられている。足元がやや窮屈なため、
内角のさばきは課題かもしれない。ボールと体との距離をある程度確保したいタイプと言える。ただし、軸足の内腿は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力となっている。

打撃のまとめ

 タイミングの取り方や内角のさばきに課題があり、外角の球も腰の開きが早いため。
打てるゾーンは真ん中付近に限られる可能性がある。


最後に

 走力や肩は悪くないが、打撃のゾーンの狭さが課題だ。この点が根本的に改善可能か、あるいは打てる球を高い確率で仕留められるかが今後の焦点となる。夏の大会でのパフォーマンスを見極めたいところだ。貴重な長距離打者候補として、強打者らしい雰囲気も持ち合わせている。


蔵の評価:
追跡級!


(2025年 春季関東大会)