25ky-2
半田 南十(日大藤沢3年)遊撃 176/75 右/左 | |||||||||||||||||||
対応力に優れた打撃で、全国屈指の打力を誇る遊撃手が、この 半田 南十 だ。その柔軟な打撃は、ドラフト本会議での指名が期待できるほどだ。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 この選手の一塁到達タイムを計測すると、左打席から4.1~4.2秒程度で駆け抜けることが多い。春の川和高校戦では、知人のストップウォッチで3.9秒台を記録し、驚かされた。これまで平凡に見えた走塁も、最後の夏は積極性が目立っていた。6試合で3盗塁を記録し、相手の隙を見逃さず、すかさず三塁を陥れる場面もあった。こうした走塁への積極性は、以前より明らかに向上していると感じられる。 守備面:☆☆☆★ 3.5 春季大会で観戦した際には、打球への反応やスピード感、足運びは平均的な遊撃手といった印象だった。しかし、夏前の日体大とのオープン戦では、軽快な動きを見せていた。夏の大会でもその動きの良さが際立ち、春に比べワンランク上の守備力を感じさせた。地肩の強さもあり、深い位置からの送球でも乱れず、精度は高い。なお、最後の夏の6試合では無失策と安定感を示した。また、こまめにサインプレーを出し、グラウンドをコントロールする姿も印象的だった。想像以上に二遊間の適性が高いのではないかと感じている。 走塁への意欲が高まり、守備でも春より明らかに進化した。最後の夏を観て、プロでの二遊間起用も可能だと判断した。 打撃内容 3年夏の神奈川大会での打撃成績は以下の通り。特に、逆らわずレフト方向に流すバッティングは一級品だった。
構え:☆☆☆★ 3.5 左打席でやや足を引き、かかとを浮かせて構える。グリップは下げ気味に添え、腰をあまり落とさないため、全体のバランスは標準的。両目で前を見据える姿勢は平均的だが、打席での脱力ができている点は評価できる。 セイバーメトリクス補足: 脱力した構えは、バットスピードの最大化に寄与し、コンタクト率(夏の大会で三振率5%)の高さに繋がっている可能性がある。ゾーン内のボールに対する正確なスイング判断を支えている。 仕掛け:遅すぎ 投手のリリース直前で動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用。このタイミングでは、日本人の筋力やヘッドスピードでプロレベルの球を木製バットで打ち返すのは難しい。実際、日体大戦では大学生の球速にやや苦戦していた印象を受けた。ただし、昨年は「早めの仕掛け」を採用していたことから、タイミングの取り方を柔軟に変えられる可能性も感じる。プロでの経験を積む中で、必要に応じて調整していければ問題ないだろう。 セイバーメトリクス補足: 遅い仕掛けはゾーン外のボールへのスイング率を抑える利点があるが、速球対応時のwOBA(加重出塁率)が低下するリスクがある。日体大戦での苦戦は、この点が影響した可能性が高い。 足の運び:☆☆☆★ 3.5 小さくステップして真っ直ぐ踏み出す。始動から着地までの「間」がなく、狙い球を絞り、逃さず捉えることが求められる。真っ直ぐ踏み出しことからも、内角・外角のどちらもさばけるタイプのようだ。夏前の日体大戦では、踏み込んだ足元が動いてしまう点が気になった。しかし、夏の神奈川大会では、この課題がしっかり改善されていた。これにより、逃げていく球や低めの球にも無理なくレフト方向に流せていた。左打者ながら左投手を苦にしない点も彼の強みとなっている。 リストワーク:☆☆☆☆ 4.0 打撃準備の「トップ」の形を自然に作り、力まずボールを呼び込める点は評価できる。ただし、始動が遅い分、バットを引くタイミングが遅れすぎないよう注意が必要だ。バットは内側からスムーズに出てくるタイプで、やや遅めのポイントで流し打ちをする。内角の球に対しては、引っ張って長打を放てる。特に、ハンドリングの柔らかさとボールの合わせ方に優れたセンスを持つ。 セイバーメトリクス補足: 柔らかいリストワークは、BABIP(打球打率).450と高く、打球の角度(中~低角度)が安定していることを示唆。内角への対応力は、スラッギング率(.700)に反映されている。 軸:☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げが静かで、目線の上下動が少ない点に優れている。ステップは狭めだが、足元が動かず、開きを我慢できる。軸足の膝を柔らかく使い、低めの球にも上手く対応できていた。 セイバーメトリクス補足: 軸の安定は、打球のLaunch Angle(打球角度)のバラつきを抑え、ライナー性の打球割合を高めている。 打撃のまとめ 一定以上の球威や球速にはまだ戸惑う部分があるものの、ボールを捉えるセンスは非凡だ。対応力に関しては、全国屈指のショートストップと評価できる。この選手の最大の魅力は、打撃の非凡さにある。 最後に 長打力を含めた破壊力では、横田蒼和(山村学園)の遊撃手が上回る印象だが、対応力では半田が優れている。横田の方がドラフト指名順位は高そうだが、プロで大成する可能性は甲乙つけがたい。プロのスピードへの対応にはやや時間がかかるかもしれないが、根本的なミートセンスが高いため、打力が全く通用しないとは考えにくい。長打で魅了するタイプではないため、センターラインでの守備力を活かし、走攻守のバランスを磨くことがレギュラー定着の鍵となるだろう。個人的には、今年の高校生野手の中でもおすすめの一人だ。ドラフトでは、本会議の5位前後での指名されるのではないのだろうか。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2025年夏 神奈川大会) |
半田 南十(日大藤沢3年)遊撃 175/72 右/両 | |
守備や走力に際立ったものはなくとも、対応力のある打撃には光るものがある 半田 南十 。そういった意味では、全国クラスの実力を持つショートストップと言えるだろう。 走塁面:☆☆☆ 3.0 一塁までの到達タイムは左打席から4.1~4.2秒程度で、ドラフト候補としては平均的。実際の走塁を見ると、速さやスピード感はそれほど感じられず、際立った印象はない。 守備面:☆☆☆ 3.0 春季大会の川和戦を現地で観戦した際、打球への反応や動きのスピードは平均的で、細かい動きが得意な選手ではない印象を受けた。そのため、ショートでなければサードや外野が適しているように見えた。ただし、日体大との交流戦では、動きの良いプレーを見せていた。深い位置からの送球でも余裕を持って刺せる場面があり、地肩の強さは水準以上だと感じられる。 プロでショートを守れるかと問われれば、確かにやや厳しいかもしれない。しかし、サインプレーを効果的にこなし、ゲームメイクできる資質は持ち合わせているようだ。打撃は長打で魅せるタイプではないが、対応力のある打撃で「打てる二遊間」としてアピールしたい選手と言える。 打撃内容 春季大会の川和戦では、好投手の 濱岡 蒼太 に対し、しっかりタイミングを合わせて鋭いスイングを見せていた。第2打席では、しぶとく拾ってライト前に運ぶバッティングを披露。一方、日体大戦では、大学生投手のスピードにやや対応しきれていない印象を受けた。 構え:☆☆☆ 3.0 左打席からスクエアスタンスで、前足のかかとを浮かせ、グリップを下げて構える。腰はあまり沈まず、全体のバランスは平均的だが、両目で前をしっかりと見据えている点は評価できる。構え自体は、昨年から大きな変化はないようだ。 仕掛け:遅すぎ 日体大戦のスイングをもとにフォームを分析すると、この打席では「遅すぎる仕掛け」を採用。投手のリリース前後で動き始めるため、日本人のヘッドスピードや筋力を考慮すると、NPBレベルの球を木製バットで打ち返すのは難しい始動タイミングと言える。 ただし、昨年は「早めの仕掛け」を取り入れるなど、投手や状況に応じて複数の始動パターンを使い分けている様子が見られる。そのため、この点は大きな懸念材料ではないだろう。 足の運び:☆☆☆ 3.0 小さくステップして、ほぼ真っ直ぐ踏み込む。始動から着地までの「間」が短いため、事前に狙い球を絞り、その球を逃さない対応力が求められる。昨年はアウトステップ気味に踏み込んでいたが、今回は変化したのか? 単に打球方向の違いによるものかもしれない。 気になるのは、インパクト時に足元が動いてしまう点。昨年は我慢できていただけに、現在はやや上半身主導のフォームになっている可能性がある。内角への意識は強いものの、左右に打ち分ける幅広い対応力を持つ選手だ。 リストワーク:☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で、力まずにボールを呼び込めている。バットは内側からスムーズに出てきて、インパクトまで無駄がない。スイングの弧も大きく、昨年よりボールの下を叩いて打球に角度をつける傾向が見られるように感じたが、たまたまの可能性もある。 軸:☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが小さいため、目線の上下動は少ない。体の開きを我慢できていない場面が気になるが、我慢できている時もあるため一概には言えない。軸足の形は安定しており、調子の波は比較的小さいタイプと考えられる。 打撃のまとめ 下半身の使い方に課題はあるものの、上半身のスイング軌道、しぶとさ、優れた当て勘は評価できる。この選手の最大の魅力は、対応力に優れた打撃にあると言えるだろう。 最後に 守備や走力は際立っておらず、打撃も長打より対応力が勝るタイプ。そのため、センターラインを守れなければ魅力が半減する可能性がある。その意味で、ドラフトでの評価はそれほど高くはならないかもしれない。その辺は、夏までのパフォーマンスを注視し、能力をさらに見極めて行きたい。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2025年 日体大との交流戦) |
半田 南十(日大藤沢2年)遊撃 175/72 右/両 | |
25年度は、神奈川球児の当たり年。そんな神奈川でも、注目したいのが、この 半田 南十 。横浜高校や東海大相模以外にも、プロを意識する選手がいるのが、25年度の特徴の一つだと言えよう。 (守備・走塁面) 残念ながら、一塁までのタイムは計測できていない。見ている感じでは、滅法足が速い感じはしないものの、適度に動ける能力はありそう。遊撃手としても、まずまずの動きを見せ、地肩も悪くない。ただし、少し下がって捕ってしまう傾向が強いので、その辺でグランドによって守備も左右されるタイプかもしれない。まだまだドラフト候補として垢抜けて上手いとは思わないが、この一年でどのぐらい成長するかではないのだろうか。 現状は、守備も走塁も、ドラフト候補としては 中 ~ 中の上 ぐらいと見ていて、肩に関しては、中の上 ぐらいはありそうな印象を受けている。 (打撃内容) この夏の伊志田戦の模様を見たのだが、3打数3安打と、打撃では大当たりの試合だった。第二打席に一二塁間を破るヒットを放ち、第三打席にはライトスタンドにホームラン。第四打席にはあわやホームランになるかといったフェンス直撃打を放っていた。夏はチームの1番・遊撃手として、21打数8安打 打率.381厘 といった成績を残している。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を少しだけ引いてカカトを浮かせ、グリップは低めに添えている。腰はあまり据わらず、両眼で前を見据える姿勢はそれなりだが、全体のバランスとしては並ぐらいだろうか。 <仕掛け> 早め~遅すぎまで 投手の重心が下る時に動き出す「早めの仕掛け」を採用する時もあれば、一度引き上げた足を地面に下ろしてから再度足を上げる「遅すぎる仕掛け」を使う時もあるなど、始動のタイミングはいろいろです。基本は「早めの仕掛け」で、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れていて、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できます。アウトステップするように、内角への意識が強いタイプではないのでしょうか。 踏み出した前の足もなんとか我慢できているので、アウトステップでも外角や低めの甘めの球ならば充分に対応できそう。ただし、打球は、引っ張りの打球が多そうな気はします。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はなさそう。けして、インサイド・アウトでバットが出てくるわけではないのですが、アウトステップするので、ある程度スペースは確保できています。バットの先端であるヘッドの下がりもキツくないので、打球はフェアゾーンに飛びやすい感じです。特に、スイングの弧が大きく、強い打球を生み出します。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは大きくないので、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できていますし、軸足にも適度な安定感と粘りは感じます。 (打撃のまとめ) 特別打てる幅が広い感じではないものの、タイミングの取り方は悪くないので、対応力が勝ったタイプのように見えます。スイングの弧は大きいものの、スイング自体は打球に角度は付けたり、フォロースルーを活かして遠くに運ぶタイプでもありません。現状のスイングならば、長打よりも率の方に比重の置かれたスイングではないのでしょうか。 (最後に) 現状は、ドラフト候補としては走攻守全てに 中~中の上 ぐらいと、突出した感じではありません。良く言えば総合力に優れており、悪く言えば特徴がないとも言えることができ、最終学年でいかにインパクトを与えられるかが鍵になりそうです。そうは言っても、全国的にも上位のショートだと言えると思うので、最終学年では春季大会から球場に足を運んで確認したい選手でした。 (2024年夏 神奈川大会) |